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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

原発問題は「命よりも金儲け・経済が優先」の新自由主義の攻撃

2013年10月11日 | フクシマ原発震災
  =教育労働者全国通信 第48号(2013.10.1)=
 ▼ フクシマを訪ねて/労働組合としてフクシマとの連帯を
日教組奈良市書記次長 増田順計

 夏の終わりに、日教組奈良市の仲間とフクシマを訪ねました。日教組奈良市は、労働組合として原発廃炉・再稼働絶対反対を掲げて闘ってきました。今回の訪問は1泊2日の日程で、福島現地で何が起きているのかをしっかりと感じ取り、労働組合としてフクシマとの連帯を強化していくことが目的でした。
 ▼ 福島県教組本部
 福島県教組では、元双葉支部長で現在本部副委員長の柴口正武さんに1時間半にわたって話をしていただきました。
 まず、柴口さんが怒りと悔しさをにじませて語られたのは、原発事故直後の政府による情報隠しで多くの県民、とりわけ子どもたちと、子どもたちの安否確認に走り回っていた教育労働者が被曝したことです。
 そして、セシウム137(半減期30年)の汚染で今後30年後でも福島県の東半分は放射線管理区域のままであると語り、同様の事故を繰り返さないために「全国の原発をなくさなければばならない」と話されました。
 また、「復興」の名のもとに学校の再開も進められていますが、再開先の学校に戻ってきている子どもは本来の1割程度です。現在、県教委は「3・11前の学力まで戻そう」と言っているが、「まずやるべきは(放射能の心配のいらない)安全な学習環境をどう保障するかではないか」と語られました。
 福島県教組は、以前から「多忙化、過重労働」問題に精力的に取り組んできました。しかし原発事故で組合員自らが「被災者」となり、「兼務辞令」(県教委は警戒区内の「在籍校」と同時に子どもたちの避難先の学校での勤務を命じた)で家族はバラバラにされ、中には100㌔を超える通勤を余儀なくされるなど、過酷な労働条件を強いられました。私たちが闘いの重点に据える「過重労働問題」についても議論できました。
 原発問題も過重労働問題も「命よりも金儲け・経済が優先」の新自由主義の攻撃なのだと鮮明になり、今後の連帯を誓って県教組を後にしました。
 ▼ 浪江町「希望の牧場」
 午後、被曝で政府が「殺処分」を決定した肉牛350頭を飼育する吉澤正巳さんのお話をうかがいに、浪江町の「希望の牧場」を訪問しました。
 飯舘村を通り浪江町に入った途端、車中の線量計の数値がみるみる上昇した時は、「日本一美しい村」をキャッチフレーズにしていた農村が住むこともできない状況に追い込まれたのだと怒りがこみ上げてきました。
 幹線道路の左右に広がるかつての田畑は雑草だらけであるか、何人もの労働者が黙々と除染作業を行っていました。
 この日、別の場所で除染作業をしている方が、「俺たちは会社の研修で1万マイクロシーベルト(=10㍉シーベルト)までは大丈夫だって言われているんだ」と話していました。通常私たちが受ける年間被曝量の10倍です。低線量被曝や内部被曝の危険性をごまかした「研修」で被曝労働をさせられている。除染労働者の多くは下請け、孫請けの非正規職の方だったろうと思います。ここにもまた新自由主義・非正規労働の許すことのできない姿がありました。これはまさに労働組合の課題です。
 吉澤さんの「残る生涯をかけてこの牛たちを育てながら政府と東電の責任を追及していく」と落ち着いた語り口の中には、自ら大量に被曝しながらも牧場にとどまり「ベこ飼い」としての誇りを守って闘い続ける壮絶な覚悟が込められていました。
 吉澤さんと、「殺処分」に応じる苦渋の決断をした他の肉牛農家の間には、いまだ溶けることのない対立があるそうです。生きていくための一つひとつの決断を巡って、地域・家族が分断されていくことの全責任は原発を推進してきた政府と電力会社にあります。こんなことを繰り返させないために、労働組合が闘いの軸に据わらなければという思いを新たにしました。
 ▼ ふくしま共同診療所
 翌日、福島駅前の「ふくしま共同診療所」を訪問しました。全国、さらには海外からのカンパと、診療に当たる6人の医師によって、避難したくてもできない子どもたちと親を支える診療活動を行っています。
 松江寛人院長からお話をうかがうことができました。「県は、子どもたちの甲状腺検査で通常考えらえない水泡の多発や癌が発見されているにもかかわらず、『原発事故の影響ではない』と言い切り、甲状腺エコーも2~3分しか行わず、記録も残していない。なぜ事故の影響でないと言い切れるのか。診療所は今後も子どもたちの経過観察を行い、福島の人びとに寄り添った診療を続けたい」との思いを語ってくださいました。
 ▼ フクシマ訪問を終えて
 「原発汚染水は完全にコントロールされている」。IOC総会で安倍首相は、私たちをだましてきた同じやり方で世界も欺いたつもりでしょう。
 しかし、フクシマの怒りはもう限界だということが今回の訪問で鮮明になりました。政府のフクシマ切り捨て、棄民政策を許すことはできません。
 今、日教組奈良市では今回のフクシマ訪問の報告リーフを作成しています。訪問参加者の共通する思いは、「まず本当の福島の現状、私たちが体中で感じ取った事実を組合員に、そして現場の仲間に伝えよう」ということです。そして、労働組合としてフクシマと連帯した反原発の闘いを強化していきたいと考えています。
国鉄1047名解雇撤回! 反原発・反失業!
全世界の労働者と団結し「生きさせろ」の大反乱を!
  ☆ 11・3全国労働者総決起集会 ☆
11月3日(日)正午 東京・日比谷野外音楽堂 集会後、デモ
呼びかけ 関西生コン支部/港合同/動労千葉/国鉄闘争全国運動

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