米銀大手の1株利益は総じて予想を上回った=ロイター
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換が大手銀行の投資銀行ビジネスに追い風になっている。
16日に出そろった米銀大手6社の2024年7〜9月期決算では企業の活発な資金調達やM&A(合併・買収)の復調で投資銀の手数料収入が伸びた。
金利低下で融資業務の稼ぐ力には頭打ち感が出るなか、米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を支えに米銀の業績は底堅さをみせている。
大手6社の7〜9月期の純利益は商業銀行業務の比重が大きいJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが前年同期比で減益だった。
投資銀行業務が主体のモルガン・スタンレーは32%増益、ゴールドマン・サックスは45%増益だった。
最終減益になった4社も1株当たり利益(EPS)はいずれも市場予想を上回った。想定より好調だったのは企業の資金調達やM&Aなど資本市場を通じた活動を支援する投資銀行業務だ。
相対的に同業務の規模が小さいウェルズを除く大手5社の投資銀行業務の収益は合計で82億ドルと前年同期比30%増えた。
モルガン・スタンレーが5割増、シティは4割増、JPモルガンは3割増で、バンカメとゴールドマンは2割増えた。
シティのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は記者向けの決算説明会で「ここ数四半期、(M&A助言業務の)仕掛かり案件は堅調と説明してきたが、IT(情報技術)や資源、ヘルスケアなどの分野でディールが顕在化しつつある」と述べた。
投資銀行ビジネスはFRBの新型コロナウイルス対応の金融緩和のもとで活況を呈したあと、インフレ退治の大幅利上げが進んだ22〜23年に停滞を続けた。
24年に入って再び盛り上がりを見せ始めている背景には、高金利環境下でも米経済が想定以上に底堅さを保ち、企業活動も活発なことがある。
モルガン・スタンレーのテッド・ピック最高経営責任者(CEO)は16日、「M&Aの復活に強気だ」と述べ、更なる業績拡大に自信を示した。
ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOも「(FRBの)利下げサイクルの始まりが米経済の軟着陸への楽観論を再び呼び起こし、経済活動の活性化を促すだろう」と話した。
JPモルガンのジェレミー・バーナムCFOは、米経済の屋台骨を支える個人消費は「全体としてなお堅調で、(雇用・賃金の強さなど)消費者の足元はしっかりしている」と指摘する。
「現在の(市場の)中心的な見方である経済のノーランディング論とも符合する」と、経済が目立って減速せずに好調を維持するシナリオにも言及した。
米経済が崩れないうちにFRBが着実に利下げを進めれば、景気拡大も息の長いものになる。
企業の起債やM&Aが一段と拡大する素地は整いつつあり、調査会社ディールロジックによると、7〜9月期の公表ベースのM&A案件は金額ベースで22%増えた。
一方、金利低下は貸し出しと預金の利ざやで稼ぐ商業銀行ビジネスには逆風になる。
7〜9月期は商銀を主体とする4社の純金利収入の合計が624億ドルと前年同期から3%減った。23年10〜12月期をピークに頭打ち感が強まっている。
ウェルズの純金利収入は116億ドルと前年同期比で11%減った。
譲渡性預金(CD)など高利回りの商品に資金が流入した結果、銀行にとっての資金調達コストにあたる預金利回りが1.91%と前年同期から0.55ポイント上昇した。
バンカメでも貸出金利以上に預金金利の伸びが大きくなり、利ざやが1年前から0.2ポイントほど縮小した。
ウェルズのチャールズ・シャーフCEOは「FRBの利下げを受けて預金金利を引き下げ始めている」と説明する。だが金利の低下局面では預金よりも融資の金利低下が先行することが一般的で、多くの銀行で利ざや縮小の圧力が続く公算が大きい。
足元では米経済の底堅さを背景にFRBの利下げが想定ほど進まないシナリオも浮上するほか、11月の米大統領選・議会選の結果次第では景気悪化やインフレ再燃を招く可能性もある。
「経済環境は堅調に推移しているが、ビジネスや経済に影響を及ぼしうる外部要因は依然、残っている」とバンカメのブライアン・モイニハンCEOは警戒する。
(ニューヨーク=三島大地、斉藤雄太)
中空麻奈BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
ひとこと解説
経済環境は手堅い。金利上昇期を乗り切り、金利低下に入れば尚の事、景気リスクは抑えられる公算も大きい。
米銀大手は好調な収益確保が出来ていることも足元で確認された。
しかし、JPモルガンのジェイミーダイモン氏は、現在の地政学的リスクに最大級の懸念を示すべきとしているし、また、ウェルズファーゴの幹部も商業不動産のリスクへの警戒と引当金積み増しの要を伝えている。
こうしたポイントは、一見好調に見える米銀決算における注意点である。おもてにある数字だけでないリスクに気を抜かないことが、今こそ必要ではないか。
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小野亮みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 プリンシパル
ひとこと解説
論客として知られるFRBのウォラー理事は、14日の講演で、9月会合時よりも利下げはゆっくり進めるべきかもしれないと指摘。
年次改訂によるGDIの上方修正、求人倍率の上昇、GDPNowが示す高成長予想、予想以上の強さを見せた雇用統計とCPI統計がその理由。
米国経済はソフトランディングに向かっているのは確からしいが、そのランディングスピードは、従来の想定より速そう。その分、高金利は長く続く事になり、米銀大手には追い風となる
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日経記事2024.10.17より引用
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何度も言いますが、世界の金融業界で投資銀行は、2強。
一つは、ゴールドマンサックス(ユダヤ系、ロスチャイルドGr、民主党系)
もう一つは、モルガンスタンレー(WASP、ロックフェラー・モルガンGr、共和党系)。
ただし、ロックフェラーもモルガンも、今日のような財閥に慣れたのは、ロスチャイルド財閥やクーン・ローブ財閥(ロスチャイルドの親戚)からの指導と資金援助があった経緯があり、金銭的には金玉はロスチャイルドに握られています。
ロックフェラーを育てたのはクーンローブ財閥のジェイコブ・シフ。 モルガン財閥は、ロスチャイルドがアメリカ市場に参入しようとした時、強烈なユダヤ人差別に会い、英国ウェールズ出身の敬虔なプロテスタントのモルガン一族をアメリカ史上での代理人として使ったことにあります。
モルガンは、一時、GE、GM、ATT、カーネギー、USスチール、NY鉄道などを金融支配し、アメリカの影の政府とまで言われました。
詳しくはFACTベースの、RenaissancejapanのBlog記事参照。