◆ やっぱりあるよね、便乗値上げ
官と民の認識はずれずれ (週刊金曜日)
増税後、この値段はおかしいと思う例が、身近にはたくさん。
でも官の論理では便乗値上げじゃないらしいのです。
4月に増税されてからも、便乗値上げをしていると思われる店が目についたので、3月に続いて再度、消費者庁の便乗値上げ情報・相談窓ロに電話で情報を提供した。
情報提供したのは、近所のスーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストア、衣料専門店などの5業者。
「3月までの税込価格を4月から税抜価格(本体価格)にしている商品が結構ある。調査してもらえないか」と依頼した。
すると「消費者庁が調査することはありません。管轄している農林水産省や経済産業省に情報を伝えるだけです」という。消費者庁は、単なる窓口業務をしているだけなのである。
さらに「店の人にどうして値上げをしたのか聞いてください」と言うのだ。
私は「それを店に聞くのが消費者庁ではないか。どうして消費者が聞かなければならないのか。消費者庁は、何のために情報を収集しているのか。便乗値上げを取り締まるためではないのか」と問い詰めると「窓口は管轄官庁に情報を提供するだけです」という。
では農水省や経産省が調査するのかというと「わからない」という。
消費者庁長官は、2日の記者会見で、内税200円のコーヒーが内税220円になった例を引き合いに出し「合理的な理由があれば便乗値上げにならない」と述べている。
窓口の担当者に「合理的な理由とはどのようなものか具体例はあるのか」と聞くと、「具体的な判断事例があるわけではなく、消費者庁が判断するだけだ」という。消費者庁が合理的だと思えば便乗値上げにならないということだ。
ある店で「これ3%より上がっているんじゃないですか」と店の人に聞くと「価格は変わるものですから」という答えだった。まさに「ごもっとも」な答えだが、これが許されるなら便乗値上げそのものがないことになる。
消費者庁は、220円のコーヒーの件も、理由を聞いたのかどうか答えないまま「今回の増税時に便乗値上げはなかった」と結論付けている。
その根拠のひとつとして消費者庁は、4月11日に「物価モニター調査(4~8日)の結果、3月(7~11日)と税抜価格で比較すると、調査した40品目の平均で、0・1%しか上昇していないので、便乗値上げが横行しているわけではない」という見解を示した。
これは「事業全体で適正な転嫁をしている場合は、便乗値上げにならない」としているからだ(表参照)。しかし、40品目の比較でしかない。ましてや、実際に相談窓口に指摘があった企業を調べているわけではない。
それなのに「便乗値上げはなかった」と結論付けている。
消費者から指摘があっても、事業者に注意指導をするわけでもないし、調査すらしない。
すべて合理的な理由で値上げを正当化してしまう。最初から便乗値上げを阻止する気など毛頭なかったのだ。
それどころか、物価を上昇させなければならない安倍政権に協力するために、事業者に対し「すべて合理的な理由にするから、どんどん値上げをしなさい」ということを伝えるための窓口だったのだ。
便乗値上げしやすいように、消費者からクレームがあっても、消費者庁が事業者の防波堤の役目をしているのだ。
消費者利益より事業者利益を優先し、事業者の砦になって消費者の攻撃を防ぐ消費者庁など必要ない。かえって邪魔である。
『週刊金曜日 990号』(2014.5.9)
官と民の認識はずれずれ (週刊金曜日)
増税後、この値段はおかしいと思う例が、身近にはたくさん。
でも官の論理では便乗値上げじゃないらしいのです。
垣田達哉(食品問題評論家、消費者問題研究所代表)
4月に増税されてからも、便乗値上げをしていると思われる店が目についたので、3月に続いて再度、消費者庁の便乗値上げ情報・相談窓ロに電話で情報を提供した。
情報提供したのは、近所のスーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストア、衣料専門店などの5業者。
「3月までの税込価格を4月から税抜価格(本体価格)にしている商品が結構ある。調査してもらえないか」と依頼した。
すると「消費者庁が調査することはありません。管轄している農林水産省や経済産業省に情報を伝えるだけです」という。消費者庁は、単なる窓口業務をしているだけなのである。
さらに「店の人にどうして値上げをしたのか聞いてください」と言うのだ。
私は「それを店に聞くのが消費者庁ではないか。どうして消費者が聞かなければならないのか。消費者庁は、何のために情報を収集しているのか。便乗値上げを取り締まるためではないのか」と問い詰めると「窓口は管轄官庁に情報を提供するだけです」という。
では農水省や経産省が調査するのかというと「わからない」という。
消費者庁長官は、2日の記者会見で、内税200円のコーヒーが内税220円になった例を引き合いに出し「合理的な理由があれば便乗値上げにならない」と述べている。
窓口の担当者に「合理的な理由とはどのようなものか具体例はあるのか」と聞くと、「具体的な判断事例があるわけではなく、消費者庁が判断するだけだ」という。消費者庁が合理的だと思えば便乗値上げにならないということだ。
ある店で「これ3%より上がっているんじゃないですか」と店の人に聞くと「価格は変わるものですから」という答えだった。まさに「ごもっとも」な答えだが、これが許されるなら便乗値上げそのものがないことになる。
消費者庁は、220円のコーヒーの件も、理由を聞いたのかどうか答えないまま「今回の増税時に便乗値上げはなかった」と結論付けている。
その根拠のひとつとして消費者庁は、4月11日に「物価モニター調査(4~8日)の結果、3月(7~11日)と税抜価格で比較すると、調査した40品目の平均で、0・1%しか上昇していないので、便乗値上げが横行しているわけではない」という見解を示した。
これは「事業全体で適正な転嫁をしている場合は、便乗値上げにならない」としているからだ(表参照)。しかし、40品目の比較でしかない。ましてや、実際に相談窓口に指摘があった企業を調べているわけではない。
それなのに「便乗値上げはなかった」と結論付けている。
消費者から指摘があっても、事業者に注意指導をするわけでもないし、調査すらしない。
すべて合理的な理由で値上げを正当化してしまう。最初から便乗値上げを阻止する気など毛頭なかったのだ。
それどころか、物価を上昇させなければならない安倍政権に協力するために、事業者に対し「すべて合理的な理由にするから、どんどん値上げをしなさい」ということを伝えるための窓口だったのだ。
便乗値上げしやすいように、消費者からクレームがあっても、消費者庁が事業者の防波堤の役目をしているのだ。
消費者利益より事業者利益を優先し、事業者の砦になって消費者の攻撃を防ぐ消費者庁など必要ない。かえって邪魔である。
『週刊金曜日 990号』(2014.5.9)
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