沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助を考える(その1)※発想と結果

2016-07-18 09:10:44 | ごみ処理計画

平成28年度は中北組合にとって、とても重要な年度になります。なぜなら、平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているため、沖縄県の技術的援助によって平成26年3月に改正したごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合する計画に見直さなければ、浦添市との広域処理が白紙撤回になるからです。

そこで、改めて中北組合に対する県の不適正な技術的援助について考えてみることにしました。

まず、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合に対する県の技術的援助の履歴を整理した資料です。 

県が中北組合の溶融炉の運用に対して技術的援助を与えたのは、国がインフラ長寿命化基本計画を決定した直後になります。しかし、県はいきなり国の基本計画を無視する技術的援助を与えています。しかも、地方財政法第8条の規定や廃棄物処理法の基本方針だけでなく県が策定している廃棄物処理計画までも無視して、それまで築いてきた県と中北組合との連携・協力体制を解消しています。

そして、平成26年度以降は、環境省に対する会計検査院の要求や総務省の勧告等も無視しています。

インフラ長寿命化基本計画(平成25年11月29日)

環境省に対する会計検査院の要求(平成26年9月30日)

環境省に対する総務省の勧告(平成28年3月1日)

県の技術的援助により中北組合は平成26年度から溶融炉を休止して焼却灰の委託処分を行っていますが、これは地方財政法第8条の規定に違反する事務処理になります。また、組合は平成26年度から国の補助金を利用する権利を放棄していることになります。そして、焼却炉の長寿命化を見送っています。しかし、焼却炉の長寿命化を中止した場合は、やはり地方財政法第8条の規定に違反することになります。そのような状況の中で県は中北組合に対してインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定に必要な技術的援助を与えることになりますが、果たして適正な技術的援助を与えることができるかどうか、かなり心配しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、インフラ長寿命化基本計画に対する国の考え方と県の考え方を整理した資料です。

インフラ長寿命化基本計画は市町村だけでなく国や都道府県が所有している公共施設も対象にしているで、県は国の考え方を十分に理解しているはずです。しかし、中北組合に対しては国の考え方とはまったく異なる技術的援助を与えています。  

このように、県は国の考え方を完全に無視して中北組合に対して技術的援助を与えています。そして、平成26年度以降も環境省に対する会計検査院の要求や総務省の勧告を無視しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、このブログの管理者が中北組合に対する県の技術的援助が不適正な技術的援助であると判断している根拠を整理した資料です。

このブログの管理者は沖縄県民ですが、県民が県に対して県の事務処理を不適正と判断してブログにアップすることは、それなりの根拠があるからです。したがって、県が適正な事務処理を行っていると判断している場合はこの資料にある根拠に対して県民(このブログの管理者を含む)が納得する説明ができなければなりません。それができなければ、不適正な事務処理を行っていることを認めることになります。

この資料を見て読者の皆様がどのように判断されるかは分かりませんが、このブログの管理者は間違いなく適正な事務処理ではない(不適正な事務処理である)と判断しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、県の技術的援助が適正と判断されるケースを想定して作成した資料です。

中北組合が国の補助金を利用せずに15年以上前に自主財源により焼却炉を整備している自治体であれば、そして、溶融炉や最終処分場を整備していない自治体であれば、ごみ処理施設の更新に当ってごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合する計画に改正すれば、国の補助金を利用することができます。そして、更新施設が完成するまで焼却炉の長寿命化を行わずに焼却灰の委託処分を続けることができます。

中北組合は平成15年度に国の補助金を利用して焼却炉と溶融炉を整備しています。もちろん、そのときのごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していました。しかし、県は設備の処分制限期間を経過しているというただそれだけの理由で、中北組合に対して溶融炉の休止を認める技術的援助を与えています。そして、焼却灰の委託処分も認める技術的援助を与えています。しかも、地方財政法第8条の規定に違反する技術的援助を与えています。

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下の画像は、中北組合に対する県の技術的援助の内容を県の発想に基づいて整理した資料です。

ただし、県の発想が実際にどのようなものであるかは分かりません。したがって、この資料はこのブログの管理者が想像で作成した資料ということになりますが、技術的援助のタイミングや具体的な内容を考慮すると、こう考えざるを得ないと判断しています。

ごみ処理計画は、概ね10年ごとに改正することになっています。中北組合も平成26年度から平成35年度までの10年間を前提にしてごみ処理計画を改正していますが、この期間にごみ処理施設を更新する計画はありません。そうなると、県は10年後にごみ処理計画を改正するときに廃棄物処理法の基本方針に適合する計画にすればよいという技術的援助を与えていた可能性が高いと判断します。

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下の画像は、上の資料にある県の発想に基づいて作成した資料です。

10年後にごみ処理計画を再度改正して、国の補助金を利用してごみ処理施設を更新又は新設するという前提で考えれば、溶融炉を休止又は廃止して焼却灰の委託処分を行うことは経費(ランニングコスト)を削減する事務処理になります。しかし、この発想は民間の発想です。その発想で考えれば地方公共団体に適用される地方財政法第8条の規定を無視していることも理解できます。

この発想で特徴的なのは、設備の処分制限期間を経過するまでの10年間は公共の発想で事務処理を行い、設備の処分制限期間を経過してから新たな設備を整備するまでの10年間は民間の発想で事務処理を行うというところです。確かに、このような事務処理が可能であれば中北組合はトータルコストを削減することができるかも知れません。しかし、国から見た場合は中北組合に対する財政的援助のトータルコストが増加することになります。なぜなら、中北組合は設備の長寿命化を行っていないからです。

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下の画像は、県の発想に対する結果を整理した資料です。

中北組合は地方公共団体なので、設備の処分制限期間を経過した場合であっても設備を所有している限り地方財政法第8条の規定が適用されます。そして、設備を所有している地方公共団体はトータルコストを削減するために国の補助金を利用して設備の長寿命化を行うことになります。

このように、設備の維持管理費(ランニングコスト)を削減するために廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定して民間の発想で事務処理を行っても、設備の長寿命化を行っていない場合はごみ処理施設の更新に当って国の補助金を利用することはできないことになります。したがって、このような事務処理を行うと間違いなくトータルコストが増加することになります。

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下の画像(5つ)は、国が考えている市町村による一般廃棄物の不適正な処理と沖縄県が考えている一般廃棄物の適正な処理を比較するために作成した資料です。

なお、廃棄物処理法の規定により国は一般廃棄物の適正な処理を行っている市町村に対してのみ財政的援助を与えることができます。

市町村による一般廃棄物の処理は住民に対する「行政サービス」の一環として行われています。したがって、国は市町村に対して「行政サービス」を低下させずに継続又は向上させることを求めています。また、当然のこととして関係法令の規定(地方財政法第8条等)を遵守することを求めています。なお、6と7は市町村が合併した場合や広域処理を行う場合を想定しています。

このように、沖縄県の場合は1と2に適合していれば基本的に適正な処理を行っていることになります。そして、国の補助金を利用するときだけ廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画に適合するごみ処理計画を策定すればよいというWスタンダードになっています。しかも、国の補助金を利用している場合であっても設備の処分制限期間を経過した場合は地方財政法第8条の規定やインフラ長寿命化基本計画を無視して設備を休止又は廃止してもよい(長寿命化を行わなくてもよい)ということになっています。

このように、国は常に廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画を優先する考え方をしていますが、県の職員は廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画よりも設備の処分制限期間を優先する考え方をしていることになります。

このように、県は設備に対しては補助金適正化法第22条の規定のみが適用され、地方財政法第8条の規定は適用されないと考えていると思われます。このため、補助金適正化法第22条の規定に基づく設備の処分制限期間を経過した場合は補助金の返還義務が消滅するので、経費を削減するために長寿命化を行わずに休止又は廃止することが可能であるという技術的援助を与えていると思われます。一方、国は当然のこととして設備に対しては地方財政法第8条の規定が適用されると考えているので、処分制限期間を経過した設備を所有している市町村に対して、所有の目的に応じて効率的な運用を行うために長寿命化を求めています。そして、そのために財政的援助を与えています。

原寸大に資料(画像をクリック)

    

下の画像(2つ)は、上の資料にあるような考え方で事務処理を行っている県の職員の資質について、一般的な評価を行った資料です。

県の職員の実際の資質がどのようなものであるのかは分かりませんが、この資料はあくまでも中北組合に対する県の職員の技術的援助を前提にして作成しています。

このブログの管理者は、県の職員が3の「地方財政法第8条の規定を知らない」ことは間違いないと考えています。なぜなら、知っていたら中北組合に対して法令に違反するような技術的援助は絶対に与えていないはずだからです。

人口が増加している沖縄県において、県の職員に少子化や過疎化を前提とした「包括承認事項」に対する理解が不足していることはあり得ると考えています。しかし、設備と建物の関係を無視して設備の処分制限期間だけを根拠にして市町村に対して技術的援助を与えることは県の職員として大いに問題があると考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

 

下の画像(2つ)は、沖縄県ではなく、平成28年度において国が直接中北組合に対して技術的援助を与えた場合を想定して作成した資料です。

国はインフラ長寿命化基本計画を決定した当事者であり、環境省に対する会計検査院の要求や総務省の勧告等を前提にすれば、中北組合に対してほぼこのような技術的援助を与えることになると考えます。

国は市町村における個別の事情等についてはほとんど情報を持ち合わせていないので、当然のこととして一般的な技術的援助しか与えることはできません。 

これは、国が中北組合が広域処理の推進を決定していることを知っていて、しかも、中北組合の溶融炉が特殊な溶融炉であることを知っていると想定して作成した資料です。国には広域処理に関する多くのデータが蓄積されているので、このように地方財政法第2条第1項の規定に関する技術的援助も与えることになると考えます。 

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下の画像は、県が国から上の資料にあるような技術的援助を受けた場合に、中北組合に与える県の技術的援助を想定して作成した資料です。

県は平成33年度に「沖縄振興特別措置法」が失効することを十分に理解しているので、このようにスケジュール等を含めたより具体的な技術的援助を与えることになると考えます。

県は平成25年度において国が決定したばかりのインフラ長寿命化基本計画を無視して中北組合に技術的援助を与えています。しかし、平成28年度が「行動計画」の策定期限になっていることまで無視することはできません。なぜなら、県も県が所有している公共施設に対して「行動計画」を策定しなければならないからです。

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下の画像は、中北組合に対する県の不適正な技術的援助の「着地点」を想定して作成した資料です。

県に不適正な技術的援助を与えているという認識がない場合は、資料の上段にあるように中北組合は廃棄物処理法の基本方針に適合する「行動計画」を策定することができないことになるので、広域処理は白紙撤回ということになります。

その場合、浦添市は国の補助金を利用してごみ処理施設を更新する「行動計画」を策定することができますが、中北組合は自主財源(40億円以上)によりごみ処理施設を更新又は新設する「行動計画」を策定することになります。 

中北組合が浦添市との広域処理を前提にして「行動計画」を策定する場合は、上の資料の下段にあるように、少なくとも平成28年度の前半には既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を決定しなければなりません。したがって、県が必要な技術技術的援助を与えるとすれば今月(7月)辺りがタイムリミットになります。そして、中北組合は、①平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止して、②平成30年度に国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を完了しなければ、浦添市との広域処理のスタートライン(広域組合を設立する平成31年度)に着地できないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像(2つ)は、行動計画の策定に当って県が中北組合に対して必要な技術的援助を与えなかった場合を想定して作成した資料です。

このように、中北組合(中城村・北中城村)は住民(約3.6万人)から40億円以上の自主財源を確保しなければならない状況になりますが、その原因を作ったのは平成26年3月に中北組合がごみ処理計画を改正するときに与えた県の職員の不適正な技術的援助ということになります。なお、この不適正な技術的援助については県の職員に故意又は重大な過失があることは明らかなので、場合によっては訴訟問題にまで発展する可能性があると考えています。

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下の画像は、県が中北組合に対して「行動計画」の策定に必要な技術的援助を与える場合を想定して、「行動計画」に記載する事項と今年度中に「行動計画」を策定するためのスケジュールを整理した資料です。

 このように、「行動計画」に維持管理コストや更新コストの見通しを記載するためには、その前に長寿命化を実施する施設を抽出して長寿命化を実施する時期を決定しなければなりません。そうなると、今年度の前半には既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する具体的な施策を決定しなければならないことになります。したがって、決定できなかった場合は広域処理を白紙撤回して「単独更新」を前提とした「行動計画」を策定することになります。

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下の画像(4つ)は、中北組合に対して県が再び不適正な技術的援助を与えることがないように念のために作成した資料です。

浦添市にとっては、中北組合が今年度中に廃棄物処理法の基本方針に適合する「行動計画」を策定することが広域処理を推進すための必須条件になるので、県としては思い込み等を排除して冷静に技術的援助を与えなければならないと考えます。 

中北組合が国の補助金を利用してごみ処理施設を整備していない自治体であれば、このような技術的援助を与えても適正な「行動計画」を策定することができます。しかし、中北組合は平成15年度に国の補助金を利用してごみ処理施設を整備しています。その事実を誰も消すことはできません。

(1)と同じように、このような技術的援助は中北組合が自主財源により焼却炉のみを整備している自治体でなければ不適正な技術的援助になります。 

この技術的援助は、県の職員が県の廃棄物処理計画よりも市町村のごみ処理計画を優先する前提で与える技術的援助になります。したがって、このような技術的援助を与えると県は県の廃棄物処理計画に基づく諸施策を推進することができないことになってしまいます。また、市町村に対して国の補助金を利用する権利を放棄させる技術的援助を与えることになってしまいます。 

あり得ないとは思いますが、もしかすると中北組合はこのように考えているかも知れません。したがって、万が一、県がこのような技術的援助を与えた場合は最悪の事態になります。

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下の画像は、地方財政法第8条の規定に対する県の職員の遵法意識が低いという前提で作成した資料です。 


広域処理を行う場合は浦添市の同意が必要になるので、このような不適正な事務処理が行われることは絶対にないと考えますが、県の職員が地方財政法第8条の趣旨を理解していない場合は、不適正な技術的援助を適正化(?)するために、このような危険な「着地点」を目指す可能性があるという意味で作成しました。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、沖縄県民であるこのブログの管理者が県の職員の皆様に対する要望を取りまとめて整理した資料です。

ちなみに、県の職員の皆様に対するこの要望は、沖縄県民として極めて当たり前の要望になると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

以上が、中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助に関するこのブログの管理者が考えている意見です。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合に対する沖縄県の責務に関する記事で使用した資料と同じものです。

 原寸大の資料(画像をクリック) 

このブログの管理者は、法令に基づく沖縄県民の責務を果たすことを目的して、この記事を書いています。したがって、県からの要請等があればできる限り協力させていただくつもりでいます。

その2に続く