☆ 大阪・豊能町 住民監査実る 前町長に3900万円賠償請求 (週刊新社会)
大阪府北部の豊能(とよのちょう)町で、スマートシティ事業(デジタル田園都市国家構想事業)での税金の不当な支出に対する住民監査請求が認められ、維新公認の前町長に損害賠償請求することになった。
4月6日に大阪市内で行われた共同テーブル近畿「春の学習会」で報告した、「豊能町を共に創る会」世話人の寺本勉さんの寄稿です。
☆ 住民ニーズとかけ離れ 企業の懐を潤しただけ
豊能町では、スマートシティ事業を巡る住民監査請求が認められ、維新公認の塩川恒敏前町長に3900万円余りの賠償請求を町が行えとの監査委員の勧告が出された。
住民グループ「豊能町を共に創る会」が中心になって、事業の問題点を追及してきた地道な努力の成果だ。
豊能町は衆院大阪9区にある人口約1万8千人の町で、1970年代以降に開発された住宅地を抱えるが、現在は人口減少と高齢化が進行し、大阪府でも数少ない過疎指定を受けている。
☆ 町は1円も出さずに
2019年に当選した塩川前町長は、AI企業のOZ1と組んで、22年度に国の補助金とOZ1からのふるさと寄付金を財源(半分ずつ)にして、「町は1円も出さない」と公言し、4億円規模のデジタル田園都市国家構想事業に取り組んだのである。
しかし、ほとんど成果が出ないまま、OZ1からの寄付金も6000万円しか納入されず、約1億3500万円の「穴」をあけることになった。
この事実を知った住民らは、9度にわたる情報開示請求で必要な資料を集め、何回も学習会や討議を重ね、弁護士に相談しながら今年1月26日に住民監査請求に踏み切った。
☆ 3900万円の損害
3月26日に出された監査結果では、当初の請求内容だった未納寄付金分については町の損害と認められなかった。しかし、追加で問題とした、寄付金がー円も入っていない段階での業務委託先への3億1200万円もの概算払いについて、2回目の1億1200万円が財務会計上の違法行為と認定された。
そのうち町の一般財源から支出した3900万円余りが町の損害とされ、前町長に対して町が3カ月以内に賠償請求するよう勧告が出されたのである。
監査結果はスマートシティ事業自体についても、
「実際上、町に残されているのは200ページ余りの推進交付金実績報告書と光風台中央公園の整備だけ」で、
その公園整備も「町外業者によるずさんな工事が行われるなど、到底満足のいく内容ではなかった」、
「町独自の知的財産権として保護されているものはない」
と厳しく指摘した。
巨額の資金を投じたにもかかわらず、住民ニーズとかけ離れ、参画した企業の懐を潤しただけに終わったのである。
この豊能町の例は、岸田政権や大阪維新が推進してきたスマートシティ事業の本質を如実に示している。
☆ 詐欺にあったような
「豊能町を共に創る会」は監査結果を受けて、7000枚のチラシを戸別配布し、5月11日に「監査結果報告学習会」を開いたが、参加者からは「詐欺にあったみたいなもの」と厳しい怒りの声が相次いだ。
今後の焦点は、監査委員からの勧告に対して、上浦登町長(維新公認)がどう対応するかだ。住民訴訟も視野に入れながら、今後の動きを注視していきたい。
『週刊新社会』(2024年6月12日)
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