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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

文科省にパブリックコメントを寄せよう

2015年02月13日 | こども危機
 ◆ 道徳教科化、”愛国心”教化反対のパブコメを文科省に
   ~子どもたちの思想・良心の白由を守るためにも

永野厚男(教育ライター)

 文部科学省は2015年2月4日、HPに「道徳教科化のための学習指導要領改訂案」を載せ、行政手続法第39条などに基づくパブリックコメント(意見公募)を、3月5日締め切りで実施しています(学習指導要領改訂案等は、同省HPからPDFで見られます)。
 後掲の<文例1><文例2>を参考に、ぜひ「市民道徳」という意味での道徳教育は充実すべきだが、「検定教科書と評価はいらない」「“国を愛する態度”を教化するのはやめなさい」といったご意見を、文科省教育課程課(合田哲雄課長)宛、お寄せ下さい。
 宛先は、「文部科学省教育課程課御中」と明記。
 FAXの人は→(03)6734-4900に
 電子メールの人は→doutoku@mext.go.jp に


 判別のため、冒頭に「件名:省令案等への意見」と明記した後、以下の様式でご意見をお寄せ下さい。
1 氏名(団体の場合はその名称)。
2 性別・年齢(団体の場合は記入不要)。
3 職業(在学中の場合は「高校生」「大学生」など在学する学校段階を記入。団体の場合は「団体」と記入)
4 住所(団体の場合は事務所所在地を記入)
5 電話番号
6 意見 →ご注意1の分類番号を書いてから。
 ※ご注意1 下記の①~⑬の分類番号から一つ選んで 記述する。
 複数の論点について意見を寄せる場合は、とりまとめの都合上、FAXは1枚1意見、メールは1メール1意見として下さい、とのこと。
 ※ご注意2 意見が千字を超える場合は、最初に要旨を記載する。メールの場合、添付ファイルは不可。
分類番号①:学校教育法施行規則の一部を改正する省令案について
分類番号②:小学校・中学校学習指導要領案【第1章総則】について
分類番号③:小学校・中学校学習指導要領案【繁2章各教科】【第4章外国語活勤(小学校のみ)】【第5章(中学校第4掌)総合的な掌習の時間】【第6章(中学校第5章)特別活動】について
分類番号④:小学校・中学校掌習指導要領案【第3章特別の教科道徳】第1目標について
分類番号⑤:小学校・中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】第2内容A主として自分自身に関することについて
分類番号⑥:小学校・中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】第2内容B主として人との関わりに関ずることについて
分類番号⑦:小学校・中学校学習指導要領案【第3隼特別の教科道徳】第2内容C主として集団や社会との関わりに関することについて(愛国心)
分類番号⑧:小学校・中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】第2内容D主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関することについて
分類番号⑨小学校・中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】第3指導計画の作成と内容の取扱いについて
分類番号⑩:小学校・中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】その他
分類番号⑪=特別支援学校小学部・中学部学習指導要領案について
分類番号⑫=小学校、中学校、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の特例を定める告示案について
分類番号⑬:その他
 <文例1>分類番号②について、意見
文科省の小中学校学習指導要領案【第1章総則】の「第1教育課程編成の一般方針」の「2」の、「道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき」「わが国と郷土を愛する…日本人の育成に資することとなるよう特に留意しなければならない」との記述を削除して下さい。そして、
 -戦前・戦中の教科・修身が児童生徒に国家主義を注入し、戦場に駆り立て、アジアの人々を含む多くの人の生命を奪った反省のもと、現代の道徳教育は、日本国憲法、とりわけ基本的人権の尊重を保障した第19条・20条・21条・23条(思想・良心・信教・表現・学問の自由等)、前文から導かれる平和的生存権(生命の尊重)を最重視し、行われなければならない。
 とりわけ、”自己犠牲”を強いる”国防教育”につながりかねない”国を愛する態度”を教化することは、厳に慎むべきである。一
 という表現に改めて下さい。

 理由
 日本国の最高法規(98条)である日本国憲法は、平和主義と国民主権、「個人の尊厳」を基礎に基本的人権の尊重を掲げ、近代立憲主義の精神(権力者による権力濫用に歯止めをかける)を基本理念にしている。
 道徳教育は、日本国憲法の基本的人権の尊重を保障した第19条・20条・21条・23条(思想・良心・信教・表現・学問の自由等)を最重視し、行われなければならない。
 日中戦争や第2次世界大戦を遂行する”人作り”をした国家主義教育(教育勅語、国定教科書)への反省の上に、「日本国憲法の精神」を実現するには、「根本において教育の力にまつべきものである」として、国会は1947年(昭和22)3月に教育基本法を制定した。
 第1条「教育の目的」に「個人の価値をたっとび」を掲げ、第10条1項に「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と明記した1947年教育基本法のもとでは、これらの条文が活かされ、児童・生徒や先生たちの思想・良心・信教・表現・学問の自由等に直結する問題に教育行政等が介入・統制しようとした事件等で、一定の歯止めをかけられたことが、少なくはなかった(家永教科書裁判での文科省の検定意見の一部違憲判決や、全国学力テスト最高裁判決など)。
 また、子どもの権利条約を活かした児童・生徒たちの自主的・主体的な取り組み(自治活動。意見表明権の行使)も、数多く見られた。
 文科省は改定前教育基本法は、学習指導要領に一切記述しなかった。しかし文科省は、第1次安倍政権時の2006年12月、与野党の賛否の分かれる中、成立した改“正”教育基本法には強いこだわりを持っており、改“正”前後の矛盾は明白。
 改“正”教育基本法の問題点は、以下の(1)成立時の反道徳的手法、(2)(3)”国を愛する態度”教化の行き着く先の危険-の大きく2点に集約できる。
 (1)当時の文科省広報室長の白間竜一郎氏が作った「教育基本法は見直すべきだと思います。改正案は『公共の精神』などの視点が重視されていて共感している」
などとい“質問・意見の原稿を、内閣府の役人らが「台詞の棒読みは避け、自分の意見を言っている感じで」と、多数の参加者(中学校のPTA会長らに税金で5千円を出し戸買収つに指示し読み上げさせた、いわゆる“やらせ”や、役人らの”サクラ動員”といった、全体主義顔負けのインチキで世論操作した。(タウンミーティング)
 (2)2006年11月27日の参院教育基本法特別委員会で、伊吹文明・文部科学大臣(当時。以下同)は、「私たちが(”改正”育基本法の)政府案を作成する段階で、(伊吹氏の所属する自民党が、05年10月に公表した)新憲法草案(憲法”改正”案)との整合性をチェックし、提出した」と答弁。伊吹氏は続けて、その”新憲法草案”前文の「日本国民は、帰属する国を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有する」を、「”改正”教育基本法第2条5号の『我が国を愛する態度』という文言で受けている」と明言した。
 これにより、文科省の意図する”国を愛する態度”の教化は、同省が現指導要領の「思考力、判断力、表現力を育む」等で、キャッチフレーズとしている「生きる力」とは逆で、”国防教育=国のために自己犠牲を払うことを厭わない子ども作り”に直結する危険性が浮き彫りになっている(1999年の周辺事態法と2003年の有事法の成立により、あってはならないことだがもし、米国がアジアで紛争や戦争を起こしたら、自衛隊が加担し、日本有事になり得る法体系はでき上がっている上に、集団的自衛権行使となると、なおさら…)。
 なお、改”正”教育基本法第2条5号の後段「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」に関し、伊吹大臣は前記”国を自ら支え守る責
務”を、自衛隊の海外派兵時にも拡大させる危険な答弁も行っている。

 (3)第1次安倍政権時の与党議員や文科省官僚は、「『国』とは『統治機構』は指さない。『自国の伝統や文化』とか『国士や自然、環境』だ」と弁明し、“安心”させようと世論操作した者が少なくない。
 だが安倍首相の意向を受け、与野党の賛否の分かれる中、2007年6月に成立した“改正”学校教育法第21条三号の前段の条文は、「我が国…の現状と歴史について、正しい理解に導き、…我が国…を愛する態度を養う」である。この「我が国の現状」という文言・表現からは、「国」とは、権力を持つ政治家や官僚、財界の”大物”といった「統治機構」(や天皇・皇室など)を指す、と考えるのが自然である。
 <文例2>分類番号⑦について、意見
 文科省の小中学校学習指導要領案【第3章特別の教科道徳】「第2内容」の「C主として集団や社会との関わりに関することについて」の[伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度]の項は、これまで小学校3年生以上で強制していた「我が国…を愛する心をもつこと」という内容を、「我が国…に愛着をもっこと」との表現で、1・2年生にも押し付けています。
 しかし、6~8歳児に当たる1・2年生は、まだ「国」という概念は理解できません。百歩譲って「我が国…を愛する心」を教えるとしても、社会科で「国」とい
う概念を学習するは6年生以降で、十分です。
 小学校低学年の児童への”愛国心”強制は、学習指導要領案の第1章総則の「第2内容等の取扱いに関する共通的事項」にある「児童の負担過重となったりすることのないようにしなければならない」や、「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」にある「各学校においては,児童の発達段階や特性等を踏まえ、指導内容の重点化を図ること」という記述に、明確に違反します。
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