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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ソメイヨシノは脆弱な単一品種

2012年04月09日 | 平和憲法
 ◆ 品種の多様性
小沢祥司(環境ジャーナリスト)

 花見と言えばソメイヨシノが定番だが、これは江戸時代に生み出された品種で、挿し木や接ぎ木で、しか増やせないため、皆同じ遺伝子を持つクローンだ。
 クローンゆえに、同地域のソメイヨシノは一斉に咲き、一斉に散る。だから人は愛でるのだが、寿命は短く「六十年説」もある。ヤマザクラやエドヒガンザクラなどに数百年の古樹があるのと対照的だ。
 クローンは環境の変化や病虫害への耐性も一様である。病気が広がれば全て枯れ果てる恐れもある
 多様な遺伝子を持つ子孫を残すことは種を存続させる上で欠かせない
 十九世紀半ば、アイルランドは飢饉に見舞われ、多くの餓死者を出した。
 当時、英国の植民地だったアイルランドでは、貧しい農民の食料は単一品種のジャガイモにほぼ依存していた。種いもを植えて作るジャガイモは、同一品種はすべてクローン。そこに疫病菌が広がり、数年間ほとんど収穫できなくなった。
 現代農業では、収量が多い、味が良い、成長が早いなどの特性を持った品種が選ばれる傾向にある。
 日本の米は今や、ほとんどコシヒカリ系。
 牛も一部の種牛から冷凍保存された精液を使い、同系統の遺伝子を持っている。
 病虫害や気候変動のことを考えると、決して望ましいことではない。

 効率一辺倒で「品種の多様性」を損なえば、脆弱な構造を生む
 桜にもさまざまな品種があるし、地域の気候風土の中で受け継がれてきた伝統作物も大切にしたいものだ。
『東京新聞』(2012/4/3 夕刊【紙つぶて】)
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