2020年7月11日の蓮の見本園は、早朝の7時から近隣の皆様に開放されました。

会場では暗い椿のトンネルを抜けると、急に視界がひらけて、見本園の蓮たちが迎えてくれます。入口の「ハス品種見本園」の常設パネルには、長文ですが、以下のように記してありますーー
「ハスはハス科 Nelumbo naceae に属する大型の抽水植物(水面から抜き出る植物)で、大輪にして花容が優美な数ある鑑賞植物の中でも際だっています。
植物上、ハスには、熱帯および温帯東アジア・オーストラリア北部原産のものと、北米東部・南米北部原産のものとがあります。前者の花色は紅・白色で通常[ハス] Nelumbo nucifera Gaertn. と呼ばれ、後者のそれは黄色で[黄花バス] Nelumbo lutea Pers. と称されています。2種の蓮は生物的にもよく似ていて、交雑可能なものも少なくありません。戦後には[黄花バス]やその交雑種鑑賞用花バスの仲間に加わりその賑わいを増しています。
鑑賞上、ハスは花色、花弁数、花径などで分類されます。花色では、[ハス]の花弁全体が白または紅の「白蓮」「紅連」と、紅が花弁の先端にある「爪紅蓮」(つまべにバス)、斑らにある「斑蓮」(まだらバス)、[黄花バス]の全体が黄色の「黄蓮」(きバス)、[交雑種]の全体が白で花弁基部の黄色の「黄白蓮」(おうはくれん)、紅と黄とのまじわりあった「黄紅蓮」(おうこうれん)などがあります。花弁数では25枚以下を「一重」、50枚以上を「八重」、その間のものを「半八重」または「八重」と呼んでいます。
花径では直径26cm以上のものを「大型」、それより小さく12cm以上のものを「普通型」、12cmより小さいものを「小型」としています。
東京大学農学部附属緑地植物実験所」

この入り口のパネルを読めば、見本園の蓮たちの基礎知識はバッチリです。
では、初日に皆様をお迎えした蓮たちの一部をご紹介しましょう!
まずは、清涼感ただよう西光寺白蓮です。

そして誰もが足をとめる美女のような、知里の曙です。

つづきまして、かわいらしい翠薇夕照です。

下の写真は、天高雲淡です。同じ品種でも手前の花は開花4日目、退色していますが、奥の2日目の花は爪紅で、花弁の先端が紅色なのが分かります。


巨椋池大黒は今年も大輪の花を咲かせています。

下の写真は、巨椋の曙です。巨椋系の蓮です。

白蓮のなかでも特に濃厚な白い花を咲かせる、白万々(はくまんまん)です。白の八重は豊かな気分にさせてくれます。

それに比べて、太白蓮は清楚な白い花をつけます。外側の花弁が緑がかっていて、いっそう白さを際立たせています。

鮮やかな紅蓮の香葉です。花だけでなく葉も芳しい品種で、この葉は蓮茶に使われます。

続いて、初日にカメラマンたちの注目を浴びていた真如蓮です。大型の威厳ある白蓮です。

上の真如蓮ほど大きくなく、同じく白い花をつける輪王蓮です。中央の花は開花3日目で、生命力にあふれています。

次は、カスピカムです。遠いカスピ海のちかくで咲く蓮で、日本ではあまり見られません。

カスピカムはまだ蕾がありますので、来週の開放日も咲いているかもしれません。

目川西です。立ち姿が映える品種で、となりには蕾が。

美貌の白繍蓮(はくしゅうれん)です。去年より花つきが良いですので、来場した方はぜひご覧くださいませ。

下の写真は、八重咲きの天昇です。去年までは、天に向かって高く咲いていたのですが、今年は花つきが良くない上に、花径が小さく、背が低いまま。泥の中では蓮根がぎゅうぎゅう詰めで、植え替えの時期に来ているのかもしれません。

最後は桃白条です。葉の数が多く、今年は元気いっぱいに咲いています。

活発なのは蓮だけではありませんでした。見本園で藻とりをしていた大賀ハスのふるさとの会のメンバーが、ハスのマスから大きなクサガメを取り上げました! 人に慣れていたので、おそらく捨てられて見本園に住み着いたのではないかと考えられます。やんちゃな外来種のミシシッピアカミミガメではありませんが、蓮を食べるのでバケツに捕獲しました。

初日は予想以上の多くの人に足を運んでいただき、ありがとうございました。ブログを見て来ましたという若いご家族もいらして嬉しかったです。
千葉でこれほど多くの種類の蓮を一度に見ることができる珍しい機会です。7月の後半には、咲いている蓮の種類も変化して見本園の雰囲気も変わりますのでお楽しみに。
美しい蓮たちとともにお待ちしております。
一般開放日の初日の報告は以上です。
(担当: れい)