大賀ハスのふるさとの会

東京大学からハス見本園の管理を引き継ぎ、観蓮会の開催・ ハス文化の継承と普及を行うため組織されたボランティア団体です

2019年7月28日 蓮の見本園 開花状況③ 千弁蓮の花芽が出ました

2019-07-30 00:06:41 | ハス
2019年7月28日の蓮の開花報告がつづきます。
舞妃蓮です。アメリカの黄色い蓮である王子蓮と大賀蓮との交配種です。アメリカ系の蓮は、アジア産種とよく交雑し、双方の色や形が入り混じった生育旺盛な品種となります。

開花2日目の舞妃蓮です。この黄色地に赤ぼかしの入った優雅な姿に魅了される人は多いです。1963年、東宮御所で初めて開花しました。


即緋蓮です。花弁数は20枚、花茎は12~18センチ。花弁の先端は尖っていて、左右の両端が少し内側に折れ込んでいます。

中・小型の一重種の即非蓮です。即非如一(そくひにょいつ)は、江戸時代前期に中国から渡来した臨済宗の僧侶で、この品種を日本に持ち込んだとされています。

白光蓮です。下の写真では雨で花の形が崩れていますが、白光蓮は金輪蓮と白君子小蓮との交配種で、両親の良いとこどりの佳品と言われるイケメン蓮です。

通糸蓮です。


知里の曙です。開花1日目の鮮やかな紅色の花弁にかわいらしい蜘蛛が。この品種もアメリカのヴァージニア種と即非蓮との間にできた美形の蓮です。


開花1日目のとっくり型の知里の曙です。

すっきりとした姿の輪王蓮です。


花上りの良い開花2日目の毎葉蓮です。

清月蓮です。白くて薄い花弁が、雫をまとって儚げです。
良いニュースです。今年の春に植替えを行った千弁蓮に花芽が出ています!
二つ目の千弁蓮の蕾です。
千弁蓮の葉も元気です。夏らしい晴れの日がつづけば、今年も咲きそうです。

桃白条です。大賀ハスのふるさとの会の顧問・南定雄先生が、ここで作出しました。淡桃色の一重咲き、2003年に育成。父親が青菱紅蓮で、母親がアメリカ黄花蓮です。白い条線の健やかで華麗な蓮です。
開花1日目の桃白条を上から見ます。
桃白条は、人間でいえば背の高いハーフの美人さん。

最後を飾るのは、真如蓮です。雨にうたれ、透き通るような幽玄美を放っていました。

旧東京大学緑地植物実験所の正門は、午前10時に閉じられました。観蓮会のあとに行われた4日間の見本園の開放日にお越しいただいた皆さま、雨の中のご来場ありがとうございました。

見本園の開花報告は以上です。


(担当: れい)
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2019年7月28日 蓮の見本園 開花状況②

2019-07-29 21:15:43 | ハス

2019年7月28日の蓮の開花報告がつづきます。

巨椋池大黒です。京都にかつてあった巨椋池(おぐらいけ)に因んだ蓮は、巨椋系と呼ばれますが、これら京都の蓮たちは見本園の一角を占めています。
巨椋池大黒の蕾です。ふっくらしていて明日にも咲きそうです。

干拓される前の巨椋池の白黒写真です。なんとも風流な、蓮見舟に乗った女性たちが蓮の花や葉を採る一場面。(京都花蓮研究会のサイトから。)
巨椋池大島です。蓮の花は4日の命、咲いている間は昼過ぎにいったん花弁が閉じて明け方に再び開きます。この花は、開花1日目のあとに雨に打たれて閉じきれなかった花弁が2枚。

巨椋の曙です。巨椋池産としては、珍しい爪紅種で、花弁の先端がほのかにピンク色。 

天使の羽衣のような巨椋の曙です。和辻哲郎が、「われわれの祖先が蓮花によって浄土の幻想をつくり上げた」と随筆『巨椋池の蓮』につづったのが頷けます!

請所(うけしょ)も巨椋系の品種です。条線(花弁を縦に流れるピンク色の線)がきれいです。


同じく京都の蓮である淀姫は、京都伏見区の淀城で発見された品種だとか。雨の雫が清涼さを際立たせています。

梅雨が明けて、淀姫の花弁がうつくしく広がるのが楽しみですね。

今年6月と7月の低温と長梅雨のせいで、いくつかの花芽が枯れてしまった淀姫です。今年の見本園には、このように成長しきれなかった、黒く枯れた花芽が散見されます。

小倉西の大きな蕾です。巨椋系の蓮がつづきます。農林水産省のサイトによると巨椋池は、かつては800ヘクタールに及ぶ広大な池だったらしいので、多くの種類の蓮が咲いていたのでしょう。

小倉西は背の高い品種です。咲いたらまたレポートします。

巨椋の炎は、今年は咲きそうにありません。浮葉だけのさみしいマスに、来場者が別の蓮の散り落ちた花びらを飾っていました。

今日は雨風でしょげているように見える東観世です。でも見本園では、大型の花を咲かせる注目の品種です。巨椋系。

開花レポートがつづきます。


(担当: れい) 
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2019年7月28日 蓮の見本園 開花状況①

2019-07-28 21:11:28 | ハス
今日は旧東京大学緑地植物実験所にある蓮の見本園が一般開放されました。普段は入ることのできない見本園ですが、今年は7月13日の観蓮会のあと、さらに4日間(7月14日,15日,27日,28日)の開放日が設けられました。今日はその最終日です。
 
気温26℃、雨のち曇りの蒸し暑いなか、正門は午前6時に開放されました。観蓮会ではまだ咲いていなかった多くの蓮たちが来場者を迎えてくれます。ここ数日の強い雨で、多くの見本園の蓮たちがうなだれ気味のなか、巨椋の瑞光は凛とした姿です。
白千葉です。
毎年、元気に多くの花をつける紅領巾です。
細く尖った花弁が、粋な紅いスカーフに見えることから紅領巾の名がつきました。
玄武湖紅蓮です。中国の江蘇省南京市にある玄武湖は、屈指の蓮の名所だとか。
玉繍蓮です。
金輪蓮です。
アメリカ(紅蓮)です。
雨に濡れる艶陽天です。
艶陽天を横から撮影しました。
ネール蓮です。釈迦誕生の地である現在のネパールから実の種が贈られ、大賀一郎博士が育てました。
下の写真の開花3日目のネール蓮は、強い雨に打たれてぐったり!
面白い咲き方をする紅がにです。
この紅がには、開花2日目です。花の中心の花托が黄金色で、蓮らしいのですが、花弁は縮れた暗桃色です。
紅がには、花弁がカニのハサミのように見えることから命名されました。この異様な姿は、美を求める観賞用の蓮とは一線を画します。
紅がにの開花2日目の閉じた状態は、菊のようです。
紅ガニは、内田又夫氏が作出した蓮です。蕾も球体に近い形で、やはりユニークな蓮です。
旧東京大学緑地植物実験所の正門わきにある修景池に浮かぶボートにも蓮が咲いています。
蓮は、置く場所を工夫するといっそう楽しむことができますね。
見本園の開花状況レポートがつづきます。
 
(担当: れい)
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観蓮会2019 開催報告②

2019-07-21 08:50:04 | 日記

2019年7月13日観蓮会当日は大賀ハス発掘地点も開放され、ボランティアによる解説ツアーが行われました。観蓮会会場の旧東大緑地植物実験所の帰りに、多くの方に来ていただきました。

昭和26(1951)年、このグランドの中央部、地下6メートルの泥炭層から大賀ハスの実3つが発見され、東京大学農学部の大賀一郎博士は、翌年その1つの開花に成功しました。2000年の眠りから覚めたハスは『世界最古の花』として世界中で話題になりました。

発掘地点は東大検見川総合運動場の中にあり普段は一般公開されていません。この日は年一回の特別公開です。

左の看板に「1951年3月31日」とありますが、発見されたのは「3月30日」です。地元企業や小中学生ボランティアの協力で発掘作業は行われ、作業打切りの前日夕方、地元中学生(現、花園中学)の西野さんが奇跡的にハスの実を発見しました。

バス通りから見える発掘記念碑は、昭和39(1964)年、東京オリンピックのクロスカントリーが行われた時に設置されました。周囲の池には大賀ハスが咲き誇っています。早咲きの大賀ハスは例年6月に開花しますが、今年は梅雨が長く、気温が低いので観蓮会まで大賀ハスの花を楽しむことができました。

報告は以上です。来年もぜひ、観蓮会にいらして下さい。

(担当: りゅう)

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観蓮会2019 開催報告①

2019-07-17 15:09:33 | 日記

2019年7月13日、午前6時。曇り空。いつもはひっそりとした見本園が大勢の来場者で賑わう、年に一度の観蓮会のはじまりです!

早朝5時に集合したボランティアたちは、朝礼を済ませて各チームに分かれて最終準備にとりかかりました。

開門の6時と同時に多くの人が坂を上ってやってきます。

人気の蓮のガイドツアーは、大賀一郎博士のパネルの前から出発です。大賀ハスのふるさとの会の顧問である南定雄先生が、大賀博士との思い出を語ります。

しばし日常を忘れ、早朝の蓮のうつくしさに触れるひとときです。

伊豆沼の姿に思わずため息する人もいました。

花弁が斑模様の一天四海です。

紅君子蓮です。

輪王蓮です。

100種以上の蓮を一度に見るのは大変です。今年は東屋に休憩所を設けました。

休憩所では、無料の蓮茶がふるまわれました。香り高く、鮮やかな黄色のクセのないお茶です。

一息つきながら、オカリナの優しいしらべに耳を傾けます。

大酒錦と大賀蓮の掛け合わせ品種が開花一日目を迎えていました。

来場者の多くがカメラに収めていた艶陽天です。濃い紅色の中国の蓮です。特徴としては、実ができないことと、雄蘂(ゆうずい)の先端が紅いことです。

この曇り空が、蓮の写真撮影にはちょうど良いとか。ここ数年の観蓮会は晴天の猛暑のなかで行われてきましたが、今年は梅雨の中休みで雨が降らなかったために多くの人が訪れました。

舞妃蓮です。阪本祐二氏が1966年に作出した黄と紅のぼかしの入った甘美な品種で、キバナバスの王子蓮と大賀蓮との交配種です。

幻想的な真如蓮です。

真如蓮を説明する大賀ハスのふるさとの会の金子会長。聞き入るのは、駆けつけてくださった衆議院議員・小林鷹之氏です。

100種以上の蓮のなかには、ここでつくられた知里の曙もあります。

知里の曙は、7月中旬の観蓮会ではいつもスター的存在です。

碧台蓮です。花弁数100~120枚の八重咲で、花色はやや緑色を帯びます。西湖蓮に似ていますが、異形の雄ずいができにくい品種です。

碧台蓮は、花径が20センチ前後と中型です。でも花托がととのっているせいか、風格があります。

見本園の奥には、中国の品種が並びます。点降唇です。

翠薇夕照です。

 

天高雲淡です。

見本園の外では、大賀蓮の妖精・ちはなちゃん、加曾利貝塚のマスコット・かそりーぬ、新検見川駅の駅長犬が勢ぞろいです。

散ったあとの蓮の花は、30~35日ほどで果托になります。見本園でとれた果托を目当てに来場する方も。

初の試みとして、会員が敷地の竹でつくった衣文かけを販売しました。

見本園へとつづく小道の手前では、小型の蓮、椿や花の苗を販売しました。蓮は早々に完売しました。

無料の象鼻杯コーナーです。中国では唐の時代以前から、蓮の大きな葉をとって酒を盛り、葉の中心を刺して柄と通してから、茎をまげて象の鼻のようにその酒を吸って楽しんだそうです。

正門入口の修景池では、大賀蓮が一輪さいていました! ぎりぎり4日目の大賀蓮です。

観蓮会のために、修景池にボート・チバニアンを浮かし、蓮の鉢を配置しました。

ボートなかで、紅黄蝶がうつくしく咲いていました。

最後に。JR新検見川駅に設置された観蓮会を祝うコーナーの写真です。

2000年以上前から蓮が咲き誇るこの検見川の地で行われる観蓮会。今年も盛況のうちに終えることができました。ご来場いただきました皆様、どうもありがとうございました!

見本園の開放日は、観蓮会のほかに7月14日、15日、27日、28日とつづきます。午前6時から10時まで。各種イベントはございませんが、静かな環境で、ゆっくりと蓮を鑑賞される方は、ぜひお越しくださいませ。


観蓮会2019の報告は以上です。


(担当: れい)

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