◆ EU、日本に「人権条項」要求=侵害なら経済連携協定停止
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)と日本が、貿易自由化に向けた経済連携協定(EPA)と同時並行で締結交渉を行っている戦略的パートナーシップ協定(SPA)に、日本で人権侵害や民主主義に反する事態が起きた場合、EPAを停止できるとの「人権条項」を設けるようEUが主張していることが5日、分かった。日本は猛反発しており、EPAをめぐる一連の交渉で今後の大きな懸案になりそうだ。
EU当局者によると、EUはSPAに民主主義の原則や人権、法の支配の尊重を明記し、日本が違反した場合、EUがEPAを停止できる仕組みを盛り込む方針を内部決定した。日本に対しては、EUで人権侵害が起きれば日本もEPAを停止できると説明、理解を求めている。
経済的利益と引き換えに民主化を迫るのは、開発途上国や新興国に対するEUの基本戦略。人権条項は第三国との協定で「不可欠の要素」とされ、対日SPAも、こうしたEU外交の延長線上にある。
ただ、EUは米国との自由貿易協定(FTA)交渉では、SPAのような政治協定の締結を求めていない。
EU当局者は、日本に対して人権条項が発動される事態は考えにくいと強調するが、EUは日本で死刑が執行されるたびに「死刑は残酷で非人道的だ」と批判する声明を発表している。死刑廃止を目指すEUが日本に働き掛けを強める上で、人権条項が無言の圧力になる可能性はある。
日本に人権条項をのませておけば、EUが将来中国とFTA交渉を行う場合、人権条項の要求を通しやすくなるとの思惑もあるようだ。
『時事通信 - Yahoo!ニュース』(2014/5/6)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140506-00000008-jij-eurp
◆ EU・日本SPAと人権条項
『hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)』
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f706.html
例によって、圧倒的に多くのネット民が、ソースに当たらずにあれこれ言い合うという状況になっているようなので、この動きの元になっていると思われる欧州議会の決議を紹介しておきます。これは、去る4月17日に欧州議会総会で可決されたものです。
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?type=REPORT&mode=XML&reference=A7-2014-0244&language=EN(European Parliament’s recommendation to the Council, the Commission and the European External Action Service on the negotiations of the EU-Japan Strategic Partnership agreement)
このうち、人権という言葉が出てくるところを抜き出しますと、
いろいろ議論するのはいいのですが、いったいどこの国と価値観を共有しているのかと思うような議論は、世界中の人々が見ているという前提でされた方がよろしかろうとは思われます。
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)と日本が、貿易自由化に向けた経済連携協定(EPA)と同時並行で締結交渉を行っている戦略的パートナーシップ協定(SPA)に、日本で人権侵害や民主主義に反する事態が起きた場合、EPAを停止できるとの「人権条項」を設けるようEUが主張していることが5日、分かった。日本は猛反発しており、EPAをめぐる一連の交渉で今後の大きな懸案になりそうだ。
EU当局者によると、EUはSPAに民主主義の原則や人権、法の支配の尊重を明記し、日本が違反した場合、EUがEPAを停止できる仕組みを盛り込む方針を内部決定した。日本に対しては、EUで人権侵害が起きれば日本もEPAを停止できると説明、理解を求めている。
経済的利益と引き換えに民主化を迫るのは、開発途上国や新興国に対するEUの基本戦略。人権条項は第三国との協定で「不可欠の要素」とされ、対日SPAも、こうしたEU外交の延長線上にある。
ただ、EUは米国との自由貿易協定(FTA)交渉では、SPAのような政治協定の締結を求めていない。
EU当局者は、日本に対して人権条項が発動される事態は考えにくいと強調するが、EUは日本で死刑が執行されるたびに「死刑は残酷で非人道的だ」と批判する声明を発表している。死刑廃止を目指すEUが日本に働き掛けを強める上で、人権条項が無言の圧力になる可能性はある。
日本に人権条項をのませておけば、EUが将来中国とFTA交渉を行う場合、人権条項の要求を通しやすくなるとの思惑もあるようだ。
『時事通信 - Yahoo!ニュース』(2014/5/6)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140506-00000008-jij-eurp
◆ EU・日本SPAと人権条項
『hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)』
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f706.html
例によって、圧倒的に多くのネット民が、ソースに当たらずにあれこれ言い合うという状況になっているようなので、この動きの元になっていると思われる欧州議会の決議を紹介しておきます。これは、去る4月17日に欧州議会総会で可決されたものです。
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?type=REPORT&mode=XML&reference=A7-2014-0244&language=EN(European Parliament’s recommendation to the Council, the Commission and the European External Action Service on the negotiations of the EU-Japan Strategic Partnership agreement)
このうち、人権という言葉が出てくるところを抜き出しますと、
D. whereas the EU and Japan share the values of democracy, the rule of law and the promotion of human rights, all of which should form the core part of any agreement between the two parties, aiming to provide a solid framework for that relationship;ということのようです。
D EUと日本は民主主義、法の支配、人権の促進という価値観を共有し、その関係の堅固な枠組みを提供することを目指し、そのすべてが両者の間のいかなる協定についても中核をなすべきであるので、
Human rights and fundamental freedoms
(q) to reaffirm the shared values of respect for human rights, democracy, fundamental freedoms, good governance and the rule of law, and to work together for the global promotion and protection of these values;
(r) to promote gender equality as a crucial element of democracy;
(s) to negotiate a provision in the agreement including reciprocal conditionality and political clauses on human rights and democracy, reconfirming the mutual commitment to these values; to adopt appropriate safeguards to ensure the stability of the agreement and that such a provision cannot be abused by either side; to insist that such conditionality should form part of the Strategic Partnership Agreement with Japan, in the spirit of the EU’s common approach on the matter;
人権と基本的自由
(q)人権の尊重、民主主義、基本的自由、良き統治及び法の支配という共有の価値観を再確認し、これら価値観を世界的に促進し、保護することに向けて活動し、
(r)民主主義の最重要の要素である男女平等を促進し、
(s)人権と民主主義に関する相互条件と政治条項を含む協定の規定を交渉してこれら価値観への相互のコミットメントを再確認し、協定の安定性を守るための適切なセーフガードを採択してそのような条件がいずれかの側から乱用されないようにし、そのような条件がEUのこの問題への共通のアプローチの精神に則って日本との戦略的パートナーシップ協定の一部となるよう主張する。
いろいろ議論するのはいいのですが、いったいどこの国と価値観を共有しているのかと思うような議論は、世界中の人々が見ているという前提でされた方がよろしかろうとは思われます。
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