パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

高校新卒 派遣・請負求人

2007年06月25日 | ノンジャンル
 ■ 高卒の求人 加速する「使い捨て」

 規制緩和による派遣や請負の雇用者の増加は、収入などで差がある正規雇用者との「格差」を顕在化させている。「多様な働き方」とも称されるが、高校新卒者への求人でも派遣や請負が増えていることが判明。教え子を社会に送り出す先生たちからは、「若者を使い捨てにしないで」との声が出る。未来を支える若者の生活をどのように支援するのか。今回の参院選では、雇用の在り方も問われている。(早川由紀美、1面参照)

 地元には働き口が少ない東北地方。学校側は、賃金や労働条件が厳しい派遣や請負に生徒を送り出すのには慎重だが、選択肢の一つとなっているのが現状だ。
 青森県のある県立高校は昨春、男子生徒五人を派遣会社に就職させた。だが、四カ月以内に全員辞めたという
 一人は関東地方の自動車工場で働き、腰を痛めた。コンビニで弁当を買う以外は寮と工場を会社のバスで往復する日々。辞めて郷里に戻った後、担任だった男性教諭(五六)に「疲れて何もする気が起きなくなった」と漏らした。今は地元のスーパーでアルバイトをしているという。
 その後、この高校では生徒がどうしても行きたいという場合以外は、派遣会社には就職させない方針を採るようになったという。
 男性教諭は「応援団長だった生徒も一カ月で辞めた。今の若者は我慢強くないといわれるが、企業が過酷な待遇で雇用していることも原因ではないか。地方のハンディキャップとともに、高校生の就職の改善にも政治は力を発揮してほしい」と訴える。

 同県内の別の農業高校では昨春十二人、今春二人の生徒が派遣や請負会社に就職した。
 昨年度、高校に来た派遣・請負の求人票は七十三件。給与は十五万~二十万円が大半だ。しかし住み込みで寮費などを引かれた後の手取りは、十万円を切ることも多い。
 この高校の男性教諭(五六)は「地元企業の賃金は時給六百円台というのもあって極めて安いので、それよりはましとなる」と話す。
 家庭の経済状態から就職という選択肢しかない生徒も増えているという。「十何年前までは『学力面で進学できないから就職』だった。七、八年前から『就職できないから進学』となった。今、大学は学力を問わずどこかには入れる状態だが、経済的に進学できないから就職となっている」

 千葉県の男性高校教諭は最近、派遣会社に正規雇用で就職した二年前の卒業生に学校で会った。支店長になっており「朝から深夜三時まで働く日もある」と聞かされた。「生徒のアルバイトの実態を見ても、法律を守らない事例がめちゃくちゃだくさんある。目先の利益のために若者を利用している状態では、いずれ社会全体が疲弊する。使い捨てしない社会をつくることは政治の責任」と訴えた。
【労働者派遣法の規制緩和】
 1999年12月の改正で、製造業などを除き派遣対象業種の制限を撤廃し自由化。2004年3月、生産現場への派遣も解禁された。
 文部科学、厚生労働両省は、就職状況の厳しかった02年3月の報告書で「学校における新規高卒者に対する有期雇用への条件付き職業紹介の検討」を盛り込んだ。
 「アルバイトなどよりは職業規律の育成につながる」というプラス面と「有期雇用の求人が浸透すると、新規高卒者の求人自体が常用雇用中心から有期雇用の方に大きく移行してしまう可能性がある」などマイナス面を踏まえて検討する必要がある-としている。

 『東京新聞』(2007/6/24朝刊「'07参院選 選風」)

 ■ 都内高卒求人 期限付き派遣・請負拡大
  今春6.3% 不安定雇用募る懸念


 今春卒業した高校生を対象にした東京都内の求人のうち、6・3%が働く期間に期限のある派遣・請負だったことが、東京労働局の調査で分かった。全国の高卒の就職内定率は二〇〇三年以降上昇に転じ、今春は96・7%。だが、この数年は派遣や請負会社からの求人が増え、高校側には不安定な雇用が広がることへの懸念の声も出ている。

 同局職業安定課の星野亜弓主任が、都内のハローワークからの報告を基に集計した。
 調査結果によると、昨夏から今年三月までに受け付けた四万四千八百六十一人の高校新卒者対象の求人のうち、働く期間に期限がある派遣は五百七人、請負が二千三百三人だった。この数字には都内に本社がある会社の全国への求人も含まれるが、会社によって支社などが地域ごとに行っている採用活動の数字は含まない。また、警備や建設などの職種は雇用主以外の仕事場で働くことが前提なので、除外されている。

 同局は一昨年も一定期間、調査を実施。星野主任は「期間や分類方法が違うので単純比較はできないが、派遣や請負はじわじわと増えているという印象だ」と言う。また、労働者派遣法の規制緩和で、一般の求人でも派遣・請負が増えているのに加え、「若い人を採用したくても自前では難しい企業が、派遣会社に採用を働きかけている側面もあるようだ」とみている。

 日本高校教職員組合が二十九道府県の四百七十二校で行った調査では、就職決定者に占める派遣・請負などの割合は、〇三年度に3・3%だったのが、今春は4・0%に上った。「一つの請負会社から六十枚ほどの求人票が一度に送られてきた」(滋賀)「直接来校したり、パンフレットを何度も送付したり熱心な求人活動をしている印象」(兵庫)などと、就職戦線での存在感を強めている。一方、「休日の少なさ、給料の低さ、求人票とのギャップが多い」(山形)「一年後に正社員にするという請負も、確認するとそうではないことが多い」(大阪)など、労働条件に関する懸念も多いという。

 厚生労働省若年者雇用対策室は「求人活動は法令に違反していない限り自由」としているが、「できるだけ安定した仕事に正規に雇用してもらう、という観点からは、派遣などは高卒者に勧められない」と言っている。

『東京新聞』2007年6月24日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2007062402026723.html

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