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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

『心のノート』「事業仕分け」にゼロ査定の声を!

2009年11月14日 | こども危機
 ◇ 『心のノート』「事業仕分け」にゼロ査定の声を!
永野厚男(教育ライター)

 文科省による『心のノート』等、教育の国家統制に直結する予算の概算要求に対する、行政刷新会議ワーキンググループの「事業仕分け」の日時等が以下の通り決まりました。
 1 日時 11月16日(月)
   9:30~10:25 事業番号3-25、教員免許関係
  10:30~11:25 事業番号3-26、道徳教育総合支援事業
 2.開催場所(身分証明するものを持参すれば、当日傍聴可)
   独立行政法人国立印刷局市ヶ谷センター 東京都新宿区市谷本村町9-5


 あまり時間はありませんが、衆参両院議員は、土日に「これまで届いたEmail」をまとめて読む人が多いと聞いています。
 そこで、政府の行政刷新会議の下で、予算の無駄遣いを洗い出す「事業仕分け」に当たる民主党作業チームのお3人、そして文部科学副大臣の計4人に、「『心のノート』の予算ゼロに」と、手紙、電話、FAX、Email等で働きかけましょう。
 「カネが無駄だから」という主張は大切ですが、行政刷新会議のHPの「事業仕分けの考え方」の筆頭に出ている「必要性=社会から本当に求められているか?」に関し、
――『心のノート』は自民党政権の遺物で、愛国心など、国家主義思想を強制したり、権利行使よりも偏狭な義務の重視を強調したり、内容が偏っていて子どもたちに有害な図書だ。――という視点も持って下さい、と訴えると効果的です。
 後掲の「◇印」以降に「当方から衆参両院議員に送信したEmail」を参考に貼り付けておきます。
☆ 統括役の枝野幸男衆院議員=〒100-8982千代田区永田町2-1-2衆院第2議員会館538号室、
  電話(03)3508-7448、FAX(03)3591-2249、Email:yukio@edano.gr.jp
☆ 主査(文教予算担当)の蓮舫(れんほう)参院議員=〒100-8962千代田区永田町2-1-1参院議員会館214号室、
  電話(03)3508-8214、FAX(03)5512-2214、Email:renho01@sangiin.go.jp
☆ 同じく文教予算担当の田嶋要(かなめ)衆院議員=〒100-8981千代田区永田町2-2-1衆院第1議員会館411号室、
  電話(03)3508-7229、FAX(03)3508-3411、Email:info@k-tajima.net
☆ 文部科学副大臣(文教担当)の鈴木寛(かん)参院議員=〒100-8962千代田区永田町2-1-1参院議員会館635号室、
  電話(03)3508-8635、FAX(03)5512-2635、Email:info@suzukan.net

 ◇ 民主党議員の枝野幸男様、蓮舫様、田嶋要様、鈴木寛様に
              2009年11月13日(金)
――概算要求の事業仕分け等で、文科省の道徳の『心のノート』の予算をゼロに――のお願い

 以下、自民党政権の産物、『心のノート』の問題点等の分析です。議員から概算要求の事業仕分けや議会質問や文科省の政策会議等で、『心のノート』の予算ゼロに――などと、ご発言頂ければ、幸いです。
 その際、"愛国心"等、人々の間で価値観の分かれる問題で、「自民党や文科省官僚寄り」の考え方を、子どもたちに押し付ける『心のノート』は、無駄遣いだという視点だけでなく、内容面でも問題なので予算ゼロに――という観点が大事だ、と考えます。
☆1 民主『事業仕分け』で全廃判断の『心のノート』、”地方分権”装い実質存続
 民主党の「2009年度予算の事業仕分け」の中で、全廃と判断していた『心のノート』活用推進事業を、文科省官僚らが2010度予算の概算要求で、地方分権を装った道徳教育に組み替え実質存続を図っていることが、同省の「2010年度概算要求説明資料」で明らかになった。
 資料は、「地域に根ざした道徳教育の推進、道徳教育総合支援事業」と称し、概算要求に10億6620万1000円もの巨費を計上(09年度予算は13億3581万5000円)。
 このうち、「自治体による多様な事業への支援、9億5501万7000円」という大項目の中に、「心のノート作成・活用支援」を紛れ込ませ、欄外に「心のノートのWEB掲載、自治体による印刷・配布を支援」と記述した。
 『心のノート』の09年度予算は約3億1000万円。資料は、2010年度の具体的金額を明示していないため、市民たちが「自治体による多様な事業への支援、9億5501万7000円」の内訳を問い質すと、文科省教育課程課は「『外部講師派遣』や『研修支援』等の予算と一緒に、自治体に見積もりを出させ、認可したら予算を付けるので、『心のノート作成・活用支援』だけの金額は今は分からない」と述べるにとどまり、実質"どんぶり勘定"であるという見解を示している。だが、「外部講師派遣」や「(道徳教育の)研修」は、これまでも教委や学校の予算の中で、十二分に実施されている(【注】参照)。
 仙谷由人行政刷新担当相は10月26日、BSのテレビ番組で、『心のノート』について全廃の方向も視野に、「事業仕分けに出す必要がある」と述べたが、川端達夫文科相は10月27日の会見で、「心のノートは、要る人は使ったらいい。デジタル化した情報から、必要部署が必要な部分をダウンロードし活用を」と主張。
 川端達夫文科相は「要る人は・・・」と、一見、学校や個々の教員単位であるかのように言う。しかし文科省はこの「必要な部署」について、学校や個々の教員単位でなく、教育委員会単位、しかも、小中の設置者である区市町村教委というより、広域自治体である、即ち都道府県教委での冊子タイプでの印刷・配布のための予算獲得を狙っている。
 今年4月から使用開始の改訂版『心のノート』は、中学用が日本人ノーベル賞受賞者や北京五輪の写真とともに、「日本人としての自覚をもって世界貢献」と強調する内容を加筆するなど、これまで以上に「愛国心」を煽っている
 都道府県教委単位での印刷・配布となると、例えば都教委のようなウルトラの教委なら、「愛国心」を一層強調した上、「君が代」も強制する『東京版心のノート』を作るのではないか、と危惧される。
 一方、「全国的な事例収集と情報提供 4391万9000円」という大項目の具体的金額は、
 1)全国協議会の開催=75万円
 2)魅力的な道徳教材の調査研究=1612万円
 3)心のノート活用事例集(教師用参考資料)の作成=705万円
 4)『心のノート』のWeb掲載費(著作権等)=2000万
となっている。

 10月21日の第3回文科省政策会議で、神本美恵子参院議員(民主。元日教組教育文化局長)は「事業仕分けで不要とされた心のノートを、なぜ計上したのか」と質問した。
 これに対し鈴木寛副大臣は、文科省HPの議事概要を読む限りでは、「心のノートについては、新たなノートの作成・配布の費用は計上せず、講師を呼んだり、副読本を作成するなど、各地域の需要に応じた取組を支援するのための予算として組み替えている」と、一見、新規の『心のノート』の予算は付けないかのように読み取れる答弁を行っている。
 しかし現実には、鈴木氏の"上司"の川端達夫文科相は、10月27日の会見で前掲の通り「必要な部署が・・・」発言をしており、10月28日の第4回文科省政策会議では、民主党の保守系衆院議員・田中慶秋氏(71歳)が「教育で一番大事なのは徳育だ。心のノートの廃止には慎重であるべきで、より多くの学校で活用されるよう、内容の再検討を行ってほしい」などと発言しており、油断大敵だ。
【注】文科省はナント2003年の「道徳の指導充実の取り組み」の悉皆調査で、――「外部講師派遣」は、区市町村教委出費が17%、都道府県教委出費が10%――という6年も前の数値を持ち出し、「外部講師への謝金」等の予算を確保しようと躍起。一般財団法人化した日本教育再生機構(八木秀次理事長)が、"講師派遣"に名乗りを上げてくる危険性もある。因みに同再生機構は、「学校(教員等)、保護者(家庭)、地域の三者が一堂に会する教育再生民間タウンミーティング」なるものを各地(約20会場)で開催している。
☆ 2 もしWEB掲載の『心のノート』を予算化するなら、最低限、「印刷・配布する部署」を、教委単位でなく学年・教員単位に
 前記「☆印」の「1」に詳述したうち、もしWEB掲載の『心のノート』の予算を認めるのなら、「自治体による多様な事業への支援、9億5501万7000円」という大項目の方は、民主党の衆院・参院議員の皆様が、概算要求の事業仕分けや議会質問、文科省の政策会議等で以下のように訴えて頂ければ、実質ゼロに抑えられます。
           ↓
 前掲の「☆印」の「1」の記事の第5段落~第6段落に指摘した、――川端達夫文科相が「心のノートは、デジタル化した情報から、必要部署が必要な部分をダウンロードし活用を」と述べた――、この「必要な部署」を、(A)「学校(学年)単位や教員一人一人」とするべきで、(B)教育委員会単位にさせないことが、教育現場の自主性尊重の上からも、カネ(税金のムダ遣いをさせない)の上からも重要です。
 前掲「1」の第3段落に引用した文科省の資料は、既に「自治体による印刷・配布を支援」と、教育委員会単位の(B)志向を明記しており、――国定版の『心のノート』が、(文科省の意向を受けた)都道府県教委版になるだけ――で、教委にとっては管理権を理由に使用強制を主張し易くなり、教育の国家統制は逆に強まる危険性が高くなります。
 一方、(A)だと、『心のノート』よりもっと優れた副読本やネットなどの優れた教材を多くの教員は持っているし、これから発掘することもあるでしょうから、たまに『心のノート』の一部を「例えばクラス30人とか40人に1~2頁くらい、学校の印刷機を使いわら半紙や再生紙にプリントし使用する」ようにするなら、特に予算は付けなくてもいいはずです。その分、校舎の耐震化や少人数学級、教育相談等に予算を回す方が、遥かに子どもたちのためになります。
 従って「自治体による多様な事業への支援、9億5501万7000円」は限りなくゼロにするべきです。
☆ 3 自公政権の政治的産物、改"正"教育基本法の「国を愛する態度の教化強制」の問題点
 文科省は"改正"教育基本法や新学習指導要領を、金科玉条というか、"不磨の大典"のように考え、『心のノート』の予算獲得を謀んでいるようです。
 確かに、小中高校の新学習指導要領のうち、「言語活動や情報(モラル)教育の充実」「見通しを立てたり、振り返ったりする学習活動の重視」等は評価できます。
 しかし、憲法第13条「個人の尊重」や第19条「思想・良心の自由」に抵触し、最高裁旭川学力テスト判決が「法的拘束力がある」と判じた「大綱的基準」の範囲を越えたり、政治的中立性に触れるのではないか、と思われる内容、特に、
――新指導要領が、「総則」(学校の教育活動全体についての方針を示す)の「道徳教育の目標」に、初めて「我が国を愛する態度の教化」を加筆したこと――
については、教育行政(文科省や教育委員会)による学校教育現場への過度な介入に、歯止めをかけないと、民主主義は危ないです(国家主義教育はいつか来た道)。
 最後に、「国を愛する態度」教化の強制がなぜ危険かをまとめました。
         ↓
 第2次世界大戦の頃、出征兵士の戦地から遺骨が"運よく"帰ってきて、遺族が骨壷を受け取る時、軍の関係者やお役所の役人は「(国のため、天皇のために)死ぬことができて、おめでとうございます」、遺族は「(国のため、天皇のために)死なせて頂いて、ありがとうございました」という会話を交わしていたのは、異常な国家主義教育の、カギカッコ付きの"成果"だ。
 こういう「一人一人の人間の命や人権」よりも「国家の権力を持つ人たちの政策や命令」の方が大切だ、という国家主義教育への反省に立って、日本国憲法の精神に則り、1947年に教育基本法ができた。
 1947年教育基本法は、(1)「個人の尊厳」を大切にし、(2)一人一人の基本的人権(思想・良心・信教・表現・学問の自由等)に直結する問題に教育行政等が介入・統制しようとすることに一定の歯止めをかける――の大きく2点を、基本理念にしている。
 "戦後レジームからの脱却"や"憲法改正"を標榜する安倍首相(当時)主導で2006年12月に、与野党の賛否の分かれる中、成立させた改"正"教育基本法の内容は、前記(1)(2)に逆行する、という指摘は多い。
 現に2006年11月27日の参院教育基本法特別委員会で、伊吹文明・文部科学大臣(当時)は、「"改正"教育基本法に盛った"我が国を愛する態度"="国防教育(国のために自己犠牲を払うことを厭わない子ども作り)"」という趣旨の答弁をしている。
 文科省の官僚が作成し文部科学大臣が官報告示する学習指導要領は、2008年3月28日に改定され、"改正"教育基本法の"国を愛する態度"を教え込むことを"達成目標"にするよう強制しており、改定に先立ち練馬区の小学校や鳥取市の中学校で、偏った"愛国心教育"の授業がされていることが、報道等で明らかになっている。
 川端達夫文科相は11月5日の衆院予算委で、卒業式等の行事について「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と、指導要領棒読みの答弁を行った上、小学校音楽の新指導要領(08年3月末)に入った「君が代は歌えるよう指導する」という文言をも読み上げてしまった。
 傍聴者からは、「『歌えるよう』の文言は、指導要領の改定案の段階(08年2月)ではなかったが、衛藤晟一(せいいち)参院議員(自民)らの圧力や右翼側の組織的なパブコメ工作を受けた文科省官僚が急遽加筆した、自公政権下の政治的産物なのに、継承する趣旨の川端氏答弁は納得できない」などと、批判する意見が多く出ていた。民主党は自民党の悪政を継承しないでほしい。

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