ロシア軍の侵攻から3週間以上が経過し、戦況としては、都市部はウクライナ軍がまだ抑えているものの、徐々にロシア軍が占領地域を広げており、首都キエフより東側全体はロシア側が占領しつつあります。前回掲載した両軍の損害状況などから、ウクライナ軍の善戦を報じるメディアが多いのですが、食料や燃料、損傷機器の補給や負傷者の後送ができなければゲームの様には戦闘を継続することはできません。NATOは参戦を明確に否定し、海外からの武器や義勇兵の補充はリビウ郊外の基地が遠隔ミサイルで撃破されたことからも解る様に不可能です。損害は大きいものの、ロシア側は陸路がつながっているので後送、補充は可能です。消耗戦になっても結果はもう見えています。西側の金持ち達のために、ロシアの国力を削ぐ道具として使い捨てられる「一般のウクライナの人達」が哀れです。
今回は「雑誌 軍事研究」4月号に掲載されていたウクライナ軍の構成と、指令を出す政権側の変貌についてまとめました。
I. 二重構造のウクライナ軍
ウクライナ軍には表の様に、正規軍であるウクライナ国防軍と2014年の政変後にそれまで内務省管轄で国内軍或は親衛隊であった組織が改変されて郷土防衛軍となった民兵中心の組織があります。近隣国に避難している人達が女性や子供ばかりなのは、着いて来た男性達が国境で国内に郷土防衛軍として戦う様に追い返されているからです。そして世界はウクライナの人々が国土を守る気概が素晴らしいと賞賛しているのです。
二重構造のウクライナ軍 雑誌 軍事研究の論説からrakitarouが編集
II. 急こしらえのウクライナ軍
ウクライナ正規軍は、冷戦終結後の軍縮案に沿って2000年策定の計画で2013年には陸軍は5万人程度でした。しかしクーデター後に東部地区で親ロシア派との内戦が勃発すると、ネオナチのアゾフ大隊(2022年のウクライナ侵攻では、ロシア側が特別軍事作戦を行う目的として掲げるウクライナの『非ナチ化』の根拠の一つに挙げられている。クライナ国家親衛隊の東部作戦地域司令部第12特務旅団アゾフ特殊作戦分遣隊として、戦闘にも参加しており、2022年3月16日にロシア軍将官としては4人目の戦死者となるオレグ・ミチャエフ少将を殺害したと発表している。Wikiより)などを中心に米国などの肩入れで軍備増強が行われ、陸軍は3倍の14.5万人に増加、国民動員令で一般国民も郷土防衛軍として13万人が動員される体制が作られました。小規模ながら実戦が行われていたとは言え、急こしらえのウクライナ軍がどこまで指揮系統が確立して体系的戦略的な戦闘ができるのか、疑問に思います。勿論武器があれば目の前の敵と戦うことはできますが、戦いに勝っても戦略的でなければ戦争に負ける事はいくらでも例があります。それは大変勇敢かも知れませんが「愚かで無駄な殺し合い」でしかありません。
軍事研究の論説によると、詳細は省きますが、ウクライナ正規軍の戦車などの正式装備は旧ソ連時代からの使い回しが殆どで、今回活躍したとされるシャベリンなどの小型対戦車兵器は2018年以降に米国から供与され、多くは2022年1月以降に持ち込まれたものです(戦争準備が西側からもなされていた証拠)。
III. ゼレンスキーの2019年パリ会談以降の変貌
ゼレンスキー大統領が選挙時にかかげた公約(郷土防衛軍は廃止して正規軍のみにすると公約していた)
2019年パリ エリゼ宮で行われた会談の様子
1)パリ会談
2019年12月、大統領になったゼレンスキーは自らの公約に従い、ウクライナ東部の紛争終結に向けてプーチン大統領、マクロン大統領、メルケル首相と会談を行い、下記の様な合意に達しました。
(引用開始)
【12月10日 AFP】(更新、写真追加)ウクライナ東部の紛争終結に向けてフランス・パリで9日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の初の首脳会談で、両国は年内に完全な停戦を履行するとともに、2020年3月までに部隊の追加撤収を行うことを目指して作業を進めることで合意した。
約8時間にわたって行われた一連の会談後に4か国が出した共同宣言は、「(ロシアとウクライナの)両国は、必要な全ての停戦支援策によって強められる完全で包括的な停戦を、2019年末までに履行することを約束した」と述べ、さらに「2020年3月末までに兵員と兵器を引き離すことを目的として」ウクライナ東部に新たに設ける3か所の撤退地域について今後合意する必要があるとしている。ゼレンスキー氏は、ドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー大統領が外相時代に提案した「シュタインマイヤー方式」に沿って、ロシアとの交渉を進めようとしている。これは、ウクライナ東部でウクライナ法に基づく公正な普通選挙を行い、欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団がこれを承認する代わりに、ドンバスに自治権を認めるというもの。
ロシア政府は、プーチン大統領が「好感が持てる」「誠実だ」と評価しているゼレンスキー大統領と協力する用意があるというシグナルを出していた。しかし、深夜に開かれた共同記者会見で、マクロン仏大統領とアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相を挟んだ両端の席に座ったロシアとウクライナの両大統領の間に温かい交流の兆しは見られなかった。
(引用終了)
しかし、これらの合意は実行されることなく、さらに財閥解体などの他の公約も下記に示す様な実力者達に力づくでなし崩しにされてゆきます。
(引用開始)
廣瀬陽子:クリーンなイメージを打ち出してきたゼレンスキーが、実は財閥の手足に過ぎないのではないかという懸念もある。ゼレンスキーのバックにいると言われているのが、総資産額11億ドルを所有すると言われるオリガルヒのイホル・コロモイスキーである。彼は、金融、鉄鋼、メディア、エネルギー、投資と非常に多くの分野に進出しており、ゼレンスキーが出演するテレビ局「1+1」も所有している。
コロモイスキーはウクライナ危機の際に私兵や私財を差し出してウクライナの秩序回復に貢献し、危機の直後にドニプロペトロフスク州の知事に任命されるなど、ポロシェンコと当初は関係が良かったが、やがて関係が悪化し、2015年3月には知事も解任された。その後、コロモイスキーのウクライナ最大の商業銀行「プリバトバンク」も国有化され、コロモイスキーとポロシェンコの関係は完全に冷え切っていた。他方で、ゼレンスキーとコロモイスキーの関係の深さは周知の事実であり、ゼレンスキーがコロモイスキーの手足になるのではないかという懸念が持たれていることは間違いない。
2021年9月財閥解体法案可決後に政府高官車両銃撃にも関連。アゾフを支援は公然の事実。
(引用終了)
表向き米国はウクライナオリガルヒを遠ざけるそぶりを見せますが、実態はバイデン親子を取り込むなどしてゼレンスキーの改革を阻止し、ネオナチの私兵勢力を政権中枢に付けた上で兵器の援助など行って反ロシア体制を固めて行きます。結果的にゼレンスキーは大統領就任当初の公約から大きく離れた現在の反ロシア、親財閥の西側パペット状態に陥って行き、現在の戦争状態に至ります。
IV. 沖縄戦を讃美する愚か
ゼレンスキーの公約にあった様に、近代国家においては正規軍は職業軍人からなる、政府によるの統制の取れた組織でなければなりません。国土防衛も計画に沿った体系的戦略に基づいて実行されなければ、守るべき国民に多くの犠牲が出ます。戦争は外交の一手段なのですから、出口戦略を見据えて計画する必要があります。一般市民が武器を取って抵抗するのは殲滅戦に至った最期の手段と考えるべきで、市民が武器を取って戦う「沖縄戦」や「本土決戦」を初手から行うなどありえない事です。日本の「防衛計画大綱」に初戦から日本国民は武器を手に自衛官と共に戦うと記載されたらどう思うでしょう。それを今回、ウクライナでは初手から行っているのに、欧米のみならず、日本でもゼレンスキーを英雄と讃え、ウクライナの愛国心を賛美しているのです。私はこのデタラメには怒りを覚えますし、賛美する人達には猛省を促します。自分は安全な場所にいて殺し合いを賛美するなど、戦争を何だと思っているのかと!
これからも未来永劫、ウクライナはロシアの隣国であり、引っ越す事はできないのです。ロシアとはうまく付き合って行く以外の道はないのに、どうでも良い遠方の西側一部金持ち達の都合で戦争させられる事に怒りを覚えないならば、真の愛国者とは言えません。
ロシアの将軍が4人死亡とのニュースはテレビや新聞などの大手メディアは流さない。ほぼゼロ。あるのはネット世界だけなのですよ。ロシア叩きがメインのマスコミが流さない理由が分からない。真相はン一切不明
唯一激戦が続いているのがドネツクのマリウポリ。なんと、ロシア軍は壮絶を極める市街戦に強いイスラム教武装勢力チェチェン軍部隊を投入しているが、何故かこれも欧米リベラルメディアや有識者が報じない。どうも、真実を必死で隠したいのでうしょ
記事にもあるようのゼレンスキー大統領が2009年当時はミンスク合意での和平を目指していたが残念ながらネオナチ武装勢力に子ども扱いで話を少しも聞いてもらえない。アゾフ大隊などはウクライナ政府の統制下にないミリシアで、しかも国軍よりも力を持っている。これでは国家の定義に明らかに外れている。
NATO加盟について1997年当時のバイデンは明確にロシアのレッドラインを超える危険すぎる挑発だとして反対していた。プーチンも2月24日の侵攻以前にウクライナのNATO加盟がレッドラインを超えると何度も警告しているのですが、・・・
実は、なんと2000年にロシア(プーチン)自身がNATO加盟を目指して、全欧安全保障構想で積極的に動いていた。皆さんご存じのように2001年のアフガン侵攻ではロシアを含む全世界が大賛成していたのですよ。ところがアメリカやNATOはアフガンで惨めに敗北、夜逃げして大恥をかいている