その4は、「地域計画」と「行動計画」の策定について書きます。
「地域計画」というのは、市町村が国の補助金を利用してごみ処理施設を整備するときに策定する計画ですが、概ね5年から7年の計画になります。なお、ごみ処理施設の整備には更新や新設だけでなく長寿命化も含まれています。そして、市町村は原則としてごみ処理施設の更新又は新設を行う前に既存施設の長寿命化を行うことになっています。
「行動計画」は国と地方公共団体が所有している全ての既存施設の長寿命化と更新に関する方針を定める計画ですが、平成28年度が策定期限になっています。
ということで、まず下の画像(2つ)をご覧下さい。
1つ目の画像は、その3で使用した国の補助金に対する沖縄県の考え方を整理した資料です。そして、2つ目の画像は、1つ目の画像を一部修正して「地域計画」を加えた資料です。
このように、沖縄県の考え方は、設備の処分制限期間を経過したときから新たに国の補助金を利用してごみ処理施設を更新又は新設するときまでは、国や県との連携を解消して、民間の廃棄物処理業者とほぼ同じような考え方でごみ処理を行うことができるようになっています。 そして、設備の長寿命化を行わなくても市町村は適正な処理を行っていることになります。
沖縄県の考え方で特徴的なのは、設備の処分制限期間を経過すれば効率的な運用を放棄(つまり設備を休止)しても、廃棄物処理法の委託基準に適合していれば、民間委託を行うことができることになっていることです。しかし、「地域計画」は廃棄物処理法の基本方針に適合していなければならないので、市町村が「地域計画」を策定する場合は国や県との連携を確保するために民間委託に関する計画を見直さなければなりません。
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下の画像は、「地域計画」に対する国の考え方を整理した資料です。
設備の処分制限期間を経過した時にごみ処理計画を改正して国や県との連携を解消している市町村が「地域計画」を策定する場合は、ごみ処理計画も再度改正することになります。そして、廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することになりますが、民間委託を行っている場合は中止しなければなりません。また、設備を休止している場合は原則として再稼動して長寿命化を行うことになります。
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下の画像は、「地域計画」に対する国の考え方と沖縄県の考え方を比較するために作成した資料です。
県は、おそらく中北組合に対して設備の処分制限期間を経過している場合は、広域施設が完成するまで溶融炉を休止したまま焼却灰の委託処分を行うことができるという技術的援助を与えていると思われます。しかし、それでは廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することはできません。
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下の画像は、焼却灰の委託処分を行っている市町村が「地域計画」を策定する場合に、委託処分を継続できる場合を想定して作成した資料です。
国は、平成8年度までは焼却炉の単独整備を認めていましたが、平成9年度から溶融炉の併設を義務化しています。今は最終処分場等を整備して焼却灰の適正な処理を行えば溶融炉を併設する必要はなくなりましたが、国は平成17年度までは最終処分場の有無に関わらず溶融炉の併設を求めていました。したがって、平成8年度以前に焼却炉を単独で整備している市町村であれば、老朽化を理由に国の補助金を利用して新たなごみ処理施設を整備することができます。そして、新たな施設が完成するまでは焼却灰の委託処分を続けることができます。
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下の画像は、環境省が作成している「地域計画作成マニュアル」に基づいて作成した「地域計画」の策定フローです。
このように、市町村が「地域計画」を策定する場合は、まず市町村が「案」を作成して、①県が県の廃棄物処理計画との整合性を確保していること、そして、②国(環境省)が廃棄物処理法の基本方針に適合していることを確認することになっています。そして、県と国が確認した段階で正式に「地域計画」を策定することになります。なお、浦添市は平成29年度から「地域計画」の策定に着手して平成30年度には策定を終了する予定でいるので、早ければ平成29年度には県や国に「案」を提出して確認をしてもらうことになります。
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下の画像は、「地域計画」の策定に関する沖縄ルールを整理した資料です。
県の技術的援助により、中北組合は溶融炉を休止して焼却灰の委託処分を行っていても適正な処理を行っていると考えているので、このままでは溶融炉を休止したまま「地域計画」を策定する可能性があると考えています。
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下の画像は、その中北組合が浦添市と共同で「地域計画」の「案」を作成した場合を想定して作成した資料です。
焼却炉と溶融炉の長寿命化を行っている浦添市が、このような「地域計画」の「案」を作成するとは思えませんが、県が浦添市に対しても中北組合と同じような技術的援助を与えた場合はこのような「案」を作成することも可能性としてはあると考えています。しかし、県が県の判断で適正な「案」として確認した場合であっても、国は不適正な「案」と判断することになります。なぜなら、この「案」は既存施設に対する計画が廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画になっているからです。
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下の画像は、中北組合が溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行う場合を想定して作成した資料です。
この「案」であれば、国は了解するはずです。しかし、浦添市は間違いなく拒否することになります。なぜなら、この「案」では、浦添市も中北組合の溶融炉に対するリスクを共有することになってしまうからです。このブログの管理者は沖縄県の市町村が国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉の長寿命化を行うことはギャンブルになると考えています。そして、浦添市もそう考えていると思っています。
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下の画像は、焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止して、焼却炉だけを長寿命化する場合を想定して作成した資料です。
中北組合の焼却炉が浦添市と同じストーカ炉であれば、浦添市はこの「案」に同意するかも知れません。しかし、中北組合の焼却炉は塩分濃度の高い焼却灰(飛灰)を排出する流動床炉なので、焼却灰の資源化を安定して行うことは極めて困難です。したがって、浦添市はこの「案」も拒否すると考えます。
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下の画像は、代替措置を講じて溶融炉を廃止する場合を想定して作成した資料です。
このブログの管理者は、この「案」しか選択肢はないと考えていますが、浦添市が予定しているスケジュールを考えると、この「案」ではタイムオーバーになるので、広域処理を単独更新に変更することになると考えます。なお、この「案」を実現するためには「地域計画」を策定する前に中北組合が単独で代替措置を講じて溶融炉を廃止して、焼却炉の長寿命化も行っていなければならないことになります。
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下の画像は、中北組合が浦添市と共同で「地域計画」を策定する前に、代替措置を講じて溶融炉を廃止して、焼却炉の長寿命化を行うことを想定して作成した資料です。
このように、平成29年度に国や県が「案」を確認して平成30年度に「地域計画」を策定するという前提で考えると、中北組合は平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止して、平成30年度に焼却炉の長寿命化を完了しなければならないことになります。ちなみに、このスキームで事務処理を行う場合は、浦添市も中北組合も既存施設に対する施策を実施していることになるので、地域計画の策定は広域施設の整備だけを考えればよいことになります。
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下の画像は、浦添市と中北組合が「地域計画」の前に平成28年度において策定することになる「インフラ長寿命化行動計画」のことを考えて作成した資料です。
平成28年度が「行動計画」の策定期限になっていなければ、中北組合はもう少し余裕を持って「地域計画」の策定を行うことができますが、平成28年度はあと8ヶ月程度しか残っていません。そして、その間に既存施設の長寿命化に関する維持管理コストや更新コストの見通しを明らかにして「行動計画」に記載しなければなりません。したがって、中北組合は平成28年度の前半には既存施設に対する具体的な施策を決定しなければならない状況になっています。そして、浦添市は中北組合の「行動計画」が決定しなければ市の「行動計画」を策定できない状況になっています。
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下の画像(2つ)は、県が中北組合に対して必要な技術的援助を与えなかった場合を想定して作成した資料です。
このように、県が中北組合に対する技術的援助を適正な技術的援助と考えている場合は、中北組合も浦添市も広域処理を前提とした「行動計画」を策定することができないので単独更新を前提とした「行動計画」を策定することになります。その場合、浦添市は国の補助金を利用して単独更新を行うことができますが、中北組合は国の補助金を利用することができないので、住民から40億円以上の自主財源を確保して単独更新を行うことになります。
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下の画像(3つ)は、地域計画の策定に関する沖縄ルールについて整理をした資料です。
このように、市町村が廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することを前提にして沖縄ルールを評価した場合は、中北組合に対する県の技術的援助は間違いなく故意又は重大な過失による不適正な技術的援助になると考えます。
中北組合に対する県の技術的援助の最大の特徴は、国のインフラ長寿命化基本計画や沖縄県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否するごみ処理計画を策定していても適正な処理を行っていると判断しているところです。しかし、ごみ処理施設の長寿命化に対して財政的援助を与えている国から見た場合は、間違いなく不適正な処理を行っていることになります。
浦添市は、国や県と協議を行い廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定して処分制限期間を経過している焼却炉と溶融炉の長寿命化を行っています。したがって、中北組合に対する県の技術的援助については、浦添市も間違いなく不適正な技術的援助になると考えているはずです。
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下の画像は、広域処理における広域施設の整備に関する国の技術的援助と財政的援助の概要を整理した資料です。
このように、国は市町村が国の技術的援助に従って必要な計画を策定していることを条件に財政的援助を与えています。このため、広域施設を整備する場合は、基本方針に従って既存施設の長寿命化を実施していることが財政的援助の条件になります。
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下の画像は、地域計画の策定に関する沖縄県と国の考え方の違いを整理した資料です。
この資料にある県の考え方は、あくまでも中北組合に対する技術的援助を前提にしています。そして、国の考え方は廃棄物処理法の基本方針や「地域計画作成マニュアル」に基づく考え方になります。
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以上が、「地域計画」と「行動計画」の策定に関するこのブログの管理者の意見です。
次に、下の画像(3つ)をご覧下さい。
これは、中北組合に対する県の職員の不適正な技術的援助の実態と平成28年度における中北組合の課題、そして県の職員による中北組合に対する技術的援助によって県内の市町村に与える影響等を整理した資料です。
この資料は、県の職員が①から⑤までのことを十分に認識していれば、中北組合に対して不適正な技術的援助は与えていないという前提で作成しています。
沖縄県の市町村は人口が5万人未満であっても国の補助金を利用することができます。したがって、県内の市町村が策定しているごみ処理計画は、このブログの管理者が知る限り全て廃棄物処理法の基本方針に適合する計画になっています。しかし、中北組合(中城村・北中城村)だけは、廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定しています。しかも、その計画は県の技術的援助に従って改正した計画になっています。
上の資料は、県の職員が中北組合に対する技術的援助を適正な技術的援助と判断している場合を想定して作成しています。県の職員がこの資料を見た場合にどのように考えるかは分かりませんが、職員が不適正な技術的援助であることを認めない場合は、中北組合は国の補助金を利用してごみ処理施設を整備している自治体なので、同じように国の補助金を利用している自治体で、これから長寿命化を行う予定でいる自治体(那覇市南風原町環境施設組合等)は、「行動計画」の見直しを検討しなければならないことになります。
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次に、下の画像(4つ)をご覧下さい。
これは、「行動計画」の策定に関する沖縄県の考え方を「指針」という形で整理した資料です。
県の職員には県の服務規程に従って事務を遂行する責務があるので、中北組合に対する技術的援助が適正な技術的援助であると判断している場合は、全体の奉仕者として他の市町村に対して早急にこのような「指針」を作成して周知しなければならないことになります。
ごみ処理施設については、国は処分制限期間を経過した設備を「行動計画」の対象にしています。しかし、沖縄県は県の判断で処分制限期間を経過した設備を対象から除外しています。そして、国の補助金を利用して新たに設備を整備するまでは民間委託を可能としています。もちろん、市町村によるこのようなごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画になりますが、県は基本方針を無視しても廃棄物処理法の規定を遵守していれば適正な処理を行っていると判断しています。
中北組合に限らず、溶融炉は全ての市町村にとって「運転経費の高い設備」なので、県の事務処理(市町村に対する技術的援助)が適正な事務処理であるとするならば、他の市町村にも中北組合と同様の技術的援助を与えなければならないことになります。しかし、「行動計画」の策定に対する技術的援助は市町村の自治事務に対する技術的援助になるので、処分制限期間を経過した設備に対して地方財政法第8条の規定を除外するための法令に基づく明確な根拠を示す必要があります。
このように、県の職員が中北組合に対する技術的援助を適正な技術的援助と判断している場合は、沖縄県は日本の法令を勝手に解釈して国と対立(長寿命化を拒否)する事務処理を行っていることになります。このブログの管理者は沖縄県民ですが、県がこのような事務処理を行っていることは県民を裏切る行為になると考えています。
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最後に、下の画像(3つ)をご覧下さい。
これは、中北組合に対する県の不適正な技術的援助を県の職員が最後まで不適正であると認めなかった場合を想定して作成した資料です。
沖縄県は、処分制限期間を経過した設備に対して、県の法令解釈によって地方財政法第8条の適用を除外しています。しかし、国は地方財政法第8条の規定を根拠として処分制限期間を経過した設備を所有している市町村に対して長寿命化の推進を要請しています。そして、都道府県に対しても長寿命化の推進を要請しています。
これは、国と県の対立構造を整理した資料になりますが、県が国と対立してまで処分制限期間を経過した設備の長寿命化を拒否するのであれば、少なくとも上の資料の4つの黄色の枠の中にある条件を満たす必要があると考えます。
このように、もしも沖縄県の法令解釈が正し解釈である場合は国の法令解釈が間違っていることなるので、インフラ長寿命化基本計画をはじめとする国の長寿命化政策は崩壊することになります。
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いずれにしても、県の職員が中北組合に対する不適正な技術的援助を適正な技術的援助と判断している場合は、これらのことを視野に入れて適正な技術的援助であることを立証する必要があると考えます。
【参考資料】
この資料は、地方財政法第8条の規定と設備の長寿命化に対する国と沖縄県の考え方を比較するために作成したものです。
このように、地方財政法第8条の規定は、国が地方公共団体に対して処分制限期間を経過した設備の長寿命化を要請するときの根拠法になっています。
沖縄県は補助金適正化法の規定に基づく処分制限期間を経過した場合は設備を休止又は廃止しても補助金の返還が不要になることから、地方財政法第8条の適用を除外していると思われますが、地方財政法第8条の規定にそのような特例を認める「但し書き」はありません。
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その5に続く