◆ 「小中学校の校務改善の方向性」と対峙するために
<アイム‘89・学校事務ユニオン・東学・東京教組・都校職組>
1.「方向性」をめぐる動向
今年、2月10日都教委は突如「小中学校における校務改善の方向性について」(以下「方向性」と略)をプレス発表した。その後6月になるまで新たな情報や資料は明らかにされなかった。
6月7日に第1回の「校務改善検討会議」が開催され、スケジュール等の資料を明らかにせざるをえなかった。東学、都校職組、アイム‘89、学校事務ユニオン東京の4者は3月に説明と協議の場の設定を求める申し入れを共同で行った。その後も再三にわたって説明会の開催要求を行ってきたが、6月の校務改善検討会議の開催を経て、私たちにも説明せざるをえなくなってきたため、7月25日に30分という限定つきで当局説明を行った。この秘密主義は一体何なのだろうか。(略)
2.アクセンチュアをうまく使った都教委
今回の「方向性」の特徴は民間調査会社に学校現場を調査させ、改革提言まで求め、それを受けて報告としてまとめられたことである。
競争入札で決まったのが(株)アクセンチュアだった。
近年では外国人が入国する際の指紋採取などを行うUS-VISIT日本版の開発など人権抑圧を促進するシステムを構築する会社として有名だ。 (略)
アクセンチュアは昨年度の調査委託を3300万円で受託した。
書面中心の一次調査の結果を中間報告として11月30日に、ヒアリング調査を中心とした2次調査の結果と一次調査の結果を総合的に1月17日に最終報告書としてまとめ都教委に提出した。事務ユニオンや東学は開示請求を行ったが、約8割が開示されたが、2割程度が非開示となった。
最終報告でアクセンチュアは変革テーマを以下の5つにまとめた。
①効率的な運営モデルの整備
②人材育成のスピードアップ
③ワークライフバランスの適正化
④精神的負担の解消
⑤キャリアの魅力向上
ところが、「方向性」では以下の4点になっている。
①適正な役割分担の実現
②業務進め方
③スキル向上
④意欲向上
アクセンチュアは効率的な運営モデルを提言すると同時に、ワークライフバランスや精神的負担の解消などバランスに配慮した提言を実は行っていた。
ところが肝心のそこの部分は非開示部分とされ、内容がわからない。
休暇を取得する体制構築も言っており、都教委にとって都合の悪い部分は「方向性」で切り捨てられている。
ところが、「方向性」はアクセンチュアの中間報告と最終報告の約95%以上そのまま資料や文章を使って書かれている。
つまり、都教委の意図は用意周到にレクチャアされており、それに基づき書かれた報告は都教委の意図を傍証するものはそのまま、そうでない少数の部位は切り捨てられたのである。
都教委の意図を具現化するアクセンチュアの報告の部分を都合よく切り貼りしたのが「方向性」なのであった。
対外的にも都教委はアクセンチュアをうまく利用できたのである。
開示請求の取組はその欺瞞性を暴露する運動として位置付いているのである。
3.校務改善の方向性が出てくる背景
事の発端は副校長、主幹教諭の受験率の低下に伴い、危機感を持った都教委が2006年に「教育管理職等の任用・育成のあり方検討委員会」を設置し、2次にわたる報告を出したことにある。
(略)
もう一つの路線変更は、具体的な問題解決として「副校長の多忙化解消」を全面に打ち出してきたことである。
あり方検討委路線では団塊の世代の大量退職に備えて管理職を確保することが中心的課題だったが、おそらく選考制度を変更した後も副校長の受験率は改善されなかったのであろう。
単に受験年齢をさげるという選考制度の変更ではなく、副校長職そのものの魅力化がなければ抜本的な改善は図られないということから、「副校長の多忙化解消」が登場したのである。
副校長の多忙化を解消するには、副校長の処理している業務を他の職員に回すしかない。それを組織的に引き受けるのが「経営支援部」なのである。
属人的に業務を移行させると移行させられる職員の反発は回避しがたいが、組織として引き受ければ誰かがやらざるをえなくなるという寸法だ。
よって出世コースに乗ろうとしている主幹教諭、事務職員、用務職員、そして新たなメンバーとして専任支援員、経営支援員がその組織に入れられ、副校長の職務を分け合うことになるのだ。
副校長が多忙なのであれば、専属の「専任支援員」=「副校長支援員」を置けばよいのである。それを「経営支援部」という新たな上位分掌を必置化するところに今回の最大の問題が潜んでいるのである。
(以下略)
<アイム‘89・学校事務ユニオン・東学・東京教組・都校職組>
1.「方向性」をめぐる動向
今年、2月10日都教委は突如「小中学校における校務改善の方向性について」(以下「方向性」と略)をプレス発表した。その後6月になるまで新たな情報や資料は明らかにされなかった。
6月7日に第1回の「校務改善検討会議」が開催され、スケジュール等の資料を明らかにせざるをえなかった。東学、都校職組、アイム‘89、学校事務ユニオン東京の4者は3月に説明と協議の場の設定を求める申し入れを共同で行った。その後も再三にわたって説明会の開催要求を行ってきたが、6月の校務改善検討会議の開催を経て、私たちにも説明せざるをえなくなってきたため、7月25日に30分という限定つきで当局説明を行った。この秘密主義は一体何なのだろうか。(略)
2.アクセンチュアをうまく使った都教委
今回の「方向性」の特徴は民間調査会社に学校現場を調査させ、改革提言まで求め、それを受けて報告としてまとめられたことである。
競争入札で決まったのが(株)アクセンチュアだった。
近年では外国人が入国する際の指紋採取などを行うUS-VISIT日本版の開発など人権抑圧を促進するシステムを構築する会社として有名だ。 (略)
アクセンチュアは昨年度の調査委託を3300万円で受託した。
書面中心の一次調査の結果を中間報告として11月30日に、ヒアリング調査を中心とした2次調査の結果と一次調査の結果を総合的に1月17日に最終報告書としてまとめ都教委に提出した。事務ユニオンや東学は開示請求を行ったが、約8割が開示されたが、2割程度が非開示となった。
最終報告でアクセンチュアは変革テーマを以下の5つにまとめた。
①効率的な運営モデルの整備
②人材育成のスピードアップ
③ワークライフバランスの適正化
④精神的負担の解消
⑤キャリアの魅力向上
ところが、「方向性」では以下の4点になっている。
①適正な役割分担の実現
②業務進め方
③スキル向上
④意欲向上
アクセンチュアは効率的な運営モデルを提言すると同時に、ワークライフバランスや精神的負担の解消などバランスに配慮した提言を実は行っていた。
ところが肝心のそこの部分は非開示部分とされ、内容がわからない。
休暇を取得する体制構築も言っており、都教委にとって都合の悪い部分は「方向性」で切り捨てられている。
ところが、「方向性」はアクセンチュアの中間報告と最終報告の約95%以上そのまま資料や文章を使って書かれている。
つまり、都教委の意図は用意周到にレクチャアされており、それに基づき書かれた報告は都教委の意図を傍証するものはそのまま、そうでない少数の部位は切り捨てられたのである。
都教委の意図を具現化するアクセンチュアの報告の部分を都合よく切り貼りしたのが「方向性」なのであった。
対外的にも都教委はアクセンチュアをうまく利用できたのである。
開示請求の取組はその欺瞞性を暴露する運動として位置付いているのである。
3.校務改善の方向性が出てくる背景
事の発端は副校長、主幹教諭の受験率の低下に伴い、危機感を持った都教委が2006年に「教育管理職等の任用・育成のあり方検討委員会」を設置し、2次にわたる報告を出したことにある。
(略)
もう一つの路線変更は、具体的な問題解決として「副校長の多忙化解消」を全面に打ち出してきたことである。
あり方検討委路線では団塊の世代の大量退職に備えて管理職を確保することが中心的課題だったが、おそらく選考制度を変更した後も副校長の受験率は改善されなかったのであろう。
単に受験年齢をさげるという選考制度の変更ではなく、副校長職そのものの魅力化がなければ抜本的な改善は図られないということから、「副校長の多忙化解消」が登場したのである。
副校長の多忙化を解消するには、副校長の処理している業務を他の職員に回すしかない。それを組織的に引き受けるのが「経営支援部」なのである。
属人的に業務を移行させると移行させられる職員の反発は回避しがたいが、組織として引き受ければ誰かがやらざるをえなくなるという寸法だ。
よって出世コースに乗ろうとしている主幹教諭、事務職員、用務職員、そして新たなメンバーとして専任支援員、経営支援員がその組織に入れられ、副校長の職務を分け合うことになるのだ。
副校長が多忙なのであれば、専属の「専任支援員」=「副校長支援員」を置けばよいのである。それを「経営支援部」という新たな上位分掌を必置化するところに今回の最大の問題が潜んでいるのである。
(以下略)
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