☆ 「汚染水」放出をやめさせよう
外山です。
「汚染水」海洋放出問題は、大変な問題を含んでいると思います。長文になりますが最後まで目を通していただけたらありがたいです。明日24日、東電前で10:00より抗議集会があります。(私たちの会へ送ったものを転送します)
政府は福島第一原発の「汚染水」をあす24日から海洋放出すると言ってます。海は政府、東電、そして日本の漁業者だけのものではないことを強く指摘したいと思います。日本の世界の人々の共有財産です。デブリを冷やした水なんて、地球46億年の歴史上なかったことでしょう。「汚染水」は未知の物質と思うべきです。
☆ (文書約束さえ簡単に破る政府)
安倍政権時代(2015年)に政府は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と文書で福島県漁連に伝えていました。一昨日、岸田首相は全漁連幹部との「話し合い」(ボス交渉?)で「一定の理解が得られた」とのべ、一方全漁連会長は「約束は破られてはいないが、果たされてもいない」。何とも雲をつかむような両者の会見がありました。しかし、それで「海洋放出」が実行されてしまうのです。これは大衆をごまかす芝居でしょうか?
「風評」について「数十年になっても対策を続ける」と経産大臣は言いますが、そんな約束は今回の経緯を見れば、そして福島第一原発事故後の12年間の政府対応を見ていれば、その場しのぎのリップサービスでしかないことは明らかです。8年前の約束だって守らないのだから。福島の漁業が衰退すれば、「自己責任」を突き付けられるだけでしょう。
☆ (大手マスコミは真実を言わない)
「汚染水」はALPS(他核種除去設備)で除去されて、問題はトリチウムだけであるかのように大手マスコミは報じています。
冒頭の図は、「グリーンピース」からの資料ですが、いまタンクにある「ALPS処理水」は全くの「汚染水」です。これを昨日の朝日新聞2面は、トリチウムしか残らないかのように書いています。しかし全部東電発表をそのままうのみにし、IAEAがお墨付きを与えたような報道です。
☆ (IAEAはALPSの性能検証は行っていない)
しかし、そのIAEAですが、日本でALPSの性能検証をしていないというのです。これは韓国の新聞ハンギョレが報じているのですが(7月12日)、IAEAの報告書で「安定的で信頼に値するだけ継続して作動する」とか「日常的かつ持続的に作動し、トリチウムを除く62種の放射性核種を排出規制基準以下に除去することができる」とあるのは、IAEAが検証した結果ではない、とのべています。
☆ (ALPSは安定的に稼働していない)
さらに、ハンギョレは「ALPSで処理した汚染水の70%が排出基準値を満たしていない状態であるうえ、腐食やフィルター損傷などによる頻繁な故障で、信頼性に対する疑問を解消できずにいる」「ALPSでは設備が安定化したといわれる2019年以降も、毎年重大な故障が発生している。もっとも最近の事例である昨年には、吸着塔に問題が生じたため設備を通過した汚染水に含まれたストロンチウム90の濃度が上昇する現象が確認された」とも述べています。
☆ (「科学的」が怪しくなってきている)
すなわち一見「科学的」とされるデータの発信元はすべて東電、日本政府からのものなのです。二次処理して希釈したうえで放出と言われていますが(朝日新聞はこれについても触れていません)、「二次処理」もうまくいくのか不明です。
☆ (浮上してきている炭素14問題)
更に最近になって、トリチウムだけでなく炭素14も取り除けていないことがわかってきました。炭素14(ベータ線を出して窒素14になる)は様々な生物の身体、細胞に取り込まれ遺伝子を傷つける危険があります。しかも半減期が5700年と極めて長く、環境に放出されると極めて長期間影響を与え続けることになります。
上の図は東電が炭素14(C-14)の影響を考慮したグラフ(2020.8.7作成の図)
なお、告示濃度比総和は放出する際は1未満にする必要がありますが、74%が基準を満たしていないことになります。東電そのものが「汚染水」であることを認めているようなものです。(一番右の赤から4つの棒グラフはすべて告示濃度比1以上。ヤバい水ということです)。
☆ (海洋放出は始まってからでも止めさせることはできる)
いまはモニターに引っかからないようにやるでしょうが30年以上もその緊張を続けるとは思えません。
タンクにどのような放射性物質がどの程度残留するか、その総量は未だに示されていません。放射線の総量も公開しないまま、放出を続け海洋生物に蓄積し食物連鎖で最終捕食者である人間に戻ってきます。被ばくが疑われる病気になっても、そのとき、いまの政治家も東電幹部も御用学者もいないでしょう。いても因果関係が認められないと言い張るでしょう。
福島で多くの人が甲状腺がんで苦しんでいる事実を隠蔽している事実から見ても、「後のことは知っちゃいない」という姿勢がありありです。
汚染水の海洋放出は始まっても、途中で止めさせることはできます。息の長い闘いが始まります。
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