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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「8・28都教委包囲アクション」へ(12)

2009年08月01日 | 日の丸・君が代関連ニュース
<転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」 ・「千葉高教組」・「新芽ML」。の渡部です。
 今回からまた何回かに分けて、7月24日にありました<07年処分撤回請求・人事委員会審理(卒業式⑱グループ)>の9人の意見陳述を紹介したいと思います。(今回は3人です)

「卒18傍聴席と請求人」 《撮影:平田 泉》

<Oさん(向丘高校(全)>
・・・これまで人事委員会審理や予防訴訟の口頭弁論の中で、「10.23通達等」が出された経過が明らかになってきました。
 2003年4月10日、石原知事再選直後の都教育委員会定例会がその発端です。
 ここで教育委員の中から、100%の実施に達した「国旗国歌」の実際の様子をめぐって執拗な追求がなされ、5月には各都立学校別に、式場の形、「国旗」掲揚や「国歌」斉唱の方法など、具体的な状況が都教委のホームページに掲載されました。
 7月の都議会では、土屋たかゆき議員の質問に答える形で、横山教育長が「都立学校等卒業式・入学式等対策本部」の設置を表明しています。
 この上で、10月23日に「通達」と「実施指針」が出されたのです。
 一律に同じ方法での式典の実施を求めた背景には、極めて政治的・思想的な働きかけがあったと言わざるをえません。
 事実、土屋議員は都議会の場で同じ日に引き続いて、七生養護学校の性教育への取り組みを攻撃しており、その後、新聞記者などを引き連れて同校を視察し、職員を激しく非難したこと、さらにこれに都教委が同調したことは、教育への「不当な支配」にあたるとして、今年3月にも裁判所によって断罪されています。
 請求人は、通達等が出された背景が明らかになるにつれ、生徒をして一律に一定の観念に従わせることへの疑問が大きく膨らみました。
・・・・・・
 「10.23通達と実施指針」は、戦前の規定を上回って、画一的に細部に至るまで式典の在り方を縛っています
 「内心の自由」の説明も禁じられた中で、職員の一人としてこれに従えば、生徒達も同じことを求められていると判断する他なくなります。
 「未だ価値中立的とは言えない」「日の丸・君が代」について、職員が一人残らず起立斉唱する姿を見せつければ、「何も考えずに黙って従え」あるいは「どんな思いがあるにせよ、表に出すな」という強烈なメッセージになります。これは恐ろしいことです。
 主権者としての自覚を高めていくべき生徒達に隷従を強いるものです。
 このように大きな疑問や恐れを感じながらも、都教委の命令に従うことが教育公務員としての職責なのでしょうか。
・・・・・
 請求人は、自分自身の思想・良心に従っておかしいと思う行動がとれなかったのです。
 同時に「全体の奉仕者」であるからこそ、国家への忠誠という大きな問題について、自分の身体をもって、生徒達を一律に一定の観念に従わせるような行動がとれなかったのです。
・・・・

<Nさん(赤羽商業)>
・・・この3年間に都立高校は一層重苦しい職場となりました。
 他方、いわゆる「予防訴訟」では、東京地裁で勝訴判決がありました。
 いま振り返ってみると、「9.21判決」だけでなく、この重苦しさも私をさらに一歩前に踏み出させたのだ、と思います。
・・・赤羽商業高校では、校長田中幸治氏の意に沿わないことがあると、私達はよく校長室に呼びつけられました
 時には副校長を横に控えさせて「指導」の経過を逐一メモさせていました。
 そのような設定のもと、校長は彼自身の考えや認識を我々に受け入れさせようと強い口調で大きな声で執拗に迫ったものでした。
 私も何度か呼び出されてこのような対応をされました。
 彼は、東京都教育委員会が定める学校長の権限・立場に、何らの疑いも恥じらいもなく全面的に依拠していました。
 生徒の教育に直接携わる我々一般教師への敬意など持ち合わせておらず、ともに学校のこと教育のことを考えるという場は成立しませんでした。
 彼に近い何人かの若手教員は、空き時間に始終校内を巡回していて、私の授業も廊下からじっと見られ続けたこともありました。
 ある特定の人々の近くでは会話に気をつけるようにと、親しい同僚から忠告されたこともありました。
 田中校長は個々の教職員の言動について実によく知っていました。
 このように、赤羽商業高校は学校長に極度に情報と権限を集中した学校運営が他の都立高校に先んじて実現していた職場でした。
 田中校長の個性による部分もあったでしょうが、私には都立校全体で進みつつある事態の象徴のように思えました。
・・・赤羽商業高校は地域柄もあって、朝鮮・韓国系、中国系、琉球系といった日本人の多数派とは異なった民族的・文化的アイデンテイテイを持った生徒が相当数通っています。
 かつて日本の植民地であったり侵略戦争の被害を受けた国々や無理やり統合された地域と強い絆を持った生徒たちです。
 授業で朝鮮・韓国のことに触れるときなど、一瞬静かになり、息を殺して関心を寄せるような雰囲気がひしひしと感じられることがよくありました。
 赤羽商業で実現していた教職員に対する強力な管理支配体制は、教職員を極めて従順にしていました。
 学校生活の節目の儀式における教職員の一見「自然な」行動と思考停止とは、生徒たちに対して「日の丸礼拝」・「君が代斉唱」を自然で疑問の余地のないものとして強制していました。
 赤羽商業高校での儀式は、かつての植民地・占領地等における皇民化政策すなわち強制的同化政策を思い起こさせます
 この戦後の日本社会の中で彼女ら彼らと共に生きてゆく絆が国家シンボル、それもかつての大日本帝国と同じものであっていいのでしょうか。
 彼女ら彼らにマイノリテイであることをあらためて思い知らせたり、または大事な民族的固有性を忘れ去ることを強いるようなことが教育の名において行われてよいのでしょうか。
 この職場に勤務して新たな憤りが生まれてきました。

・・・・2007年3月2日、都立赤羽商業高等学校卒業式で、私は命じられた会場内の座席に着席する等の職務に就きました。
 生徒や多くの同僚と同じ場に居続けることができました。
 しかし、職務命令書にある国家斉唱時の起立・斉唱はしませんでした。
 通達と職務命令が強いていることが誤りであるという確信が化学反応のように私を起立させなかった、というのではありません。
 この学校を含めて都立高校で進みつつある事態への強い憤りがありました。
 また、私の行為によって生徒に伝わることについての自覚的な選択がありました。
 これらは根本的には、私の自由にもとづいて行われたことですが、生徒・保護者の参列する面前で、という場の設定は決してそうではありません。
 10.23通達と起立斉唱の職務命令は、我々を強制してその身体表現によって生徒に対し国家主義の立場からの明瞭な政治的働きかけをさせるものです。
 このような儀式の構造は、起立斉唱の拒否もまた不可避的に生徒に対する身体表現にしてしまいます。
 このような国家シンボルをめぐる身体表現の場は、決して我々現場の教師や生徒・保護者が好んで設定したものではないことは強調しておきます。
・・・・しかし、都立高校の管理支配がいかに強化されても、人間には国家や教育委員会・学校長という権力の手が届かない領域があります。
 国家主義教育のための儀式を身を以て担うことなど教師として-とりわけ日本史教師として-できるものではありません。
 私の思想が何であるかは私が選び取る行為も含めてのことです。
 そして、同じような思いを抱いている都立校教師がまだかなり存在したことは喜びでした。
<Kさん(江戸川高校定時制)>
・・・・・・・・・
 2007年3月3日に挙行された卒業式について、職員会議で初めて議論されたのは、2006年9月末の時です。
 私が地裁の難波判決が出た翌日、9月22日の臨時校長連絡会の報告を求めた時点からです。
 連絡会の内容については「控訴するので、今まで通りに行ってほしい。」旨の話がなされたとのことでした。
 私が「地裁の判決の重みについて述べ、尊重する様に」と発言したのに対し、校長は「考えておく」(簡単に言うと)とのことで、月日は流れて行きました。
 その後、何度かの会議、話し合いの場で、「違法な職務命令は出さないように」と言う私に対して、「考え」の中身の納得のいく説明は無く、式が近づくにつれ、「私の責任において、昨年度と同じように行いたい」旨の発言があるだけでした。
(その後、職務命令が出されたが、Kさんは受け取りを拒否、不起立で処分されました)
 私は今でも、今回の職務命令の有効性や、それにもまして、教育の現場に於いて、教育の本質、その内容に直接かかわるものに対して、「職務命令そのものがなじまない。教育に対する不当な支配になる」と考えています。
 私が最も危惧するのは、このような職務命令体制が、既に定着しつつある主任制度や人事考課制度と共鳴し合って、教育現場を益々、閉塞させ、教師・生徒の持つ「教育の自由」を侵食し、ひいては個々に配慮した、きめ細やかで、個性を尊重する、私達が求めつづける教育に対する放棄へとつながるものであると言えることです。
 私はその後、江戸川高校を、2年担任でありながら、3年間という短期間で異動させられました。
 そして異動先で目の当たりにしたのは、私が危惧していた「教育の自由」が失われつつある姿です。
 このままでは「教育の自由」は猛烈な勢いで破壊されていくと感じます。
 又、その事に対して「成す術」がない、「何を言っても無駄」という空気が支配的であり、ここに現場の悲劇があります。
 それが生徒に還元されて、お互いの信頼関係がそこなわれ、悪循環となっているのです。
 現在、勤務している昼夜間定時制は、多くの夜間定時制を無理矢理統廃合して発足させたニュータイプと言われる学校です。
 3部制、単位制ということもあり、カリキュラムは複雑で、生徒はコンピューターシステムで管理されています。
 生活指導の困難さとも絡みあって、中途退学者は増大し、出席率や単位修得率は低迷し、生徒の帰属意識が低いのが現状です。
 そんな中で、教師集団が生徒とゆっくり接したり、議論したりする時間もなく、出口の見えない中、ただ日々追われているのが実情です。
 生徒が主人公であった都立高校がどうしてこんなことになってしまったのか。
 現場の実態を何ら考えない、都の教育行政の姿勢に問題があると私は考えます。
 教育の原点にもう一度戻って、今ある悲劇を取り除く必要があるはずです。
 定年を真近に控えた今、35年間の教員生活の総括が全く見えてこないのが残念でなりません。
 まずは今、目の前にある「違憲・違法な職務命令には従う必要はない。」という真っ当なことが、「正しい。」という結論をお願いし、不当な処分を取り消すことから始めようではありませんか。
 結果は歴史が証明してくれるはずです。

(次回に続く)

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 2009年 『8・28都教委包囲アクション』
 <メインスローガン>
 ○改悪教育基本法の実働化と闘おう!
 ○10・23通達を撤回せよ!通達に基づく処分を撤回せよ!
 ○石原都知事は即刻退陣せよ!
 (スローガン)
 ・教職員の差別・分断を図る主任教諭制撤回!
 ・職員会議での挙手・採決禁止の通知を撤回!
 ・業績評価制度(人事考課制度)廃止!
 ・「君が代」不起立分限処分を許さない!
 ・教員免許更新制度撤廃!

 <日時> 2009年8月28日(金) 15時~18時30分
 <場所>都庁第二庁舎二階玄関前歩道
 <予定>15時~     包囲行動・発言
       16時~     要請行動(参加団体・個人)
       17時30分~ 要請の報告・発言
 <主催> 都教委包囲首都圏ネットワーク

 参加する団体・個人は<抗議文><要請書><質問書>などをご用意してください。プラカード、ゼッケン、横断幕なども。
 私たちも「新趣向」を考えています。
 よいアイデアがありましたらお寄せください。
 みんなで人権無視、憲法違反の都教委に押しかけましょう。


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「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
  http://kenken.cscblog.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
 http://homepage3.nifty.com/hinokimi/

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