文化庁は5日、優れた記録映画を表彰する2018年度文化庁映画賞の受賞作を発表した。
大賞に、20世紀初頭にニューカレドニアへ移住した沖縄出身の人々の苦難を伝えるシネマ沖縄製作の「まぶいぐみ~ニューカレドニア引き裂かれた移民史~」を選んだ。
受賞理由は「今まであまり知られていない移民史を丁寧に掘り起こしている」とし、評価した。
優秀賞は2作品で、米軍統治下の沖縄で抵抗運動の象徴だった政治家、瀬長亀次郎の半生を追ったTBSテレビ製作の「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」と、音楽家坂本龍一さんに密着した米国の製作会社SKMTDOC,LLCの「Ryuichi Sakamoto:CODA」を選んだ。
沖縄関係が2作品入賞した。
映画「まぶいぐみ~」の監督を務めた本郷義明さん(64)=神奈川県=は「うれしい限りです。光栄です」と喜んだ。沖縄を舞台にしたドキュメンタリー作品をこれまで3本撮ってきた本郷さん。受賞作は今までの作品と異なり、歴史事実だけでなく、ニューカレドニア県系人の親や先祖、家族への思いが含まれているという。「受賞を機に、もう一度上映しようという所があれば、こんなにうれしいことはない」と話した。
映画の原作と監修を務めた三木健さん(78)=元琉球新報副社長、浦添市=は「ニューカレドニアに渡った県系の移民の歴史が、多くの人に知れ渡る機会になればうれしい」と話した。
大賞は賞金200万円、優秀賞には100万円を贈る。25日に贈呈式、28日に受賞記念上映会が東京都内で開かれる。