<転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」・「千葉高教組」・「新芽ML」の渡部です。
7・25東京地裁(青野裁判長)判決は、最高裁判決を土台にして全面的に展開していますので、以下の「第4 争点に対する判断(56~154頁)」について今後何回かに分けて紹介することにします。
(ただし、「2 本案前の争点」、「12<コ、損害の有無及び額>について」は除きます)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第4 争点に対する判断(56~154頁)
1 判断の前提となる事実関係
(1)学習指導要領の改訂
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)
2 本案前の争点
(これについては、退職者は訴えの利益を有するとしている)
3 <ア、通達・職務命令は、憲法19条違反か>について
4 <イ、信教の自由(憲法20条)を侵害しているか>について
5 <ウ、教師の専門職上の自由を侵害する憲法13条、23条、26条違反か>について
6 <エ、学習指導要領の法的拘束力の有無>について
7 <オ、通達・職務命令は、旧教育基本法10条が禁止する「不当な支配」に当たるか>について
8 <カ、通達・職務命令は、国際条約(自由権規約、児童の権利に関する条約)に違反するか>について
9 <キ、不起立は、地公法32条、33条に違反するか>について
10 <ク、処分は、憲法31条の定める適正手続きに違反するか>について
11 <ケ、処分は、裁量権の逸脱・濫用か>について
12 <コ、損害の有無及び額>について
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここでまず目立つのが、以下の項目です。
「1 判断の前提となる事実関係
(1)学習指導要領の改訂
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)」
これに関して、実に、56頁から100頁にもわたって述べられています。
「第4 争点に対する判断(56~154頁)」の約半分の分量です。
そして、その中でも最初に来るのが、「(1)学習指導要領の改訂」です。
(これは、「6<エ、学習指導要領の法的拘束力の有無>について」と関係する部分ですので、あとでもまた触れます)
ここでは、(小・中・高校の学習指導要領では)
「平成元年(1989年)3月まで、・・・『国民の祝日などにおいて儀式などを行う場合には、児童(生徒)に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに、国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましいこと』と定められていたが、同月15日、改訂され、『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。』との*国旗国歌条項が定められた。なお、国旗国歌条項は、その後改訂されていない。」
と述べられています。
つまり、卒業式、入学式での「国旗・国歌」の義務付けは、学習指導要領改訂で1989年以来ずーっとそうなっていたんだ、と述べているのです。そのような意味で、「学習指導要領改訂」が一番最初に置かれていることに、今回の判決の反動的性格が典型的に現れているといえるでしょう。
さらにご丁寧に、文部省作成の『高等学校指導要領解説 特別活動編』(平成11年(1999年)の以下の解説をつけています。
「・・・・・入学式や卒業式は、学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新しい生活の展開への動機付けを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上でよい機会となるものである。このような意義を踏まえ、入学式や卒業式においては、『国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする』としている。・・・・・・・・・
なお、入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが大切である。」
しかし、改訂当時、日教組は『改訂学習指導要領と私たちの課題 高校編』(1989年6月20日発行)を出し、次のように述べていました。
「現行の『望ましい』から『指導するものとする』への改訂は明らかに質的な転換であり、学校現場にとてつもない混乱を引き起こすものである。文部官僚は『今度は教員が従わなければ、処分の対象になる』と異常な恫喝を加えた。・・・・・
特に、『君が代』斉唱の強制は、その歌詞内容が主権在民の憲法原則に反する上に、歌うという個人の行為を強制し、『思想・良心の自由、表現の自由』にも抵触するため、二重の意味において違憲的性格が濃厚である。」
1995年に日教組中央が*パートナー路線をとり、「日の丸・君が代」強制反対の旗を降ろす前には、日教組もこのようにちゃんと批判していたのです。
私は今でもこれが原則だと思います。
次回は、さらに以下について紹介します。
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)」
ここでは、・「国旗国歌法」制定(平成11年、1999年)過程、
・「10・23通達」(平成15年、2003年)過程、
などのことが、「棄却判決は当然」とばかりに、整理されています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『第2回 8・12~13「日の丸・君が代」裁判 全国学習・交流集会』
<場 所> 社会文化会館(メトロ永田町下車徒歩6分)
<内 容>
・8月12日(金)
13時 社会文化会館第2会議室集合
14時~17時 諸行動(最高裁要請、文部科学省交渉など)
17時30分~19時30分 交流集会 (社文地下食堂)
・8月13日(土) 社会文化会館第1会議室
9時30分~12時30分 1、諸行動の報告
2、各地からの報告
13時30分~17時 3、討論
*********************************************************
「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
http://kenken.cscblog.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
http://homepage3.nifty.com/hinokimi/
7・25東京地裁(青野裁判長)判決は、最高裁判決を土台にして全面的に展開していますので、以下の「第4 争点に対する判断(56~154頁)」について今後何回かに分けて紹介することにします。
(ただし、「2 本案前の争点」、「12<コ、損害の有無及び額>について」は除きます)
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第4 争点に対する判断(56~154頁)
1 判断の前提となる事実関係
(1)学習指導要領の改訂
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)
2 本案前の争点
(これについては、退職者は訴えの利益を有するとしている)
3 <ア、通達・職務命令は、憲法19条違反か>について
4 <イ、信教の自由(憲法20条)を侵害しているか>について
5 <ウ、教師の専門職上の自由を侵害する憲法13条、23条、26条違反か>について
6 <エ、学習指導要領の法的拘束力の有無>について
7 <オ、通達・職務命令は、旧教育基本法10条が禁止する「不当な支配」に当たるか>について
8 <カ、通達・職務命令は、国際条約(自由権規約、児童の権利に関する条約)に違反するか>について
9 <キ、不起立は、地公法32条、33条に違反するか>について
10 <ク、処分は、憲法31条の定める適正手続きに違反するか>について
11 <ケ、処分は、裁量権の逸脱・濫用か>について
12 <コ、損害の有無及び額>について
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ここでまず目立つのが、以下の項目です。
「1 判断の前提となる事実関係
(1)学習指導要領の改訂
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)」
これに関して、実に、56頁から100頁にもわたって述べられています。
「第4 争点に対する判断(56~154頁)」の約半分の分量です。
そして、その中でも最初に来るのが、「(1)学習指導要領の改訂」です。
(これは、「6<エ、学習指導要領の法的拘束力の有無>について」と関係する部分ですので、あとでもまた触れます)
ここでは、(小・中・高校の学習指導要領では)
「平成元年(1989年)3月まで、・・・『国民の祝日などにおいて儀式などを行う場合には、児童(生徒)に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに、国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましいこと』と定められていたが、同月15日、改訂され、『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。』との*国旗国歌条項が定められた。なお、国旗国歌条項は、その後改訂されていない。」
と述べられています。
つまり、卒業式、入学式での「国旗・国歌」の義務付けは、学習指導要領改訂で1989年以来ずーっとそうなっていたんだ、と述べているのです。そのような意味で、「学習指導要領改訂」が一番最初に置かれていることに、今回の判決の反動的性格が典型的に現れているといえるでしょう。
さらにご丁寧に、文部省作成の『高等学校指導要領解説 特別活動編』(平成11年(1999年)の以下の解説をつけています。
「・・・・・入学式や卒業式は、学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新しい生活の展開への動機付けを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上でよい機会となるものである。このような意義を踏まえ、入学式や卒業式においては、『国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする』としている。・・・・・・・・・
なお、入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが大切である。」
しかし、改訂当時、日教組は『改訂学習指導要領と私たちの課題 高校編』(1989年6月20日発行)を出し、次のように述べていました。
「現行の『望ましい』から『指導するものとする』への改訂は明らかに質的な転換であり、学校現場にとてつもない混乱を引き起こすものである。文部官僚は『今度は教員が従わなければ、処分の対象になる』と異常な恫喝を加えた。・・・・・
特に、『君が代』斉唱の強制は、その歌詞内容が主権在民の憲法原則に反する上に、歌うという個人の行為を強制し、『思想・良心の自由、表現の自由』にも抵触するため、二重の意味において違憲的性格が濃厚である。」
1995年に日教組中央が*パートナー路線をとり、「日の丸・君が代」強制反対の旗を降ろす前には、日教組もこのようにちゃんと批判していたのです。
私は今でもこれが原則だと思います。
次回は、さらに以下について紹介します。
(2)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成10年まで)
(3)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成11~12年まで)
(4)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成13~14年まで)
(5)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成15~16年まで)
(6)東京都における国旗・国歌の指導状況等(平成17年以降)」
ここでは、・「国旗国歌法」制定(平成11年、1999年)過程、
・「10・23通達」(平成15年、2003年)過程、
などのことが、「棄却判決は当然」とばかりに、整理されています。
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『第2回 8・12~13「日の丸・君が代」裁判 全国学習・交流集会』
<場 所> 社会文化会館(メトロ永田町下車徒歩6分)
<内 容>
・8月12日(金)
13時 社会文化会館第2会議室集合
14時~17時 諸行動(最高裁要請、文部科学省交渉など)
17時30分~19時30分 交流集会 (社文地下食堂)
・8月13日(土) 社会文化会館第1会議室
9時30分~12時30分 1、諸行動の報告
2、各地からの報告
13時30分~17時 3、討論
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http://kenken.cscblog.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
http://homepage3.nifty.com/hinokimi/
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