★ 奈良教育大学付属小学校は「みんなのねがいでつくる学校」目指してきた(週刊金曜日)
永尾俊彦(ルポライター)
1889(明治22)年、奈良県尋常師範学校附属小学校(男子部)として創設された。
戦後は戦前の「皇国民錬成」教育への反省から出発。科学、芸術、体づくりの基礎を子どもたちのものにしていくため、各教科が担うべき任務を明らかにした教科の本質に基づく授業と自治の力を育む教科外活動を柱に、子ども、保護者、教員などみんなのねがいでつくる学校を目指してきた(同小学校著『教育の創造と追究1総論・学校づくり』国土社等参照)。
奈良教育大学と奈良女子大学は2022年に法人統合、「奈良国立大学機構」に。両大学とも付属学校があり、その再編統合も今回の問題の背景にあると指摘する教員もいる。
★ 問題の背景には国立大学の独立行政法人化がある(談)
前川喜平(まえかわきへい・元文部科学事務次宮、現代教育行政研究会代表)
聞き手・永尾俊彦(ながおとしひこ・ルポライター)
(花園大学の植田健男教授が指摘する)「主体的・対話的で深い学び」(次ページ参照)と奈良教育大学付属小学校の件はたしかに矛盾します。文部科学省にもさまざまな考えの人がいるからです。
この問題の背景には、2004年に国立大学が独立行政法人化されたことがあります。財務省は、独立性を付与したので効率化できるはずだと毎年1%の運営費交付金を削減しています。
設備については別の補助金ですが、国の言うことを聞かないとお金をくれないんじゃないかという恐怖心が国立大に広がっている。理工医歯薬系の学部は企業と産学共同研究ができるが、教員養成大学は稼ぎようがない。
文科省の一部の役人は教員養成大学の教授に不満を持っています。彼らは自分の学問にしか興味がなく、教員を養成する使命感に欠ける、と。「学習指導要領を学べ」と言っていました。学習指導要領が教員養成の基準になってきている。国が望む教育をする教員を育てることが基準になっている。
私が文科省にいた頃、自民党文教族のロ出し・介入は「日常茶飯」でした。「過激な性教育はするな」「男女混合名簿は作らせるな」「従軍『慰安婦』は教科書検定で認めるな」等々。
今の自民党の教育政策は戦争ができる国民づくりにつながっています。疑うことなく、上の命令に従う国民づくりですね。(談)
※ながおとしひこ・ルポライター。
著書に『ルポ大阪の教育改革とは何だったのか」(岩波ブックレット)、『ルポ「日の丸・君が代」強制』(緑風出版)ほか。
『週刊金曜日 1492号』(2024年10月11日)
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