とある小さな駅の待合室
古いベンチに向かい合って座る僕とパキスタン人の友人
これから始まる旅に心躍らせ、会話を楽しみ列車を待つ
しばらくして
頭に立派なターバンを巻いたインド人がやって来た。
友人の横に座ったインド人は、彼をジロジロと見て
「オマエ何ジンカ?」と尋ねた。
「パキスタン人デス」
そう友人が答えると、インド人は激昂し立ち上がり、
猛烈にパキスタンを批判しだした。
優しい性格の友人は、すっかり怯えてしまっている。
あまりに酷い発言に我慢の限界に達した僕は、
「そんなターバンやめちまえ!!」と
インド人に掴み掛かり、ターバンを引っ張った。
クルクルと回りだすインド人。
しかし、引っ張っても引っ張っても少しも小さくならず、
僕らの足元はターバンの布で埋まっていく。
(これでは無限ループではないか!)
僕は恐ろしくなってきた。
このままでは、僕はインドとパキスタンの問題に介入してしまう。
日本人の僕が、核戦争のきっかけになりかねないのだ。
しかしもう遅かった。
山となったターバンで僕達はもう身動きも取れなくなり、
回っていたインド人はいつの間にか友人に変わっていた。
突然僕の頭の中にイメージが浮かぶ。
さっきのインド人がニヤリと笑い、核ミサイルのボタンを押した。