大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

聴く鏡

2010-07-24 15:05:00 | 読書


『聴く鏡』
一九九四-二〇〇六   
菅原正二 著  出版社 ステレオサウンド


久し振りに菅原正二さんの本を読み返している。一関市で40年間ジャズ喫茶「ベイシー」を営んでいる方のアナログレコードとオーディオに対する想いを綴った文章…音に対する徹底したこだわりはお見事!と同時に美しい音を創造することに執念を燃やす姿勢は尋常じゃないと僕は思う。レコードを演奏するということは凍結された「時」を現在に解凍して解き放つことを意味し、その時、今の空気と凍結された時の空気が衝突し合う。古今の空気がぶつかり合う渦潮の真っ只中に巻き込まれた状態がレコード音楽を聴いている状態であると著者は主張する。モノにこだわる人に対してキチガイ、変人呼ばわりするのは理不尽という以前に単に認識不足であるという著者の考えにおもわず同感する。「聴く鏡」を読み返してみると学ぶことが沢山ある。実際に一関市のベイシーに行けばオーディオプレーヤーの臨場感に圧倒される。つい最近、知人が八桁で購入したというオーディオプレーヤー一式を消費税以下で譲りたいと僕に電話がある。思わずベイシーのオーディオプレーヤー特にスピーカーが瞼に浮かんだ。誘惑に弱い僕…真夏の夢遊病でついついアナログレコードの世界に足を踏み入れそうです。話しは横道にそれたけど中尊寺に参拝しながらベイシーにジャズを聴きにいくのも結構楽しいかも。音の達人に出会えるよ。魂の乗り物である本物の音に触れることが可能なジャズ喫茶です。