パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 『図書館の自由に関する宣言』を脅かす「拉致問題の本増やせ」内閣・文科省“事務連絡”

2022年12月08日 | 暴走する都教委

  内閣官房・文科省が全国の教委の図書館担当課に“事務連絡”
 ★ 「拉致問題の本増やせ」 (紙の爆弾)

教育ジャーナリスト・永野厚男

 文部科学省地域学習推進課・児童生徒課等3課は8月30日、内閣官房拉致問題対策本部事務局(特定失踪者家族会から要請を受けていた)が下ろしてきた「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力」の依頼文を、ほぼ丸写しした“事務連絡”を、各都道府県教育委員会等に発出した。
 その内容は「北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権、国民の生命・安全に関わる重大な問題。解決のためには、特に若い世代に拉致問題への理解促進を図ることが重要」なので、「従来から映像作品等の活用促進を学校等に周知いただいてきた」が、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日~16日)に向け、拉致問題に関する図書等の充実やテーマ展示を行なう等、利用者が手に取りやすい環境を整備するように」というもの。

 東京都教委指導企画課は早速9月1日、“事務連絡”を添付し「お知らせします」という文書を全都立学校に送付した。
 内閣官房は横田めぐみさんの拉致事件を詳しく描いたDVDアニメ『めぐみ』を、2008年に製作。11年からは文科省とともに毎年、このアニメを「各校がダウンロードし活用する」よう求める通知を、各教委に出し続けている。
 しかし国や教委が、特定主題の図書の〝充実〟やテーマ展示を求めてきたのは初めて。

 このため公益社団法人日本図書館協会は10月11日、「戦前・戦中、“思想善導”の機関として、国民の知る自由・権利を妨げる役割を果たしたことへの反省の上に、1954年に制定(79年改訂)した、『図書館の自由に関する宣言』の理念を脅かすもの」と懸念を表明した。

 北朝鮮当局による、日本の一般市民の拉致は人権侵害であり、学校で一定程度、教える必要はある。しかし“事務連絡”は、「北朝鮮憎し」という心情を児童生徒に抱かせ、差別やいじめにつながる可能性がある。また、沖縄等の米兵による性暴力・危険運転等も市民の生命を奪っているのに、政府・保守系政治家は放置状態という問題との矛盾はどうするのか。

 差別・いじめに対しては、大阪府教委人権教育企画課が18年2月13日(橋下徹氏政界引退3年後)に発行した『拉致問題人権リーフ②』が、「拉致問題は北朝鮮という国家による犯罪であり、在日韓国・朝鮮人の子どもたちには何の責任もありません。学校の児童生徒等の中には、韓国・朝鮮にルーツのある人がいる可能性も。取組みに当たっては、教育の中立性に留意し、新たな差別を生むことがないよう、十分な配慮をお願いします」などと、「人権上の配慮のお願い」を明記しているのを、全国に広めたい。

 ちなみに都教委に「大阪のような文書は出しているか」と問うと、「都教委が視聴を勧めている『めぐみ』で、横田早紀江さんが『北朝鮮国民を恨んでいるわけではない』と明言。これを踏まえれば…」との回答があった。
 06年6月施行の「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」は、地方自治体に「国民世論の啓発を図る責務」を規定している。その一方で、沖縄等の米兵の蛮行放置状態の根っこにある「自衛隊・日米軍事同盟強化が優先」という、現政府の誤った政策を転換させるため、リベラルな政権を作る世論作りが急務だ。

『紙の爆弾』2023年1月号【ニュースレスQ】


コメント    この記事についてブログを書く
« ☆ 市民と野党の政策討論集会... | トップ | ◆ 第7回日本政府報告審査『... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

暴走する都教委」カテゴリの最新記事