先日ふらっと小樽に足を伸ばしてみました。「アイヌー美を求める心」という展覧会が小樽市総合博物館、本館にて開催されているのを知り、興味津々で立ち寄ってみました。かなり、見応えのある展覧会で、アイヌ文化の一端を垣間みる事ができ、学ぶことが多々ありました。展覧会図録も、かなりボリュームがあり視覚的に楽しめる内容です。解説もかなり詳しく丁寧になされていて、好感が持てるのですが唯一の欠点は写真の色校正が全然できていなくてちょっと残念です。僕もここ十年以上意識的にアイヌの生活用具や、工芸品を収集してきたので今回の展覧会はとても参考になることが多く、特に尾張徳川家関係の資料に興味を持っています。尾張徳川家第19代当主である徳川義親氏がアイヌと交流している史実に驚くと同時に興味を持ちました。彼は侯爵でもあったそうですが、熊狩りをとても好み八雲のアイヌと共に狩猟を楽しみ、アイヌと親交を深めることでアイヌ文化へ興味と関心を持っていったそうです。彼は1922年(大正十年)から1923年(大正十一年
)にかけて一年間ヨーロッパ旅行に行き、木彫熊をスイスで購入し、その熊をモデルにして北海道の徳川農場で同じように熊の木彫りをアイヌに作らせ、それが後に北海道を代表するお土産品となっていった経過を今回はじめて知り、なるほどね、と合点がいきました。 彼は何故熊の置き物をスイスで購入したのか、という動機について特に興味がありますね。(僕の想像では地場産業を起こしたい、八雲アイヌの生活の向上を図りたい、という親心のようなものがあったんじゃないのかな。)
アイヌの衣装の文様は独特のデザインでいつも不思議な感覚に陥るのですが、この文様は縄文土器に似ているような気がするのですが。おそらくこれも仮説ですが、縄文時代からこの文様は連綿と受け継がれてきて、江戸から明治まで残存しているような気がするのです。
今回の展覧会はサブタイトルがー美を求める心ーとなっていますが、アイヌをテーマにした展覧会のサブタイトルとしてはちょっと奇異な感じがします。美を求める心というテーマであるなら、所謂和人から法外な値段=不平等な価値観で物々交換した江戸時代の漆の器や陣羽織etc.をアイヌが宝物として大切にした行為が強いていえば「美を求める心」と呼べるぐらいの気がするのですが一面的な見方でしょうか。(今日まで残っている衣装や生活用具のデザインから用の美として生活の中のささやかな楽しみ=アイヌの生活美として垣間見ることしかできないように思います。)結論から言えば美を求める心というサブタイトルはあまり意味がないと僕は思います。大自然やカムイへ対峙するアイヌの生き方そのものが『生活の美学』だと思うのです。
話は横道にそれますが、よくアイヌ民族とか、アイヌの人々云々という表現がされるのですが、本来アイヌは人間という意味なのだから言葉が同義反復しているように素朴な疑問として考え込んでしまいます…。展覧会の会場は閑散としていましたが貴重なアイヌのビデオも放映させていて良かったこととアイヌの住居が復元されていて多面的に理解することができ有意義な時間を持てました。今回の展覧会は川崎と沖縄に巡回する、とくに沖縄に巡回すると言うことはとても歴史的な重要な意味があると思います。☆☆☆
追伸
展覧会図録をすべて読み、徳川義親氏が熊の木彫りを八雲アイヌに制作させた経緯が良く理解できました。大変面白かったです。
)にかけて一年間ヨーロッパ旅行に行き、木彫熊をスイスで購入し、その熊をモデルにして北海道の徳川農場で同じように熊の木彫りをアイヌに作らせ、それが後に北海道を代表するお土産品となっていった経過を今回はじめて知り、なるほどね、と合点がいきました。 彼は何故熊の置き物をスイスで購入したのか、という動機について特に興味がありますね。(僕の想像では地場産業を起こしたい、八雲アイヌの生活の向上を図りたい、という親心のようなものがあったんじゃないのかな。)
アイヌの衣装の文様は独特のデザインでいつも不思議な感覚に陥るのですが、この文様は縄文土器に似ているような気がするのですが。おそらくこれも仮説ですが、縄文時代からこの文様は連綿と受け継がれてきて、江戸から明治まで残存しているような気がするのです。
今回の展覧会はサブタイトルがー美を求める心ーとなっていますが、アイヌをテーマにした展覧会のサブタイトルとしてはちょっと奇異な感じがします。美を求める心というテーマであるなら、所謂和人から法外な値段=不平等な価値観で物々交換した江戸時代の漆の器や陣羽織etc.をアイヌが宝物として大切にした行為が強いていえば「美を求める心」と呼べるぐらいの気がするのですが一面的な見方でしょうか。(今日まで残っている衣装や生活用具のデザインから用の美として生活の中のささやかな楽しみ=アイヌの生活美として垣間見ることしかできないように思います。)結論から言えば美を求める心というサブタイトルはあまり意味がないと僕は思います。大自然やカムイへ対峙するアイヌの生き方そのものが『生活の美学』だと思うのです。
話は横道にそれますが、よくアイヌ民族とか、アイヌの人々云々という表現がされるのですが、本来アイヌは人間という意味なのだから言葉が同義反復しているように素朴な疑問として考え込んでしまいます…。展覧会の会場は閑散としていましたが貴重なアイヌのビデオも放映させていて良かったこととアイヌの住居が復元されていて多面的に理解することができ有意義な時間を持てました。今回の展覧会は川崎と沖縄に巡回する、とくに沖縄に巡回すると言うことはとても歴史的な重要な意味があると思います。☆☆☆
追伸
展覧会図録をすべて読み、徳川義親氏が熊の木彫りを八雲アイヌに制作させた経緯が良く理解できました。大変面白かったです。

