オミクロンという新顔が出始めてはいますが、とりあえず今のところは一段落しているコロナ。
先月に続き、今回もリアルに集うことができました。
演奏表現学会の12月例会で、講師はクラヴサンの名手・桒形亜樹子さん。
昔ドイツに居た頃、隣人のオーボエの長岡くんが彼女の同級生だったこともあり、拙宅にお泊りいただいたこともある。
さらには、かつて内々の集まりでヘクサコルドソルミゼーションのレクチャーもしていただいたことがある。
今回もそうだけれど、私の興味のその先には、いつも桒形さんが居る・・という感じ。
年齢は少しだけ下だけれど、様々なことをお教えいただいてきている。
また彼女は、しばしば共演していただいているピアニスト・砂原悟さんと芸高・芸大の同級生であったこともあり、そのご縁で、私もお会いし、お話をうかがうことができた。
それは2014年、私の本を出す、という企画が某出版社で持ち上がっていて、その関連の取材として砂原さん、桒形さんにインタビューをお願いし、快諾していただいたのでした。
原稿は、編集者Tさんの熱意もありなんとか完成はしたものの、結局は「・・・売れない・・」という社長判断で、結局はボツになってしまったせつない想い出・・
その後も「今年こそ完成させましょう!」とTさんから鼓舞されるものの、当時持っていた興味や問題点は最早今の自分には当たり前になってしまって、いまいち、熱意も湧かず筆が進まないまま早7年。
何よりも、当時の身体感覚から導き出された考えと、現在の考えはかなり変化した、ということだ。
そういう意味ではあの時出せなかったのはむしろ良かったかも、とも思っている。
じゃあ、いつ出すの?ってことでもあり、それはそれでジレンマでもあるのだけれど。
「本どうなったの?」
との桒形さんへの問に、かくかくしかじか、と以上の様な内容を話す。
取材した当時、クープランのクラヴサン奏法(対訳版)を書くという大仕事に取り組み始められたという話を聞いた。
その仕事は無事完成し、全音楽譜出版社から2018年に出版され、現在第4刷となっている。本当に素晴らしい本で、原本のファクシミリ、楽譜も満載。最後には演奏家ならではの考察、提言がある。
今回も、様々な側面からクープランの音楽を解説してくださった。
かなり専門的な内容なので、割愛するけれど、その中でとても面白い話を知った。
新たな謎にはいつでもワクワクさせられる。
彼の作品の中に、3分の8拍子というものがある。
でも、その楽譜は8分の3拍子で書かれているものと全く同じ。
そもそもロジック的には、おかしい。
なので、過去の殆どの研究者の間では、これは版木のミス、ということになっているらしい。
しかし、その曲はクープランの生前14刷もされている。もしミスならば、いくらなんでも、修正しただろうに、それをしていない。ということは実は何かしらの意図があったのではないか?というもの。
何か修辞学的な意味合いでもあったのだろうか?
と、そのプレリュードの楽譜を見ながら夢想。
これは今後の研究が待たれるとのことで、楽しみです。
誰が謎を解くのか?
それともやっぱりミスとして終わってしまうのか?
またクープランは拍子記号に様々な表情記号を書き加え、微妙な変化を表現していた。
拍子自体が、曲のテンポや個性をある程度表していた時代。
少し後の時代になるけれど、キルンベルガーは、拍子夫々の個性に言及している。
4分の4拍子とCで記譜されたものとの違いも厳格だ。
そのことを質問したら、なんと、驚きの回答。
クープランの時代には4分の4拍子の表記はなかった、という。
全てC。
わお。
知らなかった。
さらには、アラヴレーヴェ。これは間違いで、本来は半分なんだからセミヴレーヴェというのが本当。
この瞬間までの常識が覆る。
これもまた、とてもワクワクと楽しい。
最後に桒形さんの演奏による8つのプレリュードをCDで聴かせていただいた。
これは製品化されたものではなく入手出来ずにとても残念なのだけれど、深く身体に沁み込むきらめきの音色で、甘やかな香りが匂い立様な素晴らしい演奏でした。
楽器は1624年製のルッカース。
オリジナル楽器による録音で、フランス、コルマール市 ウンターリンデン美術館での録音。
装飾法、インネガル共に、ハードルの高いフランスバロックですが、この本でもう一度学び治して「恋のうぐいす」に再び取り組んでみようか?と思ったりもしています。
先月に続き、今回もリアルに集うことができました。
演奏表現学会の12月例会で、講師はクラヴサンの名手・桒形亜樹子さん。
昔ドイツに居た頃、隣人のオーボエの長岡くんが彼女の同級生だったこともあり、拙宅にお泊りいただいたこともある。
さらには、かつて内々の集まりでヘクサコルドソルミゼーションのレクチャーもしていただいたことがある。
今回もそうだけれど、私の興味のその先には、いつも桒形さんが居る・・という感じ。
年齢は少しだけ下だけれど、様々なことをお教えいただいてきている。
また彼女は、しばしば共演していただいているピアニスト・砂原悟さんと芸高・芸大の同級生であったこともあり、そのご縁で、私もお会いし、お話をうかがうことができた。
それは2014年、私の本を出す、という企画が某出版社で持ち上がっていて、その関連の取材として砂原さん、桒形さんにインタビューをお願いし、快諾していただいたのでした。
原稿は、編集者Tさんの熱意もありなんとか完成はしたものの、結局は「・・・売れない・・」という社長判断で、結局はボツになってしまったせつない想い出・・
その後も「今年こそ完成させましょう!」とTさんから鼓舞されるものの、当時持っていた興味や問題点は最早今の自分には当たり前になってしまって、いまいち、熱意も湧かず筆が進まないまま早7年。
何よりも、当時の身体感覚から導き出された考えと、現在の考えはかなり変化した、ということだ。
そういう意味ではあの時出せなかったのはむしろ良かったかも、とも思っている。
じゃあ、いつ出すの?ってことでもあり、それはそれでジレンマでもあるのだけれど。
「本どうなったの?」
との桒形さんへの問に、かくかくしかじか、と以上の様な内容を話す。
取材した当時、クープランのクラヴサン奏法(対訳版)を書くという大仕事に取り組み始められたという話を聞いた。
その仕事は無事完成し、全音楽譜出版社から2018年に出版され、現在第4刷となっている。本当に素晴らしい本で、原本のファクシミリ、楽譜も満載。最後には演奏家ならではの考察、提言がある。
今回も、様々な側面からクープランの音楽を解説してくださった。
かなり専門的な内容なので、割愛するけれど、その中でとても面白い話を知った。
新たな謎にはいつでもワクワクさせられる。
彼の作品の中に、3分の8拍子というものがある。
でも、その楽譜は8分の3拍子で書かれているものと全く同じ。
そもそもロジック的には、おかしい。
なので、過去の殆どの研究者の間では、これは版木のミス、ということになっているらしい。
しかし、その曲はクープランの生前14刷もされている。もしミスならば、いくらなんでも、修正しただろうに、それをしていない。ということは実は何かしらの意図があったのではないか?というもの。
何か修辞学的な意味合いでもあったのだろうか?
と、そのプレリュードの楽譜を見ながら夢想。
これは今後の研究が待たれるとのことで、楽しみです。
誰が謎を解くのか?
それともやっぱりミスとして終わってしまうのか?
またクープランは拍子記号に様々な表情記号を書き加え、微妙な変化を表現していた。
拍子自体が、曲のテンポや個性をある程度表していた時代。
少し後の時代になるけれど、キルンベルガーは、拍子夫々の個性に言及している。
4分の4拍子とCで記譜されたものとの違いも厳格だ。
そのことを質問したら、なんと、驚きの回答。
クープランの時代には4分の4拍子の表記はなかった、という。
全てC。
わお。
知らなかった。
さらには、アラヴレーヴェ。これは間違いで、本来は半分なんだからセミヴレーヴェというのが本当。
この瞬間までの常識が覆る。
これもまた、とてもワクワクと楽しい。
最後に桒形さんの演奏による8つのプレリュードをCDで聴かせていただいた。
これは製品化されたものではなく入手出来ずにとても残念なのだけれど、深く身体に沁み込むきらめきの音色で、甘やかな香りが匂い立様な素晴らしい演奏でした。
楽器は1624年製のルッカース。
オリジナル楽器による録音で、フランス、コルマール市 ウンターリンデン美術館での録音。
装飾法、インネガル共に、ハードルの高いフランスバロックですが、この本でもう一度学び治して「恋のうぐいす」に再び取り組んでみようか?と思ったりもしています。