☆ 死刑残置残酷国家
鎌田 慧(ルポライター)
最高裁で死刑が確定した袴田巌さんの無実が再審で証明され、死刑制度への疑問が強まっている。
与野党の国会議員を含む「日本の死刑制度について考える懇話会」は、11月中旬、政府に対して「現状のまま存続させてはならない」と死刑制度を根本的に検討するための、会議の設置を提言した。
国連総会は1989年に死刑廃止条約を採択。
欧州を含む112力国、米国のほぼ半分の州、韓国、ロシアなど中止国もまた多い。
しかし、日本は世界の常識に逆らう絞首刑残置国。
それでもかつては、死刑囚同士、同じ階で行き来が自由で、歌を歌うなどのレクリエーションもあった。が、いまは24時間監視、当日の朝、いきなり刑場へ引き立て、遺書を書く時間さえ奪われる確定死刑囚が、100人以上いる。
11月下旬、国連人権理事会に任命された「拷問」「恣意(しい)的処刑」など6テーマの「特別報告者」が連名で、日本政府に対して、日本の死刑制度は国際法に違反する疑いがある、として執行停止の検討を求める通報を行った(「朝日新聞」12月7日)。
国の「非人道性」が批判されたのだが、政府は「制度の是非は自国で考えるべき問題だ」と回答したという。
「余計なお世話だ」という反論のようだが、私には「敵は殺せ」「悪い奴(やつ)は抹殺せよ」との仇(あだ)討ち、戦争の思想は認められない。
『東京新聞』(2024年12月10日)
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