★ 外国語版「教育勅語」 (岡山輝明)
「官定」翻訳『漢英佛獨教育勅語訳纂』という本があります。文部省が1909年に発行したものです。
樋浦郷子氏が、教育史学会編『教育勅語の何が問題か』(岩波ブックレット、2017年)でこの英訳について取り上げています。
また平田諭治氏が1994年に発表された論文「文部省編『漢英佛獨教育勅語訳纂』の成立をめぐる国際関係」は、ネットで読むことができます。
「天皇制教育理念への国際的な『承認』を取りつけることが意図された」と指摘されています。
台湾、さらに朝鮮を日本が支配下におきつつある中で、欧米列強向けの外国語訳がつくられたのです(朝鮮語訳は1916年)。
松井一実広島市長の説明は、「教育勅語」の成立過程ばかりでなく、その外国語訳が存在する理由をもねじ曲げるものです。
市職員の新人研修にふさわしくないものを無理にもち込んだために、全くの作り話を語らざるをえなくなったと思えます。
※ 文部省編『漢英仏独教育勅語訳纂』は国会図書館のデジタルコレクションで公開されています。
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