人口減少社会というと、特に不動産業界にとっては暗い話ばかりがクローズアップされがちです。単純に考えると、人口が減少すれば自然と需要は減るのだから、不動産取引は停滞せざるを得ない。空き家や空き地の増加は、その現象のひとつといってもいいだろう。ただ、考え方を変えれば、「不動産ビジョン2030」にあげられたように、不動産業者としてやれること、やるべきことはたくさんあります。特に、人と人が交流するための場づくりは、これから大きなカギを握ってきます。近年、単身者世帯が急増し、独居老人の問題もクローズアップされています。米国のブリガムヤング大学では「孤独はタバコを吸うよりも健康に悪い」という研究結果も発表しています。こうした「孤独」という社会問題を解決するうえで、不動産業の果たす役割は小さくない。また最近では、30~40代を中心にして、かつての別荘ライフとは違った視点から、居住する場所を複数持つようなライフスタイルを実現する人たちも出てきています。そうした需要に応えるために、月額4万円の会費を支払うことで全国の拠点に住み放題というサービスを始める会社も出てきています。情報通信の発展によって、職種によっては働く場所や時間を自由に選べるようになったからこそ実現するライフスタイルです。これまでの不動産業者は、多数の仲介物件を持ち、駅前に店を出して来客を迎えれば商売が成立しまし。それは人口が右肩上がりで増え、かつ経済が成長していることを背景に、需要が確実にあった時代だからこそ成り立ったビジネスモデルです。人口減少が避けられない現実となったこれからの不動産業者には、人々の新しいニーズを汲み取り、時代が求めるものを生み出して提供する知恵が求められるでしょう。
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