蛇はカエルの天敵。運悪く、着地した場所に蛇が!。何が何だかわからないうちに、瞬間的に真っ暗な狭い空間に閉じ込められてしまいました。幼いカエルの子は、自分の”死”を理解できませんが、本能的にもうお母さんのもとに帰れないことだけは感じているのです。蛇の腹の中からお母さんカエルに残した最後のメッセージです。
幼いカエルの安らかな死の描写です。これも、弱肉強食の自然界に生きる動物の理であり、その現実を真正面から捉えた詩です。とりわけ、カエルの子の立場に立って、今まさに死に直面している自分に置き換えることのできるような詩でもあります。また、本詩は、子供の立場を表現するために、カタカナ表記や「。」止めになっているところも工夫点といっていいでしょう。
この詩は、死に対してあからさまにうたっていることに強く心に響きました。特に、最後の「大キナ青イ花モエテマス」は、死と生との対比表現で一番好きな箇所です。「オ母サン。ボク。カエリマセン」も強烈でそれがある時・ある日の自分かも知れません。あるいは子供や孫かもー。
現在、ロシア軍がウクライナに侵攻し、住民はじめ双方の兵士が尊い命を落としている現実と重なります。息子が無事帰還することを願い、祈っていた母親のどれだけの涙が流れたことでしょうか。