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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 【最終検証】「アベノミクス」が国民生活に与えたヤバすぎる影響が判明!

2024年11月12日 | 格差社会

 ★ 「光熱費」も「食費」も高くて「賃金」は崩壊
   …庶民生活を破壊しつくした”犯人”の正体

中原 圭介(経済アナリスト)

 ★ ほとんど変わらない「手取り賃金」

 アベノミクスとは、私たちの生活にどういった影響をもたらしたのだろうか。
 今回は、2013年に始まったアベノミクスの最終的な検証として、2012年以降の客観的なデータをもとに、簡潔に結論と要点だけを申し上げたい。

 政治や大手メディアが現実を直視できなかった10年余りのツケは甚大だ。

 アベノミクスでは賃上げの実績がことさら強調されてきたが、それは「春闘」に代表される大企業を中心とした賃上げに限定されていた。全体の7割を占める中小企業では、賃金は思うように伸びてこなかったのだ。

 厚労省の統計データによれば、全国の現金給与総額は2012年の31万5334円から2023年の32万9777円へと、11年間で4.6%しか上昇していなかった

 おまけに、賃上げ分の大半は社会保険料の負担増により相殺されてしまい、可処分所得はほとんど伸びていなかったと言えるだろう。

 【グラフ1:現金給与総額の推移】


厚労省の統計を基に筆者作成

 ★ 「生活コスト」は大幅に上昇…!

 しかしその一方で、生活コストは大幅に上昇してきた。アベノミクスがもたらした円安や低金利の影響によって、生活に不可欠な基礎支出(住居費・光熱費・食費)と呼ばれるモノの価格上昇が大きかったのだ。

 まず、住居費の高騰についてだ。不動産経済研究所の統計データによれば、全国の新築分譲マンションの価格は2012年の3824万円から2023年の5911万円へと、11年間で54.6%も高騰した。

 【グラフ2:新築分譲マンションの価格推移】


不動産総合研究所の統計を基に筆者作成

 円安と低金利の双方によって、建築資材価格の高騰、住宅ローンの急拡大、投資マネーの過剰流入などが起こり、新築価格の高騰を招いてきた。

 新築価格が高騰すれば、それに連動して中古価格や家賃相場も大幅に上昇する。その結果として、住居費の負担が大幅に増えてきているというわけだ。

 ★ 「光熱費」と「食費」の負担が重くなった

 次に、光熱費の上昇も大きい。日本はエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に頼っているため、円安によって発電コストが大幅に上がるのは避けられない。

 経産省の統計データに基づくと、家庭向け電気料金は2012年以降の10年間で45%も高騰した。2023年以降も大幅に上昇しているはずだったが、政府が巨額の補助金を出して料金を抑え込んでいる状況にある。

【グラフ3:家庭向け電気料金の推移】


経産省の統計を基に筆者作成

 食費の上昇も甚大だ。家庭の食卓では海外生産の食料が60~70%を占めているので、円安によって価格は大幅に上昇せざるをえなかった。その証左として、消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は2013年以降、急上昇の傾向を維持している。

 総務省の統計から計算すると、エンゲル係数は2024年1~8月累計で29.6%と過去最高を更新した。10月以降に多くの食料品が値上げされたことで、さらに高まっていく見通しだ。国民の生活水準の悪化が甚だしいというわけだ。

 【グラフ4:エンゲル係数の推移】


経産省の統計を基に弊社作成

 ★ 「実質賃金の下落」が尋常でなかった

 アベノミクス以降、大手メディアで喧伝された割には、給与は大して伸びていなかった。社会保険料の負担が増えたことを考えると、ほとんど伸びなかったと言っても過言ではない。

 その一方で、生活に必要不可欠なコストは増加の一途を辿ってきたのだから、国民の生活水準が下がり続けてきたのは当然の結果だ。厚労省の統計データを加工して計算すると、2012年から2023年までの11年間で、実質賃金は8.3%も下落していたのだ

【グラフ5:実質賃金の推移】


厚労省の統計を基に筆者作成

 アベノミクス以前の11年間、すなわち、2001年から2012年までの期間には、小泉構造改革、世界金融恐慌、東日本大震災など、国民の生活を著しく悪化させる出来事があった。この期間の実質賃金は6.4%の下落だったので、アベノミクス以降の11年間のほうが下落率は大きかったことが分かる

 これは、アベノミクスがいかに国民に痛みを強いる政策だったか、如実に表している(『衝撃!日本人の賃金が「大不況期並み」に下がっていた』参照)。

 ★ この状況をつくったのは、政権・与党だけではない

 国民の生活がここまで悪化した責任は、誰にあるのだろうか。
 私は政権・与党だけにあるわけではないと考えている。

 アベノミクスの初期から今の状況が懸念される事実があったにもかかわらず、それを指摘して追及できなかった野党にもあるし、政権・与党の主張を垂れ流してきた大手メディアにもあるからだ(『野党も気づかない、アベノミクスの「4つの間違い」にすべて答える』参照)。

 アベノミクスが国民生活に与えた影響は、今となっては明々白々だ。「給与はデフレ、生活費は高インフレ」という、以前より悲惨な状況をつくりだしたにすぎないのだ。

 国民の暮らしは今現在、アベノミクスの大きなツケを払わされている。国や家計の負債が増加し、生産性が上がらない中で、国民はアベノミクスの後遺症と今後も付き合わなければならないだろう。

 さらに連載記事『「インフレで賃金が上がらない理由」はこれだ…!「永田町の政治家たち」に告ぐ、日本を没落させた「政治の不作為の真実」』でも、アベノミクスについて検証しているので、こちらもぜひ参考としてほしい。

『現代ビジネス』(2024.11.08)
https://gendai.media/articles/-/140733

 


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