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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

Why China is in the Security Council and Japan is Not(インタープレス通信社)

2016年01月04日 | 人権
 ◆ なぜ日本は国連の常任理事国になることができないのか? | 星の金貨プロジェクト
 Ian Williams(Senior Analyst,for the Tribune)


 ~急転直下の日韓両政府間の従軍慰安婦問題「決着」の背景にあったもの、そしてその先にあるもの
 ~『大東亜共栄圏』一見、共存共栄を目指すかのようなスローガンを掲げながら、日本のアジア支配は野蛮・残忍だった
 日本政府は国連の安全保障理事会の常任理事国入りを目指していますが、自身の外務省の外交政策のまずさと潘基文国連事務総長の歓迎されざる発言に苛立ちを募らせています。
 日本の外務省の担当者は北京で開催された中国の抗日戦争(第二次世界大戦 - 太平洋戦争)勝利70周年記念式典に国連の潘基文国連事務総長が出席したことについて、「特に歴史的事実に関する問題については、国連は中立の立場を守らなければならない」とのコメントを発表し、あからさまな「強い不快感を表明」しました。
 しかしこうした姿勢は、常任理事国入りへの取り組みにはどのような貢献もしませんでした。
 2015年国連が発足して70年を迎えたのを機に、安全保障理事会のあり方について改めて改良すべきではないかとの議論が持ち上がったまさにそのタイミングで、反韓国感情も見え隠れする品性に欠ける日本の外務省のコメントは公表されました。
 国連発足70周年が第二次世界大戦終了70周年と同じ年であるのは、もちろん偶然でもなんでもありません。
 第二次世界大戦こそは連合国陣営における国連誕生の最大の動機であり、中国が安全保障理事会の常任理事国で日本がそうではないのはまさにこの点に理由があります
 そして国連憲章は、第二次世界大戦の敗戦国が国連を中心とした世界秩序に異議を唱えたり、再び敵対行動を行わないようにするために、新たな体制の誕生を明確にするために制定されたものなのです。
 第二次世界大戦中、日本は近隣諸国を侵略しました。
 この点は疑いようのない事実です。
 そして侵略した後の支配の仕方も、『大東亜共栄圏』などという一見共存共栄を目指すかのようなスローガンを掲げていながら、概して野蛮であり、残忍でした。
 ◆ 国連の立場は中立ではありません。
 枢軸国、特にドイツと日本との戦いに勝利するために設立された組織であり、そのことは未だに国連憲章にはっきりと書かれています。
 しかしドイツの再統一後、ポーランドは国連総会で演説を行い、国連憲章に未だに残されている敵国条項に言及し、ドイツはすでに国際社会の敵ではないと認められるべきだとしました。
 これとは対照的に、日本の安倍政権は第二次世界大戦中の日本軍の行動について一部を正当化しようという態度を見せており、反発する中国は国連において日本の戦争中の行動を際だたせようとする工作も行っています。
 拒否権を持つロシアも常任理事国入りを目指す日本とドイツに対し、警戒する動きを見せています。
 ポーランドは再統一されたドイツがもはや1939年当時と同じ国ではないことを確信しているということを、その宣言において明確に示し、ドイツとポーランド両国は互いに寛容な姿勢を見せています。
 しかし日本と韓国の関係がドイツ・ポーランドの和解同様の関係に発展するとは考えられません。
 韓国出身の国連事務総長がその任期の後半に入った現在、日本は他の常任理事国から改めて現在の国連事務総長支持の態度を明らかにするよう国際的な圧力をかけられています。
 安倍首相による戦後70周年の談話に対しては、世界中から数限りない懐疑的なコメントが寄せられました。
 歴史的に見て、日本に対する戦勝者は台湾に本拠を写した蒋介石率いる中華民国であるべきでしたが、結局は中華人民共和国がその席に座り、国連の常任理事国の席にも座りました。
 そして第二次世界大戦中、スターリンがドイツと不戦条約を結んでいた事実も見過ごされ、ロシアではなくソビエト連邦社会主義共和国がナチス・ドイツを敗戦に追い込んだ多大な功績を認められ、常任理事国として恒久的な地位を与えられました。
 しかしカティンの森でのポーランド軍将校の大虐殺からドレスデン大空襲、そして広島と長崎の原爆投下に至るまで、勝利者となった国々は戦争に責任のないはずの一般市民に対する大量殺人に関わってもきました。
 その戦争終了から70年後という現在は確かに安全保障理事会を改良すべきタイミングだということができます。
 常任理事国5カ国だけが永久の権利を持ち、たった1国で全ての議案の成立を阻むことがてきる拒否権を持つことが、国連の矛盾を大きくしています。
 そして非常任理事国同士も改革の方向性に違いがあることも混乱の原因になっています。
 常任理事国入りを目指す日本に対し、安倍首相の言動により、反対する各国が改めてその意思を強いものにしたということはまず間違いがないでしょう。
 国連における正義の実現と組織の効率化に貢献すべき条件は幾つか考えられますが、そのための選択肢には常任理事国の拡大はありません。
 多くの国々はこれ以上常任理事国が増えてしまうことは望んではおらず、強大な国力を持つ隣国がその候補となることを表明した際には、長い任期を得たいのであれば非常任理事国として再選されるよう公正な競争を求めるだけです。
 現在国連の改革は手詰まりの状態にあり、安倍政権の隣国との間で過去を清算せずに常任理事国の席だけを求めるという節度のない態度は、そうした混乱を一層助長することになるでしょう。
 中国の敵対心と潜在的拒否権がある以上、日本は結局他の方法を選ばざるを得ません。
 北京における対日戦争勝利70周年記念パレードの前に、潘基文国連事務総長がこう語りました。
 安倍晋三首相はこの談話から、自らに課すべき教訓を引き出すべきでした。

 安倍首相の数代前の村山富市首相は1995年、北京を訪問して日本が行った侵略戦争について自ら謝罪を行い、世界はこの時日本の誠意ある対応を高く評価しました。
 安倍首相がもし村山首相のこの時の態度を受け継いでいれば、今頃日本の評価はもっとずっと良いものになっていたはずなのです。
※ イアン・ウィリアムスはトリビューン紙の外交問題・時事問題の上級アナリストであり、コラムニストです。近刊には『初心者のための国際連合』新版があります。
 イアン・ウィリアムス / IPSニュース 9月23日
http://www.ipsnews.net/2015/09/opinion-why-china-is-in-the-security-council-and-japan-is-not/
『星の金貨プロジェクト』(2015年12月31日)
http://kobajun.chips.jp/?p=25756
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