経済動向や不動産市場を見るうえで、人口動態、世帯数の動向は最も重要な指標となります。人口や世帯数が増えて、経済が成長している国や地方の経済・不動産市場は好調であり、人口や世帯数が減って、経済成長率が低迷している国や地域の経済・不動産市場は停滞するのが常識となっています。我が国の人口は、2008年の1億2,806万人をピークに減少傾向に入り、2030年には1億2,000万人、2050年には1億人程度にまで減少するといった見方があります。今後、出生率の改善、平均寿命の変化、外国人居住者の増減により予測値が変わってくる可能性がありますが、我が国の人口減少が続くことは間違いないといえそうです。さて、我が国の人口は2008年でピークをつけましたが、国立社会保障・人口問題研究所等によれば、世帯数のピークは2025年の5,412万世帯と予測されています。これは、一人暮らしである単独世帯数の増加によって人口のピークと世帯数のピークにタイムラグが生じるからです。家族形態別世帯数の動きをみると、1960年代くらいまでは大家族が主体となっていました。すなわち、祖父母、両親、子供といった三世代家族が一般的であり、その後、高度経済成長によって三大都市圏に人口が集中するようになると、夫婦と子供で構成される核家族世帯が主流になっていきました。しかし、夫婦と子供による核家族世帯は2015年にはピークをつけてその後は漸減傾向をたどることになります。 我が国の世帯数のピークは2025年と予測されていますが、夫婦のみの世帯のピークは同じ2025年、単独世帯数及びひとり親と子の世帯のピークは2030年と予測されています(図表1参照)。これまで、家族の形態と言えば夫婦や子供で世帯を構成するというのが一般的であったのが、これからは様々な形態で世帯が構成されるといった形になっていくと思われます。ちなみに、その他世帯の場合、これまで三世代家族が主体でしたが、これからは血縁関係のない人々が家族として世帯を構成するといった形も増えていくのではないでしょうか。これは、単身者やシングルマザー、シニアなど多世代の人々が一緒に生活するという暮らし方であり、既にスウェーデンやデンマークといった北米で取り入れられています。お互いに助け合って、世代ごとの悩みを共有できることから新たな生活スタイルとして我が国でも注目されつつあるようです。
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