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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

学習指導要領改訂で教員の仕事を増やした反省の弁が一言もない文科省

2019年03月01日 | こども危機
  =中教審答申 上意下達の働き方改革=
 ◆ やらされる感が増すピラミッド型学校づくり (週刊新社会)
教育ジャーナリスト 永野厚男

 ◆ 国家主義教育の強化
 中央教育審議会(会長=北山禎介・前三井住友銀行会長)は1月25日の総会で、学校“働き方改革”の答申を柴山昌彦文部科学相に手渡した。
 大手マスコミは答申について、①変形労働時間制導入、②中学校教員の多忙化の原因のーつである部活動で「休養日設定、部活動指導員の任用・配置」、③小中等で教材等の印刷等を手伝うスクール・サポート・スタッフ、理科の授業での実験器具の準備・片付け等を担う補助員(いずれも定数外で非常勤)の体制整備を提言、と報じている。
 しかし文科省内で答申作りを担当した財務課長の合田哲雄氏自身が、前々職の教育課程課長当時、学習指導要領改訂を担当し、「特別の教科」にした小中の道徳で「児童生徒一人一人への評価を記述させる」という重い仕事を増やしたり、小学校5・6年の新教科・外国語(3・4年は外国語活動)の授業時間を年間35時間も増やしたりしたのに、それへの反省の弁は一言もない
 それどころか答申は、第1次安倍政権が06年、与野党の対立下、”我が国……を愛する態度”を盛るなど改定した教育基本法を受け、「我が国……の現状と歴史について、正しい理解に導き、……我が国……を愛する態度を養う」などと翌07年、改定した学校教育法第21条「義務教育の目標」の全文を掲載。国家主義教育はむしろ強化しようとしているのだ。
 文科省が教育委員会を通して、あるいは教委が直で各小中高校等に下ろしてくる”調査”は、いじめや情報リテラシーなど児童生徒のためになるものは必要だが、政治色・国家主義色の濃いものは全廃するべきだ
 ◆ 執拗な”君が代”調査

 都教委が03年、”君が代”強制を強化する”10.23通達”発出以降、その強制が学校現場に多忙化に加え、恐怖ももたらしている事実は枚挙に暇がない。
 2つに絞り振り返る。

 町田市教委の山田雄三教育長(当時)は04年12月16日、「入学式、卒業式の適正な実施について」と題し、05年3月の卒業式で、「特に、国歌については、他の式歌と同様の声量で歌うことができるよう指導する」との通知を、約60の市立小中学校に発出。1~2月は「月ごと」、3月は「週ごと」に、音楽等での”君が代だ指導の計画作成式当日の実施状況の報告書の提出、さらに「週案簿に記載、管理職の授業観察」も求めた。
 東大市立第四小学校の05年秋の運動会で、当時の小宮山郁子校長(都教委”人権教育”担当の指導主事出身)は「”君が代”をテープで流す国旗掲揚・降納時に、職員は(運動場のポールの)国旗に向かって注目し、範を示すこと」という、人の視線の管理、即ち身体の自由を奪う”職務命令”を発出。これに抗し、児童の方を向いていたという理由だけで、男性教諭が市教委に報告され”口頭注意”を受けている。
 都立学校はもとより区市町村立学校も、式前日までの本来不必要な仕事(教職員への起立等職務命令発出、ピアノ・CD点検)、教委から祝辞と称し”君が代”監視の役人が来る当日の緊張感は、大変なものである。
 ◆ 主幹教論を増員

 答申は「目指すべき学校の組織運営体制の在り方」の項で、”管理職登竜門”の主幹教諭増員を強調。
 08年予算で「主幹教諭を置く公立小中学校等の人的体制を整備するための加配定数」を創設し1000名分、その後も増員し18年度予算では1728名分措置。主幹教諭の担当授業時数の約半分(非常勤職雇用で)を軽減できた、と誇る。
 だが主幹教諭は職務命令を出せるので、一般教諭は“やらされ感”が増すだけだ。

 一方、答申は「文科省は、…全ての学校においてストレスチェックが実施されるよう教育委員会の実態を調査し、市区町村ごとにその実施状況を公表すべきである」「ストレスを感じた教職員は、まずは上司や同僚へ相談することが考えられるものの……多忙で相談しづらい雰囲気になって」いる、と記述する。
 しかし、(副)校長や主幹教諭から“部下”の一般教諭へのパワハラの多発には一切言及しない。文科省や多くの教委が上意下達の学校作りが良いと考えているからだが、ストレスの真因のパワハラを除去せずストレスチェックをやつて、何の意昧があるのか。
 なお答申は、このピラミッドの組織化や教職員を競わせ給与にも差を付ける業績評価制度の弊害に目を閉ざし、「休憩時間に教職員がざっくばらんな会話を気軽にできるような休憩室等のスペースが……確保されればストレスの解消はもちろん、様々なアイディアの交換に役立つ」とも主張している。
『週刊新社会』(2019年2月19日)

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