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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

消費税増税と法人税減税

2010年07月07日 | 格差社会
 【初心者のための税金講座…5】
 ▼ 各政党の税制政策

浦野広明(立正大教授、税理士)

 消費税増税の「錦の御旗」は、自公政権が二〇〇九年三月二七日に成立させた「所得税法等の一部を改正する法律附則第104条」です。
 附則第104条は、憲法第25条の生存権を根拠とする応能負担原則に反しており、効力を有しません。このような附則の税制路線を法律できまったのだと固執することは、とても「国民の厳粛な信託」(憲法前文)に応えたものとはいえません。
 附則第104条の内容は、日本経団連の「経団連成長戦略2010」(一〇年四月一三日発表)の税制要求にそっくりです。
 大方の政党の公約は、消費税増税と法人税減税の組み合わせです。
 消費税が導人された、一九八九年当時の法人税率は四〇%でしたが、現在は三〇%です。
 国民は八九年度から二〇一〇年度までに消費税約二二四兆円を納付する見込みです。
 その一方で八九年度の税収と比較した法人三税(実効税率計算の基になる法人税、法人住民税、法人事業税)の減収額累計は、約二〇八兆円の見込みです。
 法人三税の減税による収人減を消費税が補っています

 憲法に基づく応能負担原則を生かすことを考えたいものです。
 ▼ 「抜本的な改革」って?

 この附則第104条は、「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度〈2011年度〉までに必要な法制上の措置を講ずる」としています。
 「抜本的な改革」とは、①消費税の引き上げ、②法人税の減税、③所得税、住民税増税、④、資産家の株運用益減税、⑤相続税の対象拡大、などが大要です。
 法人税減税の合言葉「成長力強化」「経済成長」です。大企業をもっと強くすれば、その利益が国民の暮らしにまわり、景気が良くなるという論法です。
 企業の利益は「収益」から「費用」を引いたものです。大企業は利益を増やすための費用削減として、使い捨て低賃金非正規雇用の拡大、下請け中小企業への単価切り下げなどを進めてきました。
 その結果、年収二〇〇万円に満たない人が、一〇〇〇万人を超えています。これでは国民の購買力は低下し、日本経済は停滞するはずです。
 厚生労働省の発表によれば、今年三月の生活保護受給者数は一八六万六一五七人です。しかし、生活保護は受給要件が厳しく、厚労省が今年四月に発表した推計でも、基準で定める最低生活費を下回る所得しかない世帯の一五・三%しか受給していません。
 法人税は法人の「所得」(益金-損金)を課税対象にしています。税率を引き下げなくても、労働者や下請け企業にまともな対価を支払えば損金が増え、法人税負担は少なくなります。これこそが内需主導の安定した経済成長策です。
 「不公平な税制をただす会」は、大企業・大資産家に応分の負担を求めることにより三一兆円を超える増収が見込めると試算しています(本誌六月一八日号)。
 大企業の税負担軽減策はいっそうの税収減をまねき、国と地方の財政をいっそう圧迫します。あらゆる税金を負担能力に応ずるものとすることが、憲法を生かすことです。
 (以下略)

      消費税増税 法人税減税
 民主党    ?     ○
 自民党    ?     ○
 公明党    ×     ○
 共産党    ×     ×
 社民党    ×     ×
 みんな    ?     ○
 たちあ    ○     ○
 新党改    ?     ○

『週刊金曜日』(2010.7.2 第805号)

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