2009年3月7日。フィルハーモニー、ベルリン。
Berliner Philharmoniker
Gustavo Dudamel:Conductor
Viktoria Mullove:Violin
Sergei Rachmaninov: Isle of the Dead
Igor Stravinsky: Violin Concerto
Serge Prokofiev: Symphony No.5
なぜ、今までベルリンフィルを聴きにこなかったのか、不思議になる。
ベルリンフィルの本拠地、Philharmonie。ちなみに向かいには大変立派なSonyのビルがある。
開演まで時間があるので、ホールの中をめぐってみると、フルトベングラーの胸像。
こちらはカラヤン。若かりし頃の凛々しい姿-ここまでカラヤンが注文をつけたのだろうか?
うろついていると、若い女性に声をかけられる。ドイツ語は話せません、というと、NY出身のアメリカ人とのことで英語で会話。開演前に講演があるから聴きに行く、というので一緒に行く。が、人々に囲まれた後に気がついた。ドイツ語の講演で何が分かる?
彼女もDudamelを昨年聴いて、ファンになったらしい。「今日の曲目が何かは知らないけれど、そんなことはどうでも良いの」。もう25年近く前のBuninブームを思い出す私はかなり年寄り?
ようやく開いた。TVではおなじみのPhilharmonie。サントリーホールのお手本になっているだけあって、似ている。
さて、演奏が始まる。ベルリンフィルの音の美しいこと。一人一人が、ソリストのような実力を持ちながら、全員がひとつのチームになって演奏をする。管楽器も素晴らしく上手い。弦楽器も、本当に一体だ。Dudamelはきっと、ポルシェを運転するような気持ちよさを感じているに違いない。
これまで、ステレオの音と生の音は何か本質的に違うと思っていたけれど、ステレオは生の音を何とか忠実に再現しようとする道具として発祥したのだということが逆に分かったような気がする。偶然1枚出た返却チケットを手に入れただけあって、決して音を聴くのに理想的な席ではなかったはずだが、本当に美しい音が聴こえてくる。
ベルリンの人々のことが心から羨ましくなった。彼らにとって、オケの標準はここなのである。ロンドンの標準といったら。。。しかし、隣のマダムは言っていた。「チケットが高くて年に5、6回しか来られないの」。この席、たったの38ユーロなのである。ベルリンは、想像と違って決してお金持ちな街ではない。
それにしても、Dudamelは、ベルリンフィルであろうと、何であろうと関係なく、manageできるのだ。本当に恐ろしい。ベルリンフィルが彼を信頼し、協力しようとしているのが見て取れる。彼は非常に腰が低いように見受けられるし、かわいがられていることだろう。
最後は、楽団員が隣の席の人と握手をして退席。しかし観客は舞台へ押し寄せ、拍手をしてDudamelを呼ぶ。彼が戻ってきて、拍手に応える。
いつか、きっと、あの胸像にDudamel、彼の胸像が加わる日が来るのではないか。。。