穴あきの古銭をじゃらじゃらしているとほとんどは寛永通宝なんですが、時々出てくるのは渡来銭と呼ばれる昔の中国の銅銭です。これには実にたくさんの種類があるのですが、写真のものは開元通宝というお金です。このお金は唐時代から五代十国時代まで約300年にわたって流通した貨幣です。
最初の発行は唐の武徳4年ですからなんと!西暦621年です。実に1400年ぐらい前です。中国では618年に隋が滅んで唐が建国されていますから、唐代初期のお金なんですね。622年は日本では推古天皇30年で、厩戸皇子が斑鳩宮で没していますし、同じく622年はムハンマドがメディナへ遷るヒジュラ(聖遷)の年です。 ヨーロッパは、東ローマ帝国がササン朝と攻防を繰り広げているころです。
渡来銭は遣唐使、遣隋使がもたらしたのがはじめとされ、その後の平安、鎌倉、室町幕府や民間の貿易によって日本国内でも流通するようになりました。
渡来銭は、寛文10年(1670年)の渡来銭禁止令で一応は使用ができなくなりましたが、実際には寛永通宝などにまぎれて、流通していました。江戸時代以前の一般庶民は、字が読めませんでしたからあまり区別せずに使っていたのかもしれませんね。
その後明治政府は、渡来銭の一部を一厘として流通することを認めたので、わずかながらも通貨としての命脈を保ち昭和初期の廃貨まで使用することができました。
廃貨となったとはいえ、もともとはお金ですから誰も簡単に捨てることはしなかったので、1400年たった今でも私の手元にこうしてありつつけているわけです。
写真の開元通宝は見た目は同じように見えますが、向かって右側のものは、磁石にくっつきます。銅銭は磁性がないですから、もしかすると日本国内で鋳造されたものかもしれません。
それにしても1000年以上の間に何人の手を経ているのやら?恐ろしいほどの時間圧をたった4グラムにも満たないこの小さな貨幣の中に感じます。そんなことを思っているとなんだか歴史が身近に感じられて楽しいです。
貨幣は好き⁉️なんですが、いろんな人の人生があったんだろうと思うと感慨深いです。
どうぞ、ご無理のないように。
お金には、他人から人への流通もですが、小さくとも歴史もありますね。
千年以上となると、暮らし向きも今とは全く違うことでしょうね。