水と銀 1吉田 基已講談社このアイテムの詳細を見る |
「松浦君、これすごいよ」
リアルではあまりいい想い出のない大学時代で唯一の糧は、サブカルチャーだった。そんな松浦にモーニングに掲載されたこの作品を教えてくれたのがTくんだ。
当時の松浦は、青年誌にありがちなむき出しの欲望に嫌気がさしていたので、立ち読みすらしていなかった。
だけど。
この『水と銀』だけは、違っていたんです。
素人臭さの残るタッチ、だけど登場人物は誰もが表情豊かで。
なにより惹かれたのは、その人間味でしたよ。
この人たちの仲間に自分も入りたい。森みたいなやつがクラスにいたら、楽しいだろうな。
妄想に耽りつつ、何度も読み返しました。
その後、作者の吉田基已さんは編集部の意向なのか、妹ものを書き始めるのですが、やはりこの人には打算抜きのピュアな飾り気のない青春ものを書いていてほしいです。