■ 小中学校に経営支援部
都教育委員会は、都公立小中学校校務改善検討会議による校務改善推進プランを発表した。
多忙な副校長の負担軽減が狙いで、標準的なモデルでは各学校に経営支援部(仮称)を設け、事務職員や主幹教諭などが学校運営事務や渉外、人事・服務管理も担うこととした。
プランを示された小中学校では、全体の約12%に当たる200校余りが12年度から導入する予定だが、関係者の一部からは疑問の声も出ている。
■ 校務改善へ来年度12%が導入
校務改善推進プランは、業務が集中して負担感が重い副校長を支援する組織として、各学校に経営支援部(仮称)を置くことを提案している。
都教委が07年に行った調査によると、都内公立小中学校の副校長の約90%、主幹教諭の約75%が多忙感を抱き、「学校経営に力を十分に注げない」との実態が判明した。
各種調査の回答や報告書の作成などの業務に追われている姿が浮き彫りになったという。
そこで都教委は、10年度に学校経営の中核である副校長を中心とした現場調査のほか、校長や主幹教諭、事務職員へのヒアリングなどを実施。
11年度には小中学校や学校の管理者である区市町村教委、都教委の代表者で構成する校務改善検討会議が設置され、各種施策をモデル的に行った効果などを検証した上で、今回のプランをまとめた。
10年度の調査では、校内の役割分担が不明確なことや職種を超えて教職員間で協力する意識に乏しいなどの課題が出された。
このため、経営支援部を設置する場含の標準的なモデルとしてプランが示した構成メンバーには、副校長、事務職員、用務主事、主幹教諭または主任教諭、教諭、非常勤教諭などを挙げた。
都教委は「最終的には学校設置者である区市町村教委や各校の実情によるが、出来得る限り、方針に従ってもらえたら」と話す。
12年度は全約2千校の12%に当たる約240校が導入予定で「想像以上の多さ」という。
■ 新組織に疑問も
しかし、業務の具体的な役割分担については、学校関係者の一部に波紋を呼んでいる。
副校長の役割が、学内管理、学校運営に係る施策の企画・立案、学校外関係者の対応などとされる一方、経営支援部の業務としては、部内統括のほか、校外からの調査・報告対応などの学校運営事務、人材育成、学校便り作成などの広報・情報管理、渉外、人事・服務管理、財務、給与、備品管理など多岐にわたる分野が挙げられた。
標準モデルで、部内統括を除く全てに関わるとされた事務職員の間には、「待遇も環境も整わないのに、人材育成、人事・服務などまで背負い切れない」との声がある。
「これまでも副校長と協力し、臨機応変に事務の仕事を担ってきた。かえって風通しが悪くなる」「むやみな新組織はまた会議体を一つ増やすだけ」など、組織の創設自体への疑問も聞かれる。
経営支援部への事務職員の関わりについて、都教委は「副校長と事務職員の協力がうまくいっているところはよいが、そうでない場合は役割分担を明文化することで円滑な業務にもつながる」と説明。これを機に事務職員全般に学校経営への積極的な参画を浸透させたい考えだ。
多忙感の強い教諭らに、重ねて経営支援部の仕事を負わせる側面もある。
ある管理職は「主幹教諭も主任教諭も授業やクラスを持っているのに」と負担増を心配するが、都教委は「主幹教諭などの負担は一部増えるかもしれないが、広く皆で負担する狙いがある。副校長の業務を体験することは、将来管理職になる主幹教諭のスキルアップにもなる」というスタンスだ。
「3月、4月の忙しさは並みではない」と打ち明けたある副校長は「支援組織を設けるよりも、、事務の補佐をしてくれる人を週に数日でもいいから一人つけてほしい」と本音を語る。
『都政新報』(2012/3/27)
都教育委員会は、都公立小中学校校務改善検討会議による校務改善推進プランを発表した。
多忙な副校長の負担軽減が狙いで、標準的なモデルでは各学校に経営支援部(仮称)を設け、事務職員や主幹教諭などが学校運営事務や渉外、人事・服務管理も担うこととした。
プランを示された小中学校では、全体の約12%に当たる200校余りが12年度から導入する予定だが、関係者の一部からは疑問の声も出ている。
■ 校務改善へ来年度12%が導入
校務改善推進プランは、業務が集中して負担感が重い副校長を支援する組織として、各学校に経営支援部(仮称)を置くことを提案している。
都教委が07年に行った調査によると、都内公立小中学校の副校長の約90%、主幹教諭の約75%が多忙感を抱き、「学校経営に力を十分に注げない」との実態が判明した。
各種調査の回答や報告書の作成などの業務に追われている姿が浮き彫りになったという。
そこで都教委は、10年度に学校経営の中核である副校長を中心とした現場調査のほか、校長や主幹教諭、事務職員へのヒアリングなどを実施。
11年度には小中学校や学校の管理者である区市町村教委、都教委の代表者で構成する校務改善検討会議が設置され、各種施策をモデル的に行った効果などを検証した上で、今回のプランをまとめた。
10年度の調査では、校内の役割分担が不明確なことや職種を超えて教職員間で協力する意識に乏しいなどの課題が出された。
このため、経営支援部を設置する場含の標準的なモデルとしてプランが示した構成メンバーには、副校長、事務職員、用務主事、主幹教諭または主任教諭、教諭、非常勤教諭などを挙げた。
都教委は「最終的には学校設置者である区市町村教委や各校の実情によるが、出来得る限り、方針に従ってもらえたら」と話す。
12年度は全約2千校の12%に当たる約240校が導入予定で「想像以上の多さ」という。
■ 新組織に疑問も
しかし、業務の具体的な役割分担については、学校関係者の一部に波紋を呼んでいる。
副校長の役割が、学内管理、学校運営に係る施策の企画・立案、学校外関係者の対応などとされる一方、経営支援部の業務としては、部内統括のほか、校外からの調査・報告対応などの学校運営事務、人材育成、学校便り作成などの広報・情報管理、渉外、人事・服務管理、財務、給与、備品管理など多岐にわたる分野が挙げられた。
標準モデルで、部内統括を除く全てに関わるとされた事務職員の間には、「待遇も環境も整わないのに、人材育成、人事・服務などまで背負い切れない」との声がある。
「これまでも副校長と協力し、臨機応変に事務の仕事を担ってきた。かえって風通しが悪くなる」「むやみな新組織はまた会議体を一つ増やすだけ」など、組織の創設自体への疑問も聞かれる。
経営支援部への事務職員の関わりについて、都教委は「副校長と事務職員の協力がうまくいっているところはよいが、そうでない場合は役割分担を明文化することで円滑な業務にもつながる」と説明。これを機に事務職員全般に学校経営への積極的な参画を浸透させたい考えだ。
多忙感の強い教諭らに、重ねて経営支援部の仕事を負わせる側面もある。
ある管理職は「主幹教諭も主任教諭も授業やクラスを持っているのに」と負担増を心配するが、都教委は「主幹教諭などの負担は一部増えるかもしれないが、広く皆で負担する狙いがある。副校長の業務を体験することは、将来管理職になる主幹教諭のスキルアップにもなる」というスタンスだ。
「3月、4月の忙しさは並みではない」と打ち明けたある副校長は「支援組織を設けるよりも、、事務の補佐をしてくれる人を週に数日でもいいから一人つけてほしい」と本音を語る。
『都政新報』(2012/3/27)
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