沖縄三線.com

沖縄のことあれこれ。

映像作家・美術家 山城知佳子さん、9年ぶり県内個展

2017-04-20 10:31:51 | ニュース

 沖縄県出身の映像作家・美術家の山城知佳子さんが、5月14日まで京都で開催中の「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」に参加している。「土の唄」と題し、昨年発表した最新作「土の人」など映像・写真6作品を公開している。近年、各地の展覧会に招待されるなどその才能が国内外から評価を受けている山城さん。同27日からは沖縄で9年ぶりの個展を開く。自ら「ターニングポイント」と位置付ける今年、さらなる進化に注目したい。(大城周子)

 

左:「コロスの唄」と「黙認のからだ」  右:「ヴァーチャル継承」と「回想法」、「あなたの声は私の喉を通った」

*********************************************

 京都国際写真祭は国内外で活躍する作家の作品を、歴史的な建造物やモダンな近代建築を使って展示する。日本からは山城さん、アラーキーこと写真家の荒木経惟さん、写真家の吉田亮人さんの3人が出展している。山城さんは昨年の「あいちトリエンナーレ」で発表した「土の人」が大きな話題となり、今回の招待にもつながった。

 「土の人」は、軍事基地のある沖縄と韓国済州島を舞台に、3面にそれぞれ異なるシーンが展開される23分間の作品。緊張感を伴った映像美に加えて、声や拍手といった人が生み出す音を印象的に操り、不思議な迫力を持って見る者を揺さぶる。京都国際写真祭の今回のテーマは「LOVE」。世界的に国家主義的な傾向が強まる中、人と人をつなぐ本質的なLOVE(愛)を問い掛けるもので、死者と現代を生きる人のつながりを探る山城さんの作品にも通ずるものがある。

 京都国際写真祭の後、5月27日から6月11日までは、那覇市牧志のRENEMIA(レネミア)で個展を開く。写真作品を展示するほか、毎週末には映像作品の上映やトークイベントも予定している。11日には「土の人」を沖縄で初公開する。山城さんは「『土の人』はこれまで制作してきた作品の要素が詰まった集大成の作品。沖縄でインスピレーションを得たものを、きちんと沖縄の人に見せたいという思いがあった」と心待ちにする。

 国内外の展覧会へ相次いで参加し、3月には国際的な活躍が期待される若手作家を対象とした「アジアン・アート・アワード」のファイナリストに選ばれた。海外の映画祭へ初めて作品を出品するなど、自身もさらなる飛躍を求めている。

 一貫して沖縄の複雑な状況を見つめ、歴史や地政学的観点から表現し続けてきた。次に見据えるステージは、映画の世界だ。「土の人」の反響に確かな手応えは感じているという。「一人の人間に迫り、その生きざまから世の中を見る描き方をしたい。今年はターニングポイントになると思う。というか、しなきゃいけない」。気鋭のアーティストが、新たな扉を開こうとしている。

 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

琉球王国の技、復元へ 県、美術工芸に最新科学技術を駆使

2017-04-20 10:20:02 | ニュース

沖縄県は、琉球王国時代の精緻な美術工芸の製作技術を復元させる琉球王国文化遺産集積・再興事業を進めている。

現代の科学や技術を駆使し、2015~19年に絵画、木彫、石彫、漆芸、染織、陶芸、金工、三線の8分野65件の製作を通して失われた技を復元させる。

19~21年度はよみがえった工芸品を海外を含めて県内外に公開して王国ブランドを打ち出し、新たな文化観光拠点化を目指す。


 

16年度の成果品としては3種類の冠(はちまち)や聞得大君御殿雲龍黄金簪(きこえおおぎみうどぅんうんりゅうおうごんかんざし)など7件が県立博物館・美術館に納品された。30日には同館で16年度の事業報告会を開く。

事業は一括交付金を活用し、16年度の事業費は約1億5千万円。県立博物館・美術館が担当して、同年度は沖縄美ら島財団が委託を受けて県内外の約60の工房や作家が製作に取り組んだ。17年度も同程度の予算規模になる予定だ。

琉球王国時代の文化財は多くが沖縄戦で失われ、現存する資料は少ない。事業では、残された現物や文献を基に試作を繰り返しつつ微細な顕微鏡やエックス線などを使って科学分析もし、失われた物の姿や作り方を模索する作業が続けられている。

各分野の研究者や制作者は、分野ごとに定期的な監修者会議を開いて進捗(しんちょく)や課題を共有しており、学術的な裏付けにも念を入れる。

事業を担当する県立博物館の園原謙博物館班長は「作った人がいて物が残る。物に集約されている魅力を復元し、発信したい」と語った。

平敷昭人県教育長は「戦火などによって失われた文化財を復元し、後世の県民に伝えていくことは、意義のあることだと感じている」と話した。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする