■ 土肥先生とのあつい信頼関係があったことが伝わってくる証人尋問
2.反対尋問
続いて、被控訴人(東京都側)の弁護士から証人への反対尋問が行われました。
○卒業式関連
弁護士:平成19年度の定時制の卒業式についての職務命令の出た日付を覚えている?ほかにどんな議題が話し合われたのかは覚えていない?
証人:正確な日付は覚えていません。平成20年の2月であることは確かです。冒頭に職務命令が出されたことは覚えているが、ほかにどんな議題が話し合われたかまでは、おぼえていません。
弁護士:平成21年の職務命令は日付は2月29日と書かれているけど?
証人:3月あたまが卒業式なので、確かな日付はわからないが、そのころに行われたと思う。
弁護士:平成21年の卒業式のテレビ取材については土肥校長から説明はあった?
証人:ありました。
弁護士:反対の先生はいなかったの?
証人:いませんでした。
弁護士:何のためのテレビ取材か、当時はわかっていたの?
証人:わかっていません。
弁護士:平成20年の卒業式の実施要綱の説明はあった?
証人:あったと思います。
弁護士:職務命令書の読み上げもあった?どんな内容?
証人:とにかく、日の丸の掲揚のときに起立すること、君が代を斉唱すること、場内の生徒をちゃんと指導すること、式典にふさわしい服装をすること・・・
弁護士:式場外で警備の先生、受付の先生は?警備は○○先生、受付は○○先生でしたよね?
証人:詳しくは覚えていません。○○先生は産休の代替で来られた先生だったが、その先生がまた産休をとられた、というようなことだったような・・・でもよく覚えていません。
弁護士:物理的な意味で、式場外の先生と、式場内の先生で、命令の内容に違いがあるという認識はあった?外の二人についても同じ?
証人:卒業式は一つ行事です。式場の内外は二の次です。事細かにはやりません。
○平成18年9月21日東京地裁判決での都教委の敗訴についての土肥先生の発言関連
証人は、都側の弁護士さんの質問に答えて、都側の敗訴については3時前後の休憩時間に、職員室の壁一枚隔てたところにあるパソコン室と印刷室をかねた部屋で、教員の誰かが情報を仕入れたと記憶していること、土肥校長がどういう指摘をしたのか、細かいことは忘れたこと、その場には4-5人いたこと、後に土肥先生が判決に関する都教委批判の嫌疑をかけられ指導をうけたことを社会科の先生から聞いたことを証言されました。
3.吉峯弁護士からの証人尋問
そのあと、土肥先生側の主任弁護士である吉峯弁護士から最後にいくつか証人に質問がありました。吉峯弁護士の「校長は普通どのくらい学校にいるのですか、土肥先生の場合はどうでしたか。」という問いに対して証人は、「校長は、8時半から5時半までの勤務が普通です。土肥校長は、(定時制に必ず来るので)夜は、ほとんど毎日、6時から8時くらいまで学校にいました。」と証言され、「卒業式にテレビ取材が入るということは都教委からも事前に了承を得ているとの説明はありましたか」との問いかけには、証人は、「あったと思うが、よくおぼえていません」、と答えられました。
4.次回の予定
このあと裁判長は、今日の尋問と鑑定意見書を踏まえて、控訴人(土肥側)は11月2日までに書面を提出、そのあと被控訴人(都側)は11月29日までに書面を提出することとし、次回の控訴審は12月6日木曜日、午後2時30分より、第511法廷で行う、と決定しました。午後3時半ごろに閉廷となりました。
5.報告集会
このあと、午後4時より、TKP新橋ビジネスセンターの会議室4Dにて、報告集会が行われました。(今回の司会は事務局の成瀬氏でした。)
● 吉峯弁護士より
暑い中、今回も多数の方に傍聴においでいただき、ありがとうございます。毎回申し上げておりますが、この裁判が多くの関心と支持を集めていることを示すことになりますので、多数の方の傍聴を、今後もよろしくお願いします。
今回は、久々におもしろい法廷だったろうと思います。なんといっても裁判は証人尋問がハイライトです。高裁で証人尋問が認められたことについては、二つの可能性が考えられます。いちおう話は聞いた、ということを示すため、なのか、三鷹高校での実態を把握したいという思いで聞いてくれたのか、どちらかはわかりません。
証人尋問は、お人柄があらわれていて、良かったとおもいます。本番に強い人です。反対尋問についても、崩れなかったと思います。あちらが場外・場内の別にこだわったのは、こちらは包括的職務命令であると主張しているのに対して、個別だと言いたかったのでしょう。
また、人間は忘れるものです。記憶のあやふやな点をついて、証人の記憶があやふやのことをあぶりだし、陳述書もあやふやな記憶にもとづいているとしたかったのでしょう。このような時、覚えていると言い張るのは、よくありません。忘れましたといえばいいことなのです。今日の尋問は、大学の成績で言えば、A+の 90点です。
西原博史先生も、お忙しい中、鑑定意見書を間に合わせてくださいました。次回は12月6日の午後2時半からです。次回は短いと思います。判決は来年3月ごろでしょうか。
● 高橋弁護士より
今日は、傍聴、どうもありがとうございました。今回は、いろいろ動きがあり、退屈しなかったとおもいます。今日は、第一準備書面(土肥側)を提出しました。
また、西原博史教授の鑑定意見書も提出しました。二つのパートに分かれていて、職員室での挙手採決の禁止は校長の権限への侵害であることと、都教委には憲法の保証する表現の自由への侵害があることが言われています。
西原教授は憲法問題の日本有数の専門家です。言われているのは、都教委のほうは、組織の一員であれば、公の場に出ずに組織内で解決すべきであると主張しているが、今回の場合、公の場に持ち出さなくては、校長の権限も表現の自由も守れない状況にあったのであり、正当な権利の行使であるということ、都立学校は公的な空間であるということです。次回までに、これを踏まえた準備書面を出す予定です。
証人の証言についてですが、現役の先生が証人として出てくれるというのは、すごいことです。今の都教委の圧迫は強いので、なかなか、証人になってくれないのが常です。そんななか、先生は快諾してくださり、厚く御礼申し上げたいと思います。
個別的職務命令は、こちらの、「文書で一人一人」、という理解と都の「一人一人の名を読み上げて一人一人の職務がわかるようにすれば口頭でも個別的」であるという主張が対立しているところです。
次回、できれば、土肥先生の意見陳述を要求はしてみたいと思っています。
● 吉峯弁護士(息子さん)
証人尋問は、やるほうにとっても難しいものです。ハラハラして見ていましたが、完璧に答えてくださったとおもいます。反対尋問では、一部の記憶のあやふやなところをついてくるのですが、証人は、忘れたところは忘れたとおっしゃったのが良かったと思います。土肥先生とのあつい信頼関係があったことが伝わってくる証人尋問だったとおもいます。
● 証人より
裁判所の中に入ったのは今日がはじめてです。主尋問のほうは、うまくいったと思いますが、反対尋問は頭に血が上りました。また、機会がありましたら、お役に立ちたいと思います。
● 土肥先生より
今日は、最高の人が証人に立ってくれました。教育実践を、見ていてくれた人です。
都は、土肥が「名前を呼んだから個別的」であり、個別的職務命令を出したと主張していますが、名前を呼んでいないことを、今日、証言してくれました。
職員会議での挙手・採決禁止についても、都は、土肥がコミュニケーションを取っていないから必要とするのだと主張していますが、これもそうではないことが証言されました。指導日の問題も、証言されました。
これで勝てなければ、誰も勝てないと思います。今度ばかりは、勝訴したい、と思っています。ありがとうございました。
このあと、質疑応答が行われ、5時過ぎに閉会となりました。
暑い中、ご来場くださった皆様、ほんとうにありがとうございました。
(完)
『土肥元校長の裁判を支援する会』(2012/9/16)
http://dohi-shien.com/html/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=53
2.反対尋問
続いて、被控訴人(東京都側)の弁護士から証人への反対尋問が行われました。
○卒業式関連
弁護士:平成19年度の定時制の卒業式についての職務命令の出た日付を覚えている?ほかにどんな議題が話し合われたのかは覚えていない?
証人:正確な日付は覚えていません。平成20年の2月であることは確かです。冒頭に職務命令が出されたことは覚えているが、ほかにどんな議題が話し合われたかまでは、おぼえていません。
弁護士:平成21年の職務命令は日付は2月29日と書かれているけど?
証人:3月あたまが卒業式なので、確かな日付はわからないが、そのころに行われたと思う。
弁護士:平成21年の卒業式のテレビ取材については土肥校長から説明はあった?
証人:ありました。
弁護士:反対の先生はいなかったの?
証人:いませんでした。
弁護士:何のためのテレビ取材か、当時はわかっていたの?
証人:わかっていません。
弁護士:平成20年の卒業式の実施要綱の説明はあった?
証人:あったと思います。
弁護士:職務命令書の読み上げもあった?どんな内容?
証人:とにかく、日の丸の掲揚のときに起立すること、君が代を斉唱すること、場内の生徒をちゃんと指導すること、式典にふさわしい服装をすること・・・
弁護士:式場外で警備の先生、受付の先生は?警備は○○先生、受付は○○先生でしたよね?
証人:詳しくは覚えていません。○○先生は産休の代替で来られた先生だったが、その先生がまた産休をとられた、というようなことだったような・・・でもよく覚えていません。
弁護士:物理的な意味で、式場外の先生と、式場内の先生で、命令の内容に違いがあるという認識はあった?外の二人についても同じ?
証人:卒業式は一つ行事です。式場の内外は二の次です。事細かにはやりません。
○平成18年9月21日東京地裁判決での都教委の敗訴についての土肥先生の発言関連
証人は、都側の弁護士さんの質問に答えて、都側の敗訴については3時前後の休憩時間に、職員室の壁一枚隔てたところにあるパソコン室と印刷室をかねた部屋で、教員の誰かが情報を仕入れたと記憶していること、土肥校長がどういう指摘をしたのか、細かいことは忘れたこと、その場には4-5人いたこと、後に土肥先生が判決に関する都教委批判の嫌疑をかけられ指導をうけたことを社会科の先生から聞いたことを証言されました。
3.吉峯弁護士からの証人尋問
そのあと、土肥先生側の主任弁護士である吉峯弁護士から最後にいくつか証人に質問がありました。吉峯弁護士の「校長は普通どのくらい学校にいるのですか、土肥先生の場合はどうでしたか。」という問いに対して証人は、「校長は、8時半から5時半までの勤務が普通です。土肥校長は、(定時制に必ず来るので)夜は、ほとんど毎日、6時から8時くらいまで学校にいました。」と証言され、「卒業式にテレビ取材が入るということは都教委からも事前に了承を得ているとの説明はありましたか」との問いかけには、証人は、「あったと思うが、よくおぼえていません」、と答えられました。
4.次回の予定
このあと裁判長は、今日の尋問と鑑定意見書を踏まえて、控訴人(土肥側)は11月2日までに書面を提出、そのあと被控訴人(都側)は11月29日までに書面を提出することとし、次回の控訴審は12月6日木曜日、午後2時30分より、第511法廷で行う、と決定しました。午後3時半ごろに閉廷となりました。
5.報告集会
このあと、午後4時より、TKP新橋ビジネスセンターの会議室4Dにて、報告集会が行われました。(今回の司会は事務局の成瀬氏でした。)
● 吉峯弁護士より
暑い中、今回も多数の方に傍聴においでいただき、ありがとうございます。毎回申し上げておりますが、この裁判が多くの関心と支持を集めていることを示すことになりますので、多数の方の傍聴を、今後もよろしくお願いします。
今回は、久々におもしろい法廷だったろうと思います。なんといっても裁判は証人尋問がハイライトです。高裁で証人尋問が認められたことについては、二つの可能性が考えられます。いちおう話は聞いた、ということを示すため、なのか、三鷹高校での実態を把握したいという思いで聞いてくれたのか、どちらかはわかりません。
証人尋問は、お人柄があらわれていて、良かったとおもいます。本番に強い人です。反対尋問についても、崩れなかったと思います。あちらが場外・場内の別にこだわったのは、こちらは包括的職務命令であると主張しているのに対して、個別だと言いたかったのでしょう。
また、人間は忘れるものです。記憶のあやふやな点をついて、証人の記憶があやふやのことをあぶりだし、陳述書もあやふやな記憶にもとづいているとしたかったのでしょう。このような時、覚えていると言い張るのは、よくありません。忘れましたといえばいいことなのです。今日の尋問は、大学の成績で言えば、A+の 90点です。
西原博史先生も、お忙しい中、鑑定意見書を間に合わせてくださいました。次回は12月6日の午後2時半からです。次回は短いと思います。判決は来年3月ごろでしょうか。
● 高橋弁護士より
今日は、傍聴、どうもありがとうございました。今回は、いろいろ動きがあり、退屈しなかったとおもいます。今日は、第一準備書面(土肥側)を提出しました。
また、西原博史教授の鑑定意見書も提出しました。二つのパートに分かれていて、職員室での挙手採決の禁止は校長の権限への侵害であることと、都教委には憲法の保証する表現の自由への侵害があることが言われています。
西原教授は憲法問題の日本有数の専門家です。言われているのは、都教委のほうは、組織の一員であれば、公の場に出ずに組織内で解決すべきであると主張しているが、今回の場合、公の場に持ち出さなくては、校長の権限も表現の自由も守れない状況にあったのであり、正当な権利の行使であるということ、都立学校は公的な空間であるということです。次回までに、これを踏まえた準備書面を出す予定です。
証人の証言についてですが、現役の先生が証人として出てくれるというのは、すごいことです。今の都教委の圧迫は強いので、なかなか、証人になってくれないのが常です。そんななか、先生は快諾してくださり、厚く御礼申し上げたいと思います。
個別的職務命令は、こちらの、「文書で一人一人」、という理解と都の「一人一人の名を読み上げて一人一人の職務がわかるようにすれば口頭でも個別的」であるという主張が対立しているところです。
次回、できれば、土肥先生の意見陳述を要求はしてみたいと思っています。
● 吉峯弁護士(息子さん)
証人尋問は、やるほうにとっても難しいものです。ハラハラして見ていましたが、完璧に答えてくださったとおもいます。反対尋問では、一部の記憶のあやふやなところをついてくるのですが、証人は、忘れたところは忘れたとおっしゃったのが良かったと思います。土肥先生とのあつい信頼関係があったことが伝わってくる証人尋問だったとおもいます。
● 証人より
裁判所の中に入ったのは今日がはじめてです。主尋問のほうは、うまくいったと思いますが、反対尋問は頭に血が上りました。また、機会がありましたら、お役に立ちたいと思います。
● 土肥先生より
今日は、最高の人が証人に立ってくれました。教育実践を、見ていてくれた人です。
都は、土肥が「名前を呼んだから個別的」であり、個別的職務命令を出したと主張していますが、名前を呼んでいないことを、今日、証言してくれました。
職員会議での挙手・採決禁止についても、都は、土肥がコミュニケーションを取っていないから必要とするのだと主張していますが、これもそうではないことが証言されました。指導日の問題も、証言されました。
これで勝てなければ、誰も勝てないと思います。今度ばかりは、勝訴したい、と思っています。ありがとうございました。
このあと、質疑応答が行われ、5時過ぎに閉会となりました。
暑い中、ご来場くださった皆様、ほんとうにありがとうございました。
(完)
『土肥元校長の裁判を支援する会』(2012/9/16)
http://dohi-shien.com/html/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=53
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