《電磁波研会報 №67》
◇ 電磁波測定報告
東京都・多摩市・Fさん宅 2010年10月11日
今回は電磁波の測定で起こる出来事で象徴的なケースがいろいろとあるので、2ページに渡って紹介する。
当会で電磁波の測定を始めたころは、年に数回くらいで、依頼の多くは高圧送電線が近くにあるが、その影響こついて、これは大丈夫かというものがほとんどであった。
しかし、昨今は携帯電話基地局やPHSアンテナが近くにある家や、オール電化住宅など、測定する環境が大きく変化してきている。
それにより、今までとは違う測定結果が表れるようになっている。
今回は最近増えつつあるオール電化住宅にお住まいのFさんからの依頼である。その結果について紹介する。
測定の依頼したFさんは、お話しを聞くところ電磁波過敏症のようである。それもかなり深刻で、始終頭痛がひどく、寝込むこともあるという。
当初その原因がわからず、いろいろと思い当たるところを調べてみると、体調不良を引き起こす原因の1つ1は、家の中にある電化製品だったことに気付く。その対策として、ある程度電化製品の減らしたものの、電磁波の強さについてご自身ではわからないこともあるので、当会に測定を依頼し、その後の対策を考えるというわけだ、
Fさんのお住まいの地は東京の郊外で、緑も多く周囲に高い建物もない環境に恵まれたところであった。
携帯電話基地局も見える範囲にはなく、近くにPHSアンテナはあったが、それ以外はとくに強い電磁波を発生するものはない。
ただ、家の中はオール電化住宅の見本のようにIHクッキングヒーターをはじめ最新の電化で囲まれていた。
そこで、これら家の中にある電化製品の電磁波はどれくらいなのかを測定した。
まずは電化製品を何も使っていない状態を測定すると、低周波が0.8~0.9mG、高周波が0.13~0.17v/mで、何も使っていないと低い値である。これを元に他と比絞する。
キッチンのIH調理器は低周波が22.5~23.1mG、高周波波が22.5~23.1v/mといずれも強く、これは予想通り高い値である。依頼者は男性であるが、料理がお好きで、ここに越してきてよくこのIH調理器で料理をしていたそうだ。
次にインバーター式照明だが、低周波が0.8~0.9mG、高周波が16.2~17.7v/mであり、低周波はほとんど出ておらず、高周波が強くなっている。
またシャープの空気清浄機は低周波が1.1~1.7mG、高周波が3.8~4.2v/mである。
これらの結果は最近の測定の傾向をよく表している。家庭用家電製品は低周波より高周波が強くなっている。それも少し高いくらいではなく、かなり高い数値を示すものが多い。
これら家電製品からの高周波の対策が難しいのは、低周波と違っで単純に距離の二乗に反比例しないことである。
ある程度距離を取れば低減できるものもあるが、元の数値が高いので、低くなったとしても、それでも高いままであることだ。
それら高周波を発生する電化製品からの電磁波対策は、距離を現状以上にとったり、電化製品と生活空間との間に物理的に障壁、つまりものを置いたりするなどくらいしか考えられない。
電磁波シールドカーテンは高周波の効果のあるものもあるが、電化製品にカーテンをかけるわけにはいかないので、対策はなかなか難しい。
これらの高周波を発生する家電製品に対して対策をお持ちの方は是非教えていただきたい。
ただし、電磁波低減の基本は、1、使用する機器自体を減らす 2、使用する時間を減らす 3、使用機器から距離をとる である。
さて、依頼者はIT系の仕事をされている。会社でもそうだが、家でも無線LANを使っていた。ただし、かつては使っていたが、現在はその影響を知り使用を取りやめたそうだ。
測定のために1度スイッチを入れてもらい測定すると、低周波が0.8~0.9mG、高周波が0.9~1.1v/mであった。この数値は家の中の他のところと比較すると低く思えるが、決して低い数値ではないし、過敏な方はたとえ他の人が感じない値でも過敏に反応してしまう。
高周波の数値は0.9~1.1v/mであったが、測定していると依頼者と測定している私も少し頭痛がし、早々にスイッチをオフにした。
続いて2階の部屋をした。寝室の枕の側の低周波が他と比べると少し上昇した。その原因はすぐ近くを走る*配電線であった。さらに窓からはPHSアンテナもすぐ近くに見えた。
その対策として、ベッドの位置を変えること、そしてダメかもしれないが、一応PHSアンテナの移動をお願いしてみてはとお話しした。
一通り測定して対策もお話しした。あとはそれに対してどう考え、どうするかである。
このFさんの例を出したのはこれからの行動である。
まずPHSのアンテナに関しては、すぐに移動、撤去をお願いした。そのアンテナが建っているところが親族であったということもあり、すぐに撤去が決まった。
さらに配電線については、今の位置よりも高い位置に電線を通すことが決まったそうだ。
IHもやめ、ガスの配管工事をすることも決まったそうだ。
Fさんの例はいくつかの幸運とも言えることが重なったため、すんなりと行ったが、すべてがこのようにうまくいくとは限らない。ただし、何もしないと何も改善しないのも事実である。
測定を依頼して一通りの改善策も毎回お話しするが、多く方が何らかの対策をしている。それだけ真剣であるということだと思う。
さて、このFさんはIT系のお仕事をしていると先に紹介したが、会社でも無線LANが導入され、オフィスではどこからでもインターネットやLANにアクセスできるようになっている。
そのため電磁波過敏症になってからは会社に行くと体調が非常に悪くなるそうだ。他の電磁波過敏症の人の状態と同じように頭痛、めまい、だるさなどが続くそうで、1日いられず、測定時には休職中であった。このFさんが特別な例ではなく、体調不良を訴えるビジネスマンは、特にIT系の人に多い。直接の因果関係は不明だが、無線LAN導入も1つの利用ではないかと思われる。
Fさんはまず家の内外の電磁波発生源を減らし、食事も変え、適度な運動、そして精神的に落ち込むこともあるが、それでもなるべく前向きに考え、気功やサプリメントなどを取り入れ生活を改善した。
測定から約2ヵ月後、ご相談のお手紙をいただいたので、改めてお会いした。測定のときは見るからに辛そうな感じであったが、表情も以前よりは明るくなっていた。先に紹介したことを実践し、会社も少しずつ復帰しているという。
相談の内容は、これから体調はよくなるだろうかということであった。以前よりよくなっているように見えたので、断言はできないが少しずつでもよくなっていくと思うとお話しした。以前のように100%改善とはならないけど、「最悪の事態のことが過去のことのように思える日がきますよ」とお話した。それは自分自身の経験からである。
毎回測定して感じるのは、電磁波の影響による健康に対しての不安である。電磁波という見えないものに対しての対策なので確実な効果も見えない。それゆえ自分の健康に対しも不安になるのはよく理解できる。しかし、このFさんのように対策をとればよくなっているケースをよく見る。電磁波の影響で悩んでいる人は、まず電磁波について知ることである。
現在、電磁波の影響で悩んでいるなら、当会の会報などを参考にしていただければ幸いである。
(報告・鮎川哲也)
『電磁波研会報』№67(2010/11/28)
◇ 電磁波測定報告
東京都・多摩市・Fさん宅 2010年10月11日
今回は電磁波の測定で起こる出来事で象徴的なケースがいろいろとあるので、2ページに渡って紹介する。
当会で電磁波の測定を始めたころは、年に数回くらいで、依頼の多くは高圧送電線が近くにあるが、その影響こついて、これは大丈夫かというものがほとんどであった。
しかし、昨今は携帯電話基地局やPHSアンテナが近くにある家や、オール電化住宅など、測定する環境が大きく変化してきている。
それにより、今までとは違う測定結果が表れるようになっている。
今回は最近増えつつあるオール電化住宅にお住まいのFさんからの依頼である。その結果について紹介する。
測定の依頼したFさんは、お話しを聞くところ電磁波過敏症のようである。それもかなり深刻で、始終頭痛がひどく、寝込むこともあるという。
当初その原因がわからず、いろいろと思い当たるところを調べてみると、体調不良を引き起こす原因の1つ1は、家の中にある電化製品だったことに気付く。その対策として、ある程度電化製品の減らしたものの、電磁波の強さについてご自身ではわからないこともあるので、当会に測定を依頼し、その後の対策を考えるというわけだ、
Fさんのお住まいの地は東京の郊外で、緑も多く周囲に高い建物もない環境に恵まれたところであった。
携帯電話基地局も見える範囲にはなく、近くにPHSアンテナはあったが、それ以外はとくに強い電磁波を発生するものはない。
ただ、家の中はオール電化住宅の見本のようにIHクッキングヒーターをはじめ最新の電化で囲まれていた。
そこで、これら家の中にある電化製品の電磁波はどれくらいなのかを測定した。
まずは電化製品を何も使っていない状態を測定すると、低周波が0.8~0.9mG、高周波が0.13~0.17v/mで、何も使っていないと低い値である。これを元に他と比絞する。
キッチンのIH調理器は低周波が22.5~23.1mG、高周波波が22.5~23.1v/mといずれも強く、これは予想通り高い値である。依頼者は男性であるが、料理がお好きで、ここに越してきてよくこのIH調理器で料理をしていたそうだ。
次にインバーター式照明だが、低周波が0.8~0.9mG、高周波が16.2~17.7v/mであり、低周波はほとんど出ておらず、高周波が強くなっている。
またシャープの空気清浄機は低周波が1.1~1.7mG、高周波が3.8~4.2v/mである。
これらの結果は最近の測定の傾向をよく表している。家庭用家電製品は低周波より高周波が強くなっている。それも少し高いくらいではなく、かなり高い数値を示すものが多い。
これら家電製品からの高周波の対策が難しいのは、低周波と違っで単純に距離の二乗に反比例しないことである。
ある程度距離を取れば低減できるものもあるが、元の数値が高いので、低くなったとしても、それでも高いままであることだ。
それら高周波を発生する電化製品からの電磁波対策は、距離を現状以上にとったり、電化製品と生活空間との間に物理的に障壁、つまりものを置いたりするなどくらいしか考えられない。
電磁波シールドカーテンは高周波の効果のあるものもあるが、電化製品にカーテンをかけるわけにはいかないので、対策はなかなか難しい。
これらの高周波を発生する家電製品に対して対策をお持ちの方は是非教えていただきたい。
ただし、電磁波低減の基本は、1、使用する機器自体を減らす 2、使用する時間を減らす 3、使用機器から距離をとる である。
さて、依頼者はIT系の仕事をされている。会社でもそうだが、家でも無線LANを使っていた。ただし、かつては使っていたが、現在はその影響を知り使用を取りやめたそうだ。
測定のために1度スイッチを入れてもらい測定すると、低周波が0.8~0.9mG、高周波が0.9~1.1v/mであった。この数値は家の中の他のところと比較すると低く思えるが、決して低い数値ではないし、過敏な方はたとえ他の人が感じない値でも過敏に反応してしまう。
高周波の数値は0.9~1.1v/mであったが、測定していると依頼者と測定している私も少し頭痛がし、早々にスイッチをオフにした。
続いて2階の部屋をした。寝室の枕の側の低周波が他と比べると少し上昇した。その原因はすぐ近くを走る*配電線であった。さらに窓からはPHSアンテナもすぐ近くに見えた。
その対策として、ベッドの位置を変えること、そしてダメかもしれないが、一応PHSアンテナの移動をお願いしてみてはとお話しした。
一通り測定して対策もお話しした。あとはそれに対してどう考え、どうするかである。
このFさんの例を出したのはこれからの行動である。
まずPHSのアンテナに関しては、すぐに移動、撤去をお願いした。そのアンテナが建っているところが親族であったということもあり、すぐに撤去が決まった。
さらに配電線については、今の位置よりも高い位置に電線を通すことが決まったそうだ。
IHもやめ、ガスの配管工事をすることも決まったそうだ。
Fさんの例はいくつかの幸運とも言えることが重なったため、すんなりと行ったが、すべてがこのようにうまくいくとは限らない。ただし、何もしないと何も改善しないのも事実である。
測定を依頼して一通りの改善策も毎回お話しするが、多く方が何らかの対策をしている。それだけ真剣であるということだと思う。
さて、このFさんはIT系のお仕事をしていると先に紹介したが、会社でも無線LANが導入され、オフィスではどこからでもインターネットやLANにアクセスできるようになっている。
そのため電磁波過敏症になってからは会社に行くと体調が非常に悪くなるそうだ。他の電磁波過敏症の人の状態と同じように頭痛、めまい、だるさなどが続くそうで、1日いられず、測定時には休職中であった。このFさんが特別な例ではなく、体調不良を訴えるビジネスマンは、特にIT系の人に多い。直接の因果関係は不明だが、無線LAN導入も1つの利用ではないかと思われる。
Fさんはまず家の内外の電磁波発生源を減らし、食事も変え、適度な運動、そして精神的に落ち込むこともあるが、それでもなるべく前向きに考え、気功やサプリメントなどを取り入れ生活を改善した。
測定から約2ヵ月後、ご相談のお手紙をいただいたので、改めてお会いした。測定のときは見るからに辛そうな感じであったが、表情も以前よりは明るくなっていた。先に紹介したことを実践し、会社も少しずつ復帰しているという。
相談の内容は、これから体調はよくなるだろうかということであった。以前よりよくなっているように見えたので、断言はできないが少しずつでもよくなっていくと思うとお話しした。以前のように100%改善とはならないけど、「最悪の事態のことが過去のことのように思える日がきますよ」とお話した。それは自分自身の経験からである。
毎回測定して感じるのは、電磁波の影響による健康に対しての不安である。電磁波という見えないものに対しての対策なので確実な効果も見えない。それゆえ自分の健康に対しも不安になるのはよく理解できる。しかし、このFさんのように対策をとればよくなっているケースをよく見る。電磁波の影響で悩んでいる人は、まず電磁波について知ることである。
現在、電磁波の影響で悩んでいるなら、当会の会報などを参考にしていただければ幸いである。
(報告・鮎川哲也)
『電磁波研会報』№67(2010/11/28)
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