☆ 「請願権裁判」次回は、3月25日(木)午後3時、808号法廷
◆ <法廷報告>原告(高嶋)の「先行判決の憲法解釈を覆す主張を準備中」発言を受けて
「結審!」宣明を裁判長が延期
皆さま 高嶋伸欣です
昨日29日の東京高裁法廷での審理の報告です
杉並区教委が事実誤記を多数含む扶桑社版歴史教科書を採択したことに伴う是正措置を求めた高嶋の請願書の扱いを巡る裁判の4回目の法廷でした。
法廷では、予想通りに裁判長が「双方の主張はほぼ出尽くしーー」と「結審!」の宣明をしかけましたが、すかさず原告代理人の大口昭彦弁護士が立ち「裁判長、まだ審理すべきことがあります」と主張し、宣明を食い止めました。
続けて原告(高嶋)が立ち、
「これまでの請願権に関わる裁判の判決で採用されている憲法16条(請願権)の解釈については、憲法学界が正面から議論をしたことがなく、先行判例は司法の場でも十分な検討をしないまま戦後70年間を経過させてきたことが判明してきていることを、本日提出の甲24号証の論文が明らかにしている。
そこで、原告としてその指摘の適否を精査する新たな甲号証等の収集とそれ等に基づく憲法16号の新たな解釈の立論を盛り込んだ次の準備書面を準備中なので、結審は早すぎる。少なくとも、先行判決の16条解釈を見直す必要があるとする準備書面を出せる次回期日の指定を今回はするように求める」と発言しました。
すると、裁判長が左右の陪席裁判官を交互に見てから「進行について協議します」と述べ、3人とも退席しました。
数分後に戻ると、裁判長が「では次回の期日を入れます」とし、原告・被告の都合も確かめて、「3月25日(木)午後3時、808号法廷」と指定のうえ
「原告(控訴人)の準備書面は3月15日(月)までに出すということでいいですか」「はい、そうします」ということになりました。
控訴審では「結審!」の宣明を押し切られることが多いとされているだけに、昨日の法廷の状況は意外でした(押し切られればそれなりの対応策の心つもりはあったのですが)。
ともあれ、45日間ほどの時間をかけて、先行判決の請願権解釈の見直しを迫るための立論に取り組めることになると同時に、今回の裁判官たちの対応から、彼らも先行判決の法解釈に即した判決は出しにくいと、甲24号証(添付の吉田栄司教授の論集)とその「証拠説明書」(添付参照)を見て認識し始めている可能性が想定されます。
話は前後しますが、先行判例では、憲法16条と請願法の定める請願権とは「請願書を官公署が受理する義務があるとした市民の側の権利にすぎず、受理後は官公署がどのように処理するかについては何も法的な義務・拘束等を課しているいるものではない(従ってそのまま無視、破棄しても責任は問われない)」とする法解釈(受益論)を一貫して維持しているものです。
その解釈の根底にあるのは「受理されるだけでも有難く思え!」という上から目線の法規解釈です。
「これではあまりに時代錯誤で、封建時代さながらではないか」という意味の指摘がようやく憲法学界の一部にあることを上記の甲24号証で吉田教授が明らかにし、吉田教授もその指摘に同感であるとしています。
その上で、吉田教授はそうした時代錯誤の16条解釈が憲法学界の主流になったのは、憲法公布後にいち早く憲法論『日本国憲法原論』(1948年、有斐閣)を著した美濃部達吉氏が同書の中で、明治憲法下の「臣民ハ」として限定的に請願を認めていた「請願令」の解釈を「国民は」という以外ほぼそのまま展開したという事実を指摘しているのです。
その点を、高嶋は甲24号証の「証拠説明書」で指摘し、急ぎ上記『日本国憲法原論』を杉並区立中央図書館から借りだし、該当記述部分のコピーを甲25号証として28日夜に提出(裁判所には深夜23時45分まで文書が提出できるそうです)。
その25号証の「証拠解説書」(添付資料参照)では、憲法16条が「何人も」としているのに美濃部氏は16条を「国民の権利」の一つとして論じるという素人でも気づく初歩的な誤りを犯しているほど、請願権を軽んじている旨を指摘してあります。
今にして思うのですが、これらの甲号証とそれらについての「説明書」を裁判官たちが読み、幾分かでも先行判例に採用されている16条解釈について再検討の必要性を感じ取り、「結審!」の宣明を先送りすることにしたのであれば、開廷期日の前日ギリギリまで取り組んだ甲斐があった、と言えそうです。
それにつけて思い出されるのは、この訴訟の訴状提出は民事訴訟提訴の時効日に当たる日の午後10時頃でした。
「面倒な裁判になる。それでもやるか、どうしよう」と迷ってのことでした。
今となれば、「とことんやる。最高裁までいって、先行判例の是正判決の獲得までめざす!」という意欲を新たにしています。
ちなみに、上記の甲24号証の吉田栄司教授の論文は、愛媛教科書裁判を支援する会で本人訴訟を30数件も続けている奥村悦夫氏のグループから教えて頂いたものです。
法律には素人の市民グループの力で、先行判例の誤りを是正する事例の一つを是非とも築きたいと思っています。
以上長くなりましたが、昨日の法廷の報告を高嶋の私見に基づいていたしました。
転送・拡散は自由です
◆ <法廷報告>原告(高嶋)の「先行判決の憲法解釈を覆す主張を準備中」発言を受けて
「結審!」宣明を裁判長が延期
皆さま 高嶋伸欣です
昨日29日の東京高裁法廷での審理の報告です
杉並区教委が事実誤記を多数含む扶桑社版歴史教科書を採択したことに伴う是正措置を求めた高嶋の請願書の扱いを巡る裁判の4回目の法廷でした。
法廷では、予想通りに裁判長が「双方の主張はほぼ出尽くしーー」と「結審!」の宣明をしかけましたが、すかさず原告代理人の大口昭彦弁護士が立ち「裁判長、まだ審理すべきことがあります」と主張し、宣明を食い止めました。
続けて原告(高嶋)が立ち、
「これまでの請願権に関わる裁判の判決で採用されている憲法16条(請願権)の解釈については、憲法学界が正面から議論をしたことがなく、先行判例は司法の場でも十分な検討をしないまま戦後70年間を経過させてきたことが判明してきていることを、本日提出の甲24号証の論文が明らかにしている。
そこで、原告としてその指摘の適否を精査する新たな甲号証等の収集とそれ等に基づく憲法16号の新たな解釈の立論を盛り込んだ次の準備書面を準備中なので、結審は早すぎる。少なくとも、先行判決の16条解釈を見直す必要があるとする準備書面を出せる次回期日の指定を今回はするように求める」と発言しました。
すると、裁判長が左右の陪席裁判官を交互に見てから「進行について協議します」と述べ、3人とも退席しました。
数分後に戻ると、裁判長が「では次回の期日を入れます」とし、原告・被告の都合も確かめて、「3月25日(木)午後3時、808号法廷」と指定のうえ
「原告(控訴人)の準備書面は3月15日(月)までに出すということでいいですか」「はい、そうします」ということになりました。
控訴審では「結審!」の宣明を押し切られることが多いとされているだけに、昨日の法廷の状況は意外でした(押し切られればそれなりの対応策の心つもりはあったのですが)。
ともあれ、45日間ほどの時間をかけて、先行判決の請願権解釈の見直しを迫るための立論に取り組めることになると同時に、今回の裁判官たちの対応から、彼らも先行判決の法解釈に即した判決は出しにくいと、甲24号証(添付の吉田栄司教授の論集)とその「証拠説明書」(添付参照)を見て認識し始めている可能性が想定されます。
話は前後しますが、先行判例では、憲法16条と請願法の定める請願権とは「請願書を官公署が受理する義務があるとした市民の側の権利にすぎず、受理後は官公署がどのように処理するかについては何も法的な義務・拘束等を課しているいるものではない(従ってそのまま無視、破棄しても責任は問われない)」とする法解釈(受益論)を一貫して維持しているものです。
その解釈の根底にあるのは「受理されるだけでも有難く思え!」という上から目線の法規解釈です。
「これではあまりに時代錯誤で、封建時代さながらではないか」という意味の指摘がようやく憲法学界の一部にあることを上記の甲24号証で吉田教授が明らかにし、吉田教授もその指摘に同感であるとしています。
その上で、吉田教授はそうした時代錯誤の16条解釈が憲法学界の主流になったのは、憲法公布後にいち早く憲法論『日本国憲法原論』(1948年、有斐閣)を著した美濃部達吉氏が同書の中で、明治憲法下の「臣民ハ」として限定的に請願を認めていた「請願令」の解釈を「国民は」という以外ほぼそのまま展開したという事実を指摘しているのです。
その点を、高嶋は甲24号証の「証拠説明書」で指摘し、急ぎ上記『日本国憲法原論』を杉並区立中央図書館から借りだし、該当記述部分のコピーを甲25号証として28日夜に提出(裁判所には深夜23時45分まで文書が提出できるそうです)。
その25号証の「証拠解説書」(添付資料参照)では、憲法16条が「何人も」としているのに美濃部氏は16条を「国民の権利」の一つとして論じるという素人でも気づく初歩的な誤りを犯しているほど、請願権を軽んじている旨を指摘してあります。
今にして思うのですが、これらの甲号証とそれらについての「説明書」を裁判官たちが読み、幾分かでも先行判例に採用されている16条解釈について再検討の必要性を感じ取り、「結審!」の宣明を先送りすることにしたのであれば、開廷期日の前日ギリギリまで取り組んだ甲斐があった、と言えそうです。
それにつけて思い出されるのは、この訴訟の訴状提出は民事訴訟提訴の時効日に当たる日の午後10時頃でした。
「面倒な裁判になる。それでもやるか、どうしよう」と迷ってのことでした。
今となれば、「とことんやる。最高裁までいって、先行判例の是正判決の獲得までめざす!」という意欲を新たにしています。
ちなみに、上記の甲24号証の吉田栄司教授の論文は、愛媛教科書裁判を支援する会で本人訴訟を30数件も続けている奥村悦夫氏のグループから教えて頂いたものです。
法律には素人の市民グループの力で、先行判例の誤りを是正する事例の一つを是非とも築きたいと思っています。
以上長くなりましたが、昨日の法廷の報告を高嶋の私見に基づいていたしました。
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