東京新聞 【筆洗】
◆ 自分なんか生まれてこなければよかったんだ… (TOKYO Web)
「自分なんか生まれてこなければよかったんだ…」。絶対、子どもたちに口にしてほしくない言葉だ。
世の中には、さまざまな道徳観がある。だが、子どもにそんな思いをさせる法があるのなら、それは倫理的に正しいのか
▼「児童の権利に関する条約」は世界中の子どもの尊厳を守るためにつくられた。
その二条は<児童又(また)はその父母…の人種、皮膚の色…出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し…確保する>よう各国に求めている
▼日本もこの条約を守ることを、世界に約束した。
しかし、国連の人権機関から「出生にかかわる差別だから改めるように」と言われ続けてきたのが、法律上の結婚をしていない男女に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を、結婚した夫婦の子の半分と定めた民法の規定だ
▼何人もの婚外子たちが違憲だと訴えてきた。最高裁はおととい、大法廷で当事者らの意見を聞いた。
秋にも違憲と判断する可能性がある。原告の一人は「自分の命の価値が半分と言われているみたいだ。そんな差別はおかしい」と思いを語った
▼自ら裁判を闘ったことがある女性はこう言ったそうだ。
「両親への恨みはないし、婚外子に生まれたことを不幸とも思っていない。不幸なのは婚外子を差別する社会に生まれたこと」
▼私たち一人一人に、重く問い掛ける言葉だ。
『東京新聞』(2013年7月12日【筆洗】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013071202000136.html
◆ 自分なんか生まれてこなければよかったんだ… (TOKYO Web)
「自分なんか生まれてこなければよかったんだ…」。絶対、子どもたちに口にしてほしくない言葉だ。
世の中には、さまざまな道徳観がある。だが、子どもにそんな思いをさせる法があるのなら、それは倫理的に正しいのか
▼「児童の権利に関する条約」は世界中の子どもの尊厳を守るためにつくられた。
その二条は<児童又(また)はその父母…の人種、皮膚の色…出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し…確保する>よう各国に求めている
▼日本もこの条約を守ることを、世界に約束した。
しかし、国連の人権機関から「出生にかかわる差別だから改めるように」と言われ続けてきたのが、法律上の結婚をしていない男女に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を、結婚した夫婦の子の半分と定めた民法の規定だ
▼何人もの婚外子たちが違憲だと訴えてきた。最高裁はおととい、大法廷で当事者らの意見を聞いた。
秋にも違憲と判断する可能性がある。原告の一人は「自分の命の価値が半分と言われているみたいだ。そんな差別はおかしい」と思いを語った
▼自ら裁判を闘ったことがある女性はこう言ったそうだ。
「両親への恨みはないし、婚外子に生まれたことを不幸とも思っていない。不幸なのは婚外子を差別する社会に生まれたこと」
▼私たち一人一人に、重く問い掛ける言葉だ。
『東京新聞』(2013年7月12日【筆洗】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013071202000136.html
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