終戦記念日を前に映画を見るなら「日本の一番長い日」か「トラトラトラ」あたりが適当だと思いますが、カーク・ダグラス主演の1966年MGM製作の映画「Cast a Giant Shadow」を見ました。監督はメルヴィル・シェイベルソンと言う人ですが、音楽は有名なエルマー・バーンスタインです。題材はイスラエル建国秘話のようなもので弱体独立運動組織にすぎないイスラエル建国当時の軍を米軍の退役ユダヤ系将校(カークダグラス扮するミッキー大佐)が指導して圧倒的優勢なアラブ軍に対抗し、世界がどうせ独立を保てないと見なしていたイスラエルの独立を第一次中東戦争で確立する物語です。
テレビでも何回かみたことがあるのですが、原板にあるジョンウエイン扮する米国軍の将軍との第2次大戦中の回想場面がテレビでは全てカットされていてイスラエルでの戦闘シーンのみになっていました。日本人には米国とイスラエルの関係などどうでもよいことなので映画としてはそれで良いのでしょうが、おせっかい親父を思わせるジョンウエイン扮する将軍は実は米国の存在そのものを暗示していて、カークダグラス扮するミッキー大佐が「米国の立場をわきまえずにイスラエルに深入り暴走するのを迷惑に思いながらも慈父のように庇護してゆく」という米国のスタンスを巧妙に表現しているようです。米国は直接関係がなかった第二次大戦に、きっかけは日本の真珠湾攻撃でしたが「自由と民主主義を守るため」に参戦して勝った栄光の戦いと考えています。だから「ユダヤ人の自由と独立を守る」ための戦いや「イスラエルの建国」も同じ「乗り」で賛成するのだ、という描き方がとても重要だったのでしょう。
ユダヤ人の中にもシオニズムに傾倒してイスラエルの建国を絶対視していた人もいれば、そうでない考えの人も多かったと聞いています。今ではイスラエルロビーが米国の政治をかなり動かしていますが、建国当初はイスラエルが存続できるかどうかも怪しいものだったでしょう。第2次、第3次中東戦争もイスラエルが勝てるという保証などなかったわけで、生き残りを賭けて(イスラエルの代理として)中国に核を持たせたという話しも頷けるものです。
さてこの映画、ミッキー大佐を含めて皆実在の人物が登場するのですが、初代首相のベングリオンやダヤン将軍なども登場、当時ばらばらであった民兵組織のパルマッハや他組織との葛藤などもそのまま描かれていて、歴史を知る上でもけっこう面白いと思いました。ただ日本名の「巨大なる戦場」というのは砂漠と原題のGiantの部分をイメージして付けたのでしょうが内容と合わない迷名といえましょう。死海やエルサレム、またマサダの丘など実際に行って見るとそんなに広大な土地ではないことがわかります。ミッキー大佐が「何故勝つために積極的に戦わないのか。」とベングリオンに意見する所で「我々は頑固だが、戦争は好きではないのだ、シャロームという挨拶は平和と言う意味だ。」と答える場面は多くのユダヤ人の本音ではないかと思いました。
今は当時のユダヤ人とパレスチナ難民との立場が逆転し、イスラエルはアラブ難民を虐殺する国家になってしまいましたが、心ある敬虔なユダヤ人はその状態を良しとは思っていないように思います。アフマディネジャド氏が主張するようにドイツの一部を割譲して戦後ユダヤ人の国を作れば良かったようにも思いますし、エルサレムに固執するなら欧州に国土を持ち、エルサレムの都市のみをアラブと共同管理するような形にしておけばもっと平和な国造りができたように思われます。どうもおせっかいおやじジョンウエイン=米国が結果的に中東の平和を乱す元凶となったことを皮肉にもこの映画は暗示しているのかも知れません。
テレビでも何回かみたことがあるのですが、原板にあるジョンウエイン扮する米国軍の将軍との第2次大戦中の回想場面がテレビでは全てカットされていてイスラエルでの戦闘シーンのみになっていました。日本人には米国とイスラエルの関係などどうでもよいことなので映画としてはそれで良いのでしょうが、おせっかい親父を思わせるジョンウエイン扮する将軍は実は米国の存在そのものを暗示していて、カークダグラス扮するミッキー大佐が「米国の立場をわきまえずにイスラエルに深入り暴走するのを迷惑に思いながらも慈父のように庇護してゆく」という米国のスタンスを巧妙に表現しているようです。米国は直接関係がなかった第二次大戦に、きっかけは日本の真珠湾攻撃でしたが「自由と民主主義を守るため」に参戦して勝った栄光の戦いと考えています。だから「ユダヤ人の自由と独立を守る」ための戦いや「イスラエルの建国」も同じ「乗り」で賛成するのだ、という描き方がとても重要だったのでしょう。
ユダヤ人の中にもシオニズムに傾倒してイスラエルの建国を絶対視していた人もいれば、そうでない考えの人も多かったと聞いています。今ではイスラエルロビーが米国の政治をかなり動かしていますが、建国当初はイスラエルが存続できるかどうかも怪しいものだったでしょう。第2次、第3次中東戦争もイスラエルが勝てるという保証などなかったわけで、生き残りを賭けて(イスラエルの代理として)中国に核を持たせたという話しも頷けるものです。
さてこの映画、ミッキー大佐を含めて皆実在の人物が登場するのですが、初代首相のベングリオンやダヤン将軍なども登場、当時ばらばらであった民兵組織のパルマッハや他組織との葛藤などもそのまま描かれていて、歴史を知る上でもけっこう面白いと思いました。ただ日本名の「巨大なる戦場」というのは砂漠と原題のGiantの部分をイメージして付けたのでしょうが内容と合わない迷名といえましょう。死海やエルサレム、またマサダの丘など実際に行って見るとそんなに広大な土地ではないことがわかります。ミッキー大佐が「何故勝つために積極的に戦わないのか。」とベングリオンに意見する所で「我々は頑固だが、戦争は好きではないのだ、シャロームという挨拶は平和と言う意味だ。」と答える場面は多くのユダヤ人の本音ではないかと思いました。
今は当時のユダヤ人とパレスチナ難民との立場が逆転し、イスラエルはアラブ難民を虐殺する国家になってしまいましたが、心ある敬虔なユダヤ人はその状態を良しとは思っていないように思います。アフマディネジャド氏が主張するようにドイツの一部を割譲して戦後ユダヤ人の国を作れば良かったようにも思いますし、エルサレムに固執するなら欧州に国土を持ち、エルサレムの都市のみをアラブと共同管理するような形にしておけばもっと平和な国造りができたように思われます。どうもおせっかいおやじジョンウエイン=米国が結果的に中東の平和を乱す元凶となったことを皮肉にもこの映画は暗示しているのかも知れません。