沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その14)※行動計画と地域計画の策定

2016-07-11 08:32:22 | ごみ処理計画

その14は、中北組合が策定することになるインフラ長寿命化行動計画と広域組合を設立するための地域計画について書きます。

その前に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助の概要を整理した資料です。

このブログの管理者は、県が「適正」と考えている中北組合の事務処理は、「不適正」な事務処理になると考えています。なぜなら、「適正」とした場合は、ごみ処理施設を整備している国内の市町村は設備の処分制限期間を経過してから実施する長寿命化を行わなくてもよいことになるからです。

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なお、このブログの管理者は、基本的に法令に適合する事務処理を「適正」な事務処理と考えています。そして、法令に適合しない(違反する)事務処理を「不適正」と考えています。

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、インフラ長寿命化行動計画(以下「行動計画」という)と地域計画の法令に基づく位置づけを整理した資料です。

廃棄物処理法の規定により市町村は市町村が策定したごみ処理計画に従って事務処理を行わなければならないことになっています。したがって、市町村が策定する行動計画や地域計画もごみ処理計画との整合性を確保していなければなりません。なお、地域計画については基本方針に適合していることが絶対条件になるので、行動計画とごみ処理計画も基本方針に適合していなければならないことになります。そして、行動計画は平成28年度が策定期限になっています。しかし、県の技術的援助を受けて中北組合が平成26年3月に改正したごみ処理計画は基本方針に適合しない計画になっています。

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下の画像は、平成28年度に沖縄県が中北組合に対して適正な技術的援助を与える場合を想定して作成した資料です。

中北組合は県の技術的援助を受けてごみ処理計画を改正していますが、その計画は基本方針に適合しない計画になっています。このため、行動計画を策定する場合はごみ処理計画を見直して基本方針に適合する計画にしなければなりません。しかも、平成29年度には平成31年度に広域組合を設立するための地域計画の策定に着手することになっているので、県としては関係法令や国の施策に適合する技術的援助を与えなければなりません。なぜなら、それが法令に基づく県の責務だからです。

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下の画像は、設備の長寿命化に関する国の考え方を整理した資料です。

設備の長寿命化とは処分制限期間を経過していることを前提として実施する施策になります。したがって、県が考えているように設備の処分制限期間を経過した場合は設備を休止することができるとした場合は、県が関係法令や国の施策を勝手に変更していることになります。ただし、沖縄県にそのような権限はありません。

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下の画像は、設備の休止が可能になるケースと設備を休止していると法令違反になるケースを整理した資料です。

このように、事故や故障等による「やむを得ない事由」がある場合や地域における設備の需要がなくなっている場合(同様の社会資源が充足している場合)は休止することができますが、「やむを得ない事由」により休止した場合であっても再稼動するための事務処理を怠っている場合は法令違反になります。もちろん、中北組合のように運転経費が高いという「溶融炉を整備している市町村にとっては当たり前の事由」により休止している場合も法令違反になります。このことは、会計検査院や総務省も不適正と判断していますが、県は適正と判断しています。

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下の画像は、国の考え方と沖縄県の考え方を比較するために作成した資料です。

このように、沖縄県は中北組合に対して法令の規定を無視して技術的援助を与えています。そして、設備の長寿命化については、市町村が任意で行う事務処理としています。そうなると行動計画の策定も任意ということになりかねませんが、総務省は必須としているので策定を拒否することはできないと考えます。

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下の画像は、ごみ処理施設を整備する場合の市町村に対する国の財政的援助に関する国の考え方を整理した資料です。

国は設備の処分制限期間を経過した場合に「包括承認事項」が適用される状況になっていなければ長寿命化を行うことを財政的援助の条件にしています。そして、長寿命化を行った設備が老朽化したときに新たに財政的援助を与えるという考え方をしています。この考え方は沖縄県以外の都道府県では常識になっていますが、沖縄県だけは違う考え方をしています。したがって、内地の都道府県から見た場合は沖縄県の考え方は「非常識」な考え方になります。

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下の画像(2つ)は、その沖縄県の「非常識」な考え方を整理した資料です。

県は中北組合が「包括承認事項」に適合しない(組合の区域内に溶融炉と同様の社会資源が充足していない)状況であるにも関わらず、設備の処分制限期間を経過しているという理由だけで「包括承認事項」を適用する技術的援助を与えています。しかし、この技術的援助(沖縄ルール)が適正な事務処理であるとした場合は、溶融炉を整備している全ての市町村が処分制限期間を経過した瞬間に「包括承認事項」が適用されることになってしまいます。 

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下の画像は、焼却灰の委託処分に関する国の考え方を整理した資料です。

このように、国は市町村が最終処分場を整備していない場合であっても、①基本方針に適合するごみ処理計画を策定して、②地域ごとに必要になる最終処分場の整備を課題として抽出している場合は、最終処分場を整備するまでは焼却灰の委託処分を行っていても適正な処理を行っていると判断しています。沖縄県では南部広域行政組合がこのケースに該当することになります。また、最終処分場の整備が困難な場合は溶融炉の整備等を行って焼却灰の資源化を促進するごみ処理計画を策定していれば焼却灰の委託処分を行っていても適正な事務処理を行っていると判断しています。なお、沖縄県は第三期廃棄物処理計画において溶融炉の整備等を促進して最終処分場の延命化を図るとしていましたが、中北組合に対しては最終処分場の整備を求めずに溶融炉を休止して焼却灰の委託処分を行うことを認めています。

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下の画像(2つ)は、焼却灰の委託処分に関する中北組合に対する県の技術的援助を整理した資料です。

このように、沖縄県は環境大臣が定めた基本方針や県が自ら定めた廃棄物処理計画(第三期)を完全に無視して中北組合に技術的援助を与えています。しかも、ごみ処理計画を改正して廃棄物処理法の処理基準を遵守すれば、最終処分場の整備を行わずに焼却灰の委託処分を行っていても適正な処理になると判断しています。しかし、その根拠になっているのは、単に設備の処分制限期間を経過しているということだけです。

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下の画像は、国が中北組合に対して直接、地域計画の策定に関する技術的援助を与えた場合を想定して作成した資料です。

中北組合は、県の技術的援助によって基本方針に適合しないごみ処理計画を策定していますが、国が中北組合に対して技術的援助を与える場合は、当然のこととして基本方針に適合するごみ処理計画の策定を求めることになります。そして、地方財政法第8条の規定に基づいて設備の長寿命化を求めることになります。また、広域組合を設立する場合は廃棄物処理法第6条第3項の規定に基づいて浦添市のごみ処理計画との調和を確保することを求めることになります。

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下の画像は、国が中北組合に対して直接、行動計画の策定に関する技術的援助を与えた場合を想定して作成した資料です。

中北組合にとっては地域計画よりも先に行動計画を策定することになるので、国としてはこのような技術的援助を与えることになりますが、順番が多少異なるだけで、結果的には地域計画と同じ技術的援助を与えることになります。

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下の画像は、一般廃棄物の適正な処理に対して国が市町村に与える技術的援助を、①最終処分場を整備していない市町村が、②溶融炉を整備している場合(中北組合等)と、③溶融炉を整備していない場合(南部広域行政組合等)に分けて整理した資料です。 

中北組合はそもそも基本方針に適合するごみ処理計画を策定して国の補助金を利用して溶融炉を整備しているので、設備の処分制限期間を経過した場合であっても、国は適正処理の継続を求めることになります。したがって、溶融炉の長寿命化を行い広域施設を整備する場合は基本方針に適合する地域計画を策定することを求めることになります。一方、南部広域行政組合に対しては、基本方針に適合するごみ処理計画を策定して最終処分場の整備を課題として抽出することを求めて、最終処分場を整備する前に基本方針に適合する地域計画の策定を求めることになります。つまり、国は常に基本方針に適合する技術的援助を与えることになります。 

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下の画像は、沖縄県が中北組合と南部広域行政組合に与えている技術的援助を比較するために作成した資料です。

このように、県は南部広域行政組合に対しては国と同じ技術的援助を与えていますが、中北組合に対してはごみ処理計画を改正することを条件として、国とまったく異なる技術的援助を与えています。そして、県の判断によって廃棄物処理法の基本方針の適用を勝手に除外しています。また、県の判断によって溶融炉の長寿命化も免除しています。しかも、基本方針に適合しないごみ処理計画を策定している市町村が焼却灰の委託処分を行うことも認めています。

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下の画像(2つ)は、中北組合が上の資料にある県の技術的援助に従って行動計画を策定した場合を想定して作成した資料です。 

このように、中北組合のごみ処理計画と行動計画は廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画になるので、基本方針に適合する地域計画を策定することはできないことになります。したがって、広域処理は白紙撤回ということになり、中城村と北中城村は単独事業を行うために住民から40億円以上の自主財源を確保して中北組合に対する負担金として支出しなければならないことになります。しかし、県が中北組合に対して適正な技術的援助を与えれば、このような結果になることを防ぐことができます。

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下の画像(2つ)は、中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助と市町村に対する内地の都道府県の適正な技術的援助を比較した資料です。

このように、県は設備の運用を停止(休止又は廃止)すると設備を整備するときに利用した補助金を返還しなければならない期間(処分制限期間)は、内地の都道府県と同じ技術的援助を与えていますが、補助金を返還しなくてもよいとなった瞬間から、廃棄物処理法の基本方針や県の計画、そして職員の服務規程までも無視して不誠実かつ不公正な事務を遂行しています。そして、設備を新たに整備することになったとき(広域処理を含む)は、また、設備の処分制限期間を経過するまでは市町村に対して内地の都道府県と同じ技術的援助を与えるというWスタンダードになっています。しかも、県はこのような事務処理を適正な事務処理と判断しています。しかし、このような事務処理は間違いなく不適正な事務処理であり、沖縄県民から見た場合は国を単なるスポンサーとしてしか見ていないとても恥ずかしい事務処理になると考えています。

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下の画像(2つ)は、沖縄県が内地の都道府県と同じ考え方で中北組合に対して行動計画の策定に関する適正な技術的援助を与えた場合を想定して作成した資料です。

中北組合の行動計画の策定に関する県の技術的援助は、浦添市との広域処理を前提とした技術的援助になります。そして、浦添市は「沖縄振興特別措置法」の期限(平成33年度)を考慮して平成31年に広域組合を設立する予定でいます。また、浦添市は、①中北組合が溶融炉を再稼動して長寿命化を行うことや、②焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止することについては市の財政に累を及ぼすような施策になるので広域組合を設立するための地域計画の選択肢から除外しなければならない状況になっています。したがって、県としては上の資料にあるように、中北組合の行動計画の策定に関する技術的援助に当っては、③平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止して、④平成30年度に国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うことを求めることになると考えます。

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以上が、中北組合の行動計画と地域計画の策定に関する沖縄県の適正な技術的援助に対するこのブログの管理者の意見です。

【追加資料】

下の画像は、このブログの管理者が中北組合に対する沖縄県の技術的援助に対する疑問点を整理した資料です。なお、この疑問点は溶融炉の長寿命化を実施している浦添市や中北組合の事務処理の内容を知っている他の市町村共有している疑問点になると考えています。 

浦添市が中北組合との広域処理を推進するためには、地域計画の策定に着手する前に中北組合に対する県の技術的援助の適正化を求めなければなりません。なぜなら、県の技術的援助が適正な事務処理であるとした場合は、中北組合だけでなく浦添市も不適正な行動計画を策定することになってしまうからです。

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下の画像は、上の資料にある疑問点に対して県が回答を行った場合を想定して作成した資料です。

このブログの管理者は、中北組合に対する県の職員の技術的援助には「故意又は重大な過失」があると考えていますが、この回答は「重大な過失」があったと想定して作成しています。なお、この場合は浦添市や那覇市南風原町環境施設組合に対して中北組合と同様の技術的援助を与えていなかったことが問題になると考えます。

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この回答も、県の職員に「重大な過失」があったことを想定していますが、職員の技術的援助が適正な事務処理だとした場合は浦添市や那覇市南風原町環境施設組合に対して同様の技術的援助を与えていなかったことが問題になると考えます。また、沖縄県の市町村は経過年数が10年を超えれば設備の長寿命化を行わずに休止することができることになるので、県内の全市町村に対して早急に周知しなければならないことになります。なぜなら、平成28年度が行動計画の策定期限になっているからです。

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この回答は、「重大な過失」ではなく「故意」があったことを想定して作成していますが、このように考えなければ中北組合にだけ最終処分場の整備を求めずに焼却灰の委託処分を認める技術的援助を与えていることを説明することはできないと思います。なお、県の回答がどのような回答であっても、南部広域行政組合にとっては「輪番制による最終処分場の整備計画」に大きな影響を与えることになるので、同組合が納得する回答を行わなければならないと考えます。もちろん、その回答は最終処分場を整備している他の市町村も納得する回答でなければならないと考えます。

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沖縄県が公表している廃棄物対策の概要は県民や県内の市町村にとっては重要な情報源になります。そのため、情報が不正確ではあってはならないことになります。したがって、県の職員が事務処理のミスを認めなかった場合は、県及び県の職員に対する県民の信頼を裏切ることになると考えます。

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県の職員が事務処理のミスを認めなかった場合は、「重大な過失」ではなく「故意」による不適正な事務処理を行っていることになります。したがって、万が一、国(環境省)に対する報告を訂正しなかった場合は、県と県の職員は県民の信頼を裏切るだけでなく国の信用も失うことになると考えます。

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最後に、下の画像をご覧下さい。これは、沖縄県に対する国の技術的援助中北組合に対する沖縄県の技術的援助を比較するために作成した資料です。

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このように、沖縄県と県の職員は沖縄県に対する国の技術的援助とは異なる不適正な技術的援助を県内の市町村に対して与えていることになります。

(注)①中北組合が策定する行動計画と、②中北組合が浦添市と共同で策定する地域計画と、③中北組合のごみ処理計画は整合性を確保していなければならないことになります。したがって、沖縄県は中北組合に対して溶融炉の休止を中止するための技術的援助を与えなければならないことになります。ただし、行動計画と地域計画とごみ処理計画の3つの計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していなければならないことになります。

広域処理の成功を祈ります。