職場のSくんと島の南部へお使いに行く。帰り道に「お茶でも買おうか?」と眺めのよいオミヤゲ屋さんに寄ると、お店のおじさんが外人のカップルと話していた。壁に貼った大島バスの時刻表を眺めて、3人で何やらブツブツ言っている。どうやらそのカップルさん、元町へ行きたいようだけど次のバスがかなり先だと知って困惑しているらしい。確かに、元町行きのバスはついさっきすれ違った(運転席でOさんがハンドルを握っていた)から、戻ってくるにはだいぶ時間がかかるはず。「あの、僕ら元町に戻りますけど、一緒に乗っていきますか?」と誘うと、おじさんが英語で通訳してくれる。渡りに船かと思いきや、さらにブツブツ言っているカップルさん。「あのねぇ、彼ら筆島にも行きたいって言ってるんだよ」っておじさん・・・
ふ~ん、ナルホド。せっかくはるばる外国から来たお客さんだから、多少回り道にはなるけれど、車ならすぐだから行ってやろうじゃないのよ。しか~し、おじさんが「この人たちが、筆島経由で元町に連れて行ってくれるって!」と通訳しても、なかなか乗るとは言わないカップルさん。そうか、ぴらにあもSくんも小汚い作業着で、車もボロのトラックだから怪しまれたのか?。「二人ともジェントルマンだから大丈夫よ!」というおじさんの意味不明な説得で、やっとヒッチハイク決定・・・
お二人とも年齢は30前後という感じ、ブラッドピット似の短髪イケメンお兄ちゃんと、モデルさんみたいなシャラポワ似(北欧系美人風?)のお姉さん。「どこから来たの?」とぴらにあが聞くと(一応英語で)、なんとフィンランドからはるばるやって来たという。な~んでフィンランドくんだりから伊豆大島へ?と思っているうちに筆島に到着。と、着くや否や一所懸命にカメラのシャッターを切るお兄ちゃん。お姉ちゃんや自分たちを一緒に入れて・・・なんて浮かれた感じじゃなくて、筆島や海岸線を無我夢中に撮影して、単なる観光と言うにはちょっと雰囲気が違う。一通り筆島の写真を撮りおわると、今度は噴火時の待避壕に興味を持ったお兄ちゃん。「噴火や地震の時にね、ここに入って助けを待つんだよ」とぴらにあが説明すると、キラリと光るお兄ちゃんの目。う~ん、コレはマニアの目だ。ぴらにあと同じ、『火山マニア』に違いない・・・
元町に向かう途中のバウムクーヘン(地層切断面)でも、「この砂は三原山の噴火で積もったの?」とフィンランド人らしからぬ質問をするお兄ちゃん。ぴらにあも負けじと、「黒いのは三原山だけどね、白いのは神津島や新島のなんだよ。それが代わりばんこに積もってね、バームクーヘンみたいな縞模様になっているの」と返す。ぴらにあのインチキ英語の説明を聞きながら、目をキラキラと輝かせてバウムクーヘンを見て、幸せの頂点にいるようなお兄ちゃん。「今日は島へ泊まって明日帰る」というフィンランドお兄ちゃんたちと港で別れて職場へ戻る。仕事が終わってからオミヤゲ屋へ報告に行くと、「いや~、フィンランドの人だってのに、大島のことを詳しく知っていてね、ビックリしたよ!」とおじさん。「噴火口にこれだけ近づけるのは、世界中でも大島の三原山とハワイのキラウエア火山くらいなモンだって喜んでね、波浮港も噴火口の跡だって知ってたよ!」って。やっぱり、お兄ちゃんはフィンランドの火山マニアだ。明日、割れ目噴火口か溶岩流でも行ってみたら、またお2人さんに会えるかも・・・
しかし、ラブラブの二人で地球の果ての火山島に向かう。日本語も全く話せないのに、とにかく憧れの筆島を目指して。そう、来ちゃえばどうにかなるモンだ。ぴらにあもこんな感じの旅が大好きです。コレに似たことを香港の奥地でやって、ホントに遭難しかけた事があるけど。とはいえ、ヒッチハイクしたトラックの後ろ座席で、イチャつくのは止めましょう。運転の手元が狂って事故っちゃうかもしれませんから・・・