沖縄の伝統芸能を生かして観光客や県民を引き付ける舞台を制作する「シップ・オブ・ザ・リュウキュウ 沖縄芸能マグネットコンテンツ舞台公演」が29日から2月12日まで那覇市のパレット市民劇場とてんぶす那覇で開催される。4人の演出家が5作品を上演する。県と県文化振興会の主催で2016年度文化観光戦略推進事業の一環。
15年度は国立劇場おきなわを中心に上演したが、16年度は県内外の観客が来やすいよう国際通り周辺の劇場を選んだ。県外・海外向けの広報に力を入れ、8月に観光業関係者に披露したり、多言語のリーフレットをホテルに置いたりしている。作品は同公演の経験者から選び、さらに磨いて新たな層に見せることを目指す。
県文化振興会の平田大一理事長と4人の演出家らが10月31日、同会で会見を開き、来場を呼び掛けた。
入場料は一般2500円、高校生以下2千円。詳細は公式サイトまたは同会(電話)098(987)0926。
上演作品の概要を紹介する。
「ボトルメール」(富田めぐみ脚本・演出)
古典舞踊、雑踊、エイサーなど幅広い琉球芸能を凝縮し、初めて見る人にも分かりやすく紹介する。アビニョン演劇祭で五つ星評価。29日~12月4日、てんぶす那覇で上演(1日除く)。
「五月九月(ぐんぐゎちくんぐゎち)」(同)
中国と薩摩の使者の歓待をダブルブッキングしてしまった琉球の役人たちのドタバタを描いた喜劇。劇中劇で琉球芸能を見せる。12月6~11日、てんぶす那覇で上演(8日除く)。
「REQUIOS・王朝伝」(照屋忠敏演出)
世界エイサー大会3連覇の創作芸団レキオスが出演する。琉球・中国の歴史上の人物を取り上げ、多彩なゲストと共に展開する。2017年1月25~29日、パレット市民劇場で上演。
「沖縄燦燦」(三隅治雄作・演出)
躍動的な舞踊、現代的にアレンジした民謡でつづる沖縄版ミュージカル。生演奏も魅力。エディンバラ、アビニョン両演劇祭で五つ星。1月31日~2月5日、てんぶす那覇で上演(2日除く)。
「YAESE芸能~結~」(神谷武史演出)
獅子舞など地域行事で演じられる演目を中心に「祈り」「祭り」「賑(にぎ)わい」の3部構成で展開。民俗芸能の魅力を伝える。17年2月7~12日、てんぶす那覇で上演(9日除く)。
芸能いいとこ取り ボトルメール
歓待巡るドタバタ 五月九月
「シップ・オブ・ザ・リュウキュウ」では富田めぐみ脚本・演出の「ボトルメール」「五月九月」が幕開けを飾る。両作品とも2013年から好評を博し、再演を重ねている。出演者は「初めて琉球芸能を見る人でもファンでも楽しめる。お客さんと一緒に楽しみたい」と意気込んでいる。
富田は「ボトルメール」について「沖縄の芸能のいいとこ取りで、密度は濃くしている。演者に力があるのでいじる必要がなかった」と話す。エイサーはうるま市与那城青年会と北谷町栄口区青年会の指導を受けた。出演者は「エイサーは特に難しい」と口をそろえる。
「五月九月」は中国と薩摩の使者の歓待をダブルブッキングしてしまった琉球の役人を描くドタバタ喜劇。劇中劇で古典舞踊などを見せる。「(仕事や学業をしながら舞台を掛け持ちする)立方、地謡のリアルな忙しさが表れている。裏の顔を見られているようにも感じる」という。
両作品とも花城英樹が音楽、呉屋かなめが振り付けを担う。共演者は「2人の呼吸がすごい。曲と振り付けを同時に作っていく」と驚く。「ボトルメール」が海外の演劇祭に参加した時は振り付けやタイミングが毎日変わり「1日たりとも同じ舞台はなかった」という。
「ボトルメール」の他の出演者は玉城盛義、呉屋、花岡尚子、花城、チアキら。「五月九月」は宇座仁一、川満香多、天願雄一、岸本隼人、玉城匠、高宮城実人ら。日によって異なる。問い合わせはシアター・クリエイト(電話)090(3074)8295。