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大日本印刷、3ナノ半導体の回路原版開発 エレクトロニクス

2023-12-27 11:10:41 | 自然災害・気候変動・異常気象・温暖化


     DNPは、最先端の半導体回路線幅3ナノメートル相当に対応した部材を開発した

 

大日本印刷(DNP)は最先端半導体の回路形成に使う原版「フォトマスク」を開発した。

回路線幅が3ナノ(ナノは10億分の1)メートル品と呼ぶ半導体に対応する。3ナノ品の半導体は台湾と韓国の2社のみが量産し、フォトマスクも内製している。まず半導体製造装置メーカーや材料メーカーに研究用として供給する。

フォトマスクは半導体の基板となるシリコンウエハーに回路を形成する露光工程で使う。露光は半導体製造の要となる工程で回路の形状が書かれたフォトマスクを通してウエハーに特殊な光を照射し、回路を焼き込む。

DNPは顧客企業などから受け取った半導体の設計図を基に、フォトマスクに回路を描いて販売する。3ナノ品の回路は5ナノ品と比べ形状や線幅が異なる曲線パターンが多い。DNPは設計データを描画に適した形に補正する技術などを改良して3ナノ品に対応したフォトマスクを開発した。

当面は半導体製造装置や材料などを手掛ける企業の研究開発用としての需要を見込む。将来は半導体メーカーへの販売も目指す。

半導体は回路を細くするほど小型化でき、電力消費を抑えられる。実用化されているものでは3ナノ品が最先端で、フォトマスクを内製する台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子だけが量産している。


足元ではスマートフォンやデータセンター向けに需要が高まっており、DNPは将来の量産時の需要拡大にも備える。

フォトマスクの世界シェアは内製している半導体大手を除くと、DNPとTOPPANホールディングス(旧凸版印刷)が計5割近いとされている。2社の他に米フォトロニクスやHOYAも高いシェアを持つ。

外販されているフォトマスクはこれまで5ナノ品対応が最も細かく、3ナノ品は珍しい。調査会社のグローバルインフォメーションによると、世界のフォトマスクの市場規模は2029年には22年比39%増の77億3928万ドル(約1兆1000億円)に到達する見通しだ。

 

一般的に回路線幅が7ナノより細い半導体は極端紫外線(EUV)と呼ぶ高度な技術を使う。DNPが今回開発したマスクもEUV露光に対応しており、EUV対応マスクの売上高を30年に100億円にしたい考え。

 

 

日経記事 2023.12.11より引用

 

 


半導体材料JSR非上場化が示す転換点 再編か強さ磨くか

2023-12-27 11:00:02 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

日経ビジネス電子版

 

「グローバルな競争には規模がいる。戦略的なM&A(合併・買収)には非上場化が必要だった」

JSRのエリック・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は日経ビジネスの取材に語気を強めた。同社は半導体の回路を母材のシリコンウエハーに転写するのに必要な感光材(フォトレジスト)大手で、先端品向けで世界シェア首位。

6月には政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)による1兆円規模の買収で非上場化を決めた。

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JSRのエリック・ジョンソンCEO(写真:吉成大輔)


非上場化には経済安全保障上、他国メーカーの買収の脅威から「国の宝」を守る狙いもあるとみられる。

JSRの株価は2023年の年初に約2600円と1年前に比べ約4割下落。業績は悪いわけではなかったが、中国などへの技術流出を防ぎつつ経営の効率化と再編準備のために、国に出資を持ちかけた。


「フォトレジストの再編を言っているなら、独り言で終わってほしい」。JSRのライバルである東京応化工業の種市順昭社長は8月、公の場でこうくぎを刺した。

この発言には、再編で統合が進めば、「市場のイノベーション(技術革新)が弱くなる」という意図がある。

 

東京応化は23年、フォトレジスト以外の事業を譲渡しほぼ専業となった。フォトレジストの道を究めようとする中で、他社からのアプローチには距離を置く。

再編劇は一筋縄ではいきそうにないが、JSRのジョンソンCEOは「圧力は強まっている」と強調。実際、JSRは21年、回路線幅5〜7ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の最先端半導体の製造に欠かせない「極端紫外線(EUV)」に対応したフォトレジストを手掛ける米インプリアを約450億円で買収している。

 

JSRの危機感の背景には、経済安保もからんだグローバル競争が日増しにし烈になっていることがある。日本にとって経済安保のカードである半導体材料の技術優位性とシェアが揺らげば、国益を損なう。

 

最新技術も宝の持ち腐れに

電子ビームで半導体の回路パターンが描画されたガラス製の原版「フォトマスク」。回路はそのマスクを通してシリコンウエハーに転写される。

大日本印刷(DNP)はマスク世界3強の一角を占めるが、DNPの中西稔執行役員は「大手3社でコップの中の争いをしている場合ではない」と危機感を募らせる。気がかりなのは中国メーカーだ。

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DNPの中西氏は中国メーカーの追い上げを警戒する(写真:北山宏一)


今年に入り地場のQYマスクが28ナノ用のマスク供給を始めたとの情報が入った。歩留まりなど総合的な実力は未知数だが、DNPはかつてディスプレー用素材で中国勢から打撃を受けた苦い経験を持つ。

DNPはすでに中国・台湾で、米フォトロニクスと合弁事業を展開しており、提携拡大に踏み切る可能性もある。

 

もっとも最先端品では中国に大差をつける。25万本以上のビームを使い一気に回路を描画する「マルチビーム」技術で、23年、最先端の3ナノ用マスクを世界で初めて開発した。1〜2日かかっていた描画を10時間でこなせる。

だが、まだ大規模な量産品になっていない。なぜか。台湾積体電路製造(TSMC)など半導体大手が数ナノクラスの最先端品マスクを自ら内製しているからだ。

 

マスクは露光工程でチップの歩留まりも変わってくる生命線ともいえる技術。最先端品向けは自ら囲い込むことで競争力を守ろうとしている。

革新的な技術を生んでも、TSMCのように巨大化し、周辺技術も取り込むような存在を前にすれば、宝の持ち腐れになる。

 

DNPはキオクシアホールディングスやSTマイクロエレクトロニクス(スイス)を主要顧客に持つが、3ナノほどの微細回路を必要としていない。

規模のみならず最新技術でも障壁を作るTSMCなどに対し、サプライヤーが合従連衡する圧力はいやが応でも高まる。

 

 

追いかける中国勢

日本の半導体向け材料・装置は高い世界シェアを誇る。

KPMG FASの半導体専門メディアに基づく調査によると、日本の半導体材料の世界シェアは56%と2位台湾に42ポイントのKPMGの岡本准執行役員パートナーは「レガシー(旧世代)向け材料は中国の実力が伸びてくると考えられるが、先端部材では日本に大きな優位性がある。

複雑で高度なすり合わせは簡単にはまねできない」と説く。

 

 

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(出所:半導体専門メディアの調査をもとにKPMG FAS作成)

 

中国勢も追いかけてくる中、再編や提携は現実味を増す。

もちろん勝ち残りの道はそうした「防御」だけではない。すり合わせ技術を突き詰め、自らの強みを磨き続けていく。そんな攻めのイノベーションで半導体大手に頼られる企業も出てきている。

 

フォトマスクの原板である「マスクブランクス」。これまで先端品ではHOYAと信越化学工業が世界シェアの過半を握っていたが、ここに彗星(すいせい)のごとく現れたのがAGC。先述したEUV技術を突破口に猛然とシェアを奪っている。

EUVの波長の短い光は極端に微細とあって、転写時に回路に欠陥が出やすい。

 

このためEUV用ブランクスは高純度な石英ガラス、それをマイクロ(マイクロは100万分の1)メートル単位で平たんに研磨するノウハウ、ガラス上の薄膜技術がそろわなければ使い物にならない。

AGCはHOYAと違い石英ガラスの製造から成膜まで三位一体、一貫して手掛けられる。例えばEUV用ブランクスは光を反射し過ぎても、吸収し過ぎても欠陥ができやすい。

 

だが、「(多層からなる)薄膜の絶妙な組み合わせや、材料組成の独自設計技術によってEUVならではの難しさをクリアしている」(鈴木氏)。基板の研磨も極小のキズがつきにくいノウハウを持つ。「そもそもキズが出にくい合成石英作りに一日の長がある」(鈴木氏)という。

市場参入は03年。元々持っていた合成石英の技術力を買われて米国有数の技術コンソーシアムに入った。難度の高さから一時は撤退ムードもあったが、EUVに食らいつかなければ活路はないと続行。

 

非連続のイノベーションをものにし、17年に量産を開始。TSMC、米インテルなどの3強に瞬く間に食い込んだ。EUV向けは先発組の信越化学はまだ開発できていない。

22年、福島県にあるブランクス子会社工場の生産能力を倍増したのもつかの間、足元では能力を3割増強中。一連の投資額は数百億円にも上る。すべてEUV向けだ。

 

最先端技術を競争軸に小が大を飲む群雄割拠の争いはほかにもある。

フォトマスクの検査装置で再びのしあがったのはレーザーテックだ。先述したようにマスクに微細な欠陥があると、それがシリコンウエハーに転写されてしまう。製造された半導体がすべて不良品になる場合もあり、欠陥を確実に見つけ出す検査装置が欠かせない。

 

2010年代前半、レーザーテックは業績低迷からの回復途上だったが、微細化の手段がEUVにシフトしそうな情勢をとらまえた。

その後、検査装置大手の米KLAテンコールに先駆けてEUV光源の装置を開発。レーザーテックのシェアは一時5%に沈んでいたが、今やKLAを尻目に独壇場を築いている。

 

売上高はこの10年で7倍超に達した。KLAは23年6月時点でもまだEUV光源を利用したマスク検査装置の開発に成功していないもようだ。

SCREENホールディングス子会社で半導体洗浄装置などを担うSCREENセミコンダクターソリューションズ(京都市)。同社は「枚葉式」というウエハーを1枚ずつ洗う洗浄装置で世界シェア40%弱と首位を独走する。

 

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SCREENグループはEUV対応の洗浄装置でも他社を引き離す


「最先端分野は顧客より先に課題を見付け、ソリューション提案しなければ業界をリードし続けられない」。

同社の杉本洋昭マーケティング部長はこう唱える。5〜7ナノメートルの先端品だとそれ以下のサイズのごみや不純物を取り除かなければならない。

 

同社は洗浄用薬液の温度や濃度、流し方や圧力をきめ細かく制御する技術でこの難題に対応。デファクトスタンダード(業界標準)を握っているとされる。

近年は微細化で回路の横幅が狭く、縦に高く伸びる構造になっている。洗浄する際、水の表面張力で高く伸びた回路材料が倒壊してしまうが、そうならないような独自の乾燥技術も開発した。

 

EUVにも対応し24年3月期は3期連続で過去最高の売上高、営業利益を更新する見通し。全国3工場で新増設の投資を進めており、24年3月期までの2年間で投資額は過去最大の560億円にもなる。

 

(日経ビジネス 上阪欣史)

[日経ビジネス電子版 2023年10月18日の記事を再構成]

 

 

日経記事 2023.11.20より引用

 

 


キヤノン幹部「ナノインプリントの仲間作り進める」

2023-12-27 10:53:22 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

 
  キヤノン半導体機器事業部長の岩本和徳氏

 

キヤノンは半導体の回路を描くために不可欠な露光工程向けに「ナノインプリント」と呼ぶ独自技術を搭載した装置を発売した。

強い光でウエハーに回路を焼き付ける一般的な方法とは異なり、ハンコのように原版を押し当てる原理だ。コストや消費電力が抑えられるとして半導体メーカーの期待が広がる。キヤノン半導体機器事業部長の岩本和徳氏に技術の強みや課題、ビジネスの見通しを聞いた。


――ナノインプリントはどのような技術ですか。

「半導体の回路パターンを刻み込んだマスクをウエハーに押して転写する。ウエハーに1回押印するだけで、最適な位置に複雑な2次元や3次元の回路を形成できる。マスクを改良していけば回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代まで作れる」

「装置の構造がシンプルなのが利点だ。多くのレンズを使って光を照射しながら回路を焼き付ける従来の手法に比べ、電力消費は10分の1に減る。装置価格も相対的に安く、低コストで半導体の微細化が実現できる」

「3次元の回路を1度で形成できることから、数十ナノメートルレベルの微細化が求められるXR(クロスリアリティー)向けメタレンズなどの製造にも活用できる」


――顧客のコストは実際どれくらい下がりますか。

「条件によって異なるが、1回の露光工程にかかるコストが従来の露光機の半分にまで下がる場合もあると試算した。装置の規模が小さくなり、研究開発などの用途でも導入しやすくなるのではないか」


――今回発売に至った経緯は。

「2017年ごろからキオクシア(当時は東芝メモリ)と大日本印刷との3社で共同開発を続けてきた。大日本印刷はマスクの製造を担い、キオクシアでは四日市工場などでフラッシュメモリーの製造に活用する実証をしてきた」

「量産用途の実用化のメドが立ち、顧客に向けて発売できると判断した。3社以外にもナノインプリントの開発・製造に携わる仲間を増やし、エコシステムを広げようという思いだ」



キヤノンが発売したナノインプリント半導体製造装置

 

――ナノインプリント露光装置の競合他社はいますか。

「半導体露光向けにナノインプリントを手がけるのは世界でも当社のみで参入障壁は高いと見ている。ナノインプリントの難しさは重ね合わせ精度だ。ウエハー上にマスクを的確に合わせる位置決めが必要で、当社が従来の露光装置で培った計測技術が生きている」

 

――顧客からの引き合いは来ていますか。

「半導体メーカーや大学、研究所から多数の問い合わせを受けている。微細化の早期実現を目指して研究開発するうえで、導入に膨大なコストがかかるEUV(極端紫外線)露光装置の代替策としてナノインプリントへの期待が高まっている。フラッシュメモリーだけでなく、(パソコンなどに使う)DRAMやロジックなど様々な半導体用途のニーズがある」

 

――普及に向けた課題は。

「押印の際にパーティクルと呼ぶゴミが生じやすい。微少な粒子のゴミを除去する技術を高める必要がある。高精度フィルターやエアカーテンでゴミを抑制していく」

「マスクの寿命をどれだけ延ばせるかも重要だ。微細なマスクを作り込む作業が最も難しく、マスクの製造に時間やコストがかかることが課題になってきた。さらに使用時にゴミが入ればマスクは破損してしまう。そのため量産用途で使うレプリカのマスクを作る装置も当社で開発した」


――今後どのように技術革新を進めますか。

「顧客の半導体工場に入れたデモ機を使い、現場でマスクや材料の改善を続けていく。量産で効率よく使えるようにするためには顧客とのチューニングが必要だ。結果のフィードバックをもらいながらレベルを高めていく」



量産実用化、なお課題

キヤノンのナノインプリント技術は半導体製造の肝である「露光工程」に新風を巻き起こす。半導体の歴史は回路パターンを細かくする微細化の歴史ともいえ、回路線幅を決定づける露光装置もゲームチェンジを繰り返してきた。

レンズや光学の技術に秀でた日本勢のキヤノンとニコンは2000年代まで世界の露光装置市場の大部分を占める強豪だった。オランダのASMLが「極端紫外線」と呼ばれる短い波長を利用したEUV露光装置を開発し、先端半導体の露光にはEUVが主流になった。装置メーカーも自然とすみ分けが生まれ、キヤノンはパワー半導体など成熟品向けが主力となった。

ナノインプリントはEUVの守備範囲である線幅レベルにまで技術力が高まる余地があり、キヤノンが「成熟も先端も」と市場を広げられる可能性がある。強力な光を使う従来の露光に比べ、原理上は低コスト、低エネルギーの微細加工が実現できる。

キヤノンは他社にはないナノインプリントのメリットに賭け、投資を続けてきた。1

0年越しで発売にこぎ着け、実用化への扉は開いたばかりだ。「マスクのゴミが入りやすく量産実用化にはまだ壁がある」(半導体メーカー幹部)など現場の声は手厳しい。

技術のブレークスルーが起きるまで、キヤノンはサプライチェーン(供給網)を巻き込んだ研究開発を完遂させる必要がある。


(松浦奈美)
 
 
 
日経記事 2023.12.27より引用
 
 
 

広島市立大や理研、脳の活動を探る 日本から革新技術 科学記者の目 永田好生

2023-12-27 10:45:15 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識・人類史

脳を調べる様々な技術が広まり脳科学が急速に進展している。それでも研究者たちは「もっと優れた計測技術がほしい」と熱望する。

この要望に迫る革新的な技術が日本の研究室から誕生している。計測や観察など研究の基盤となる技術開発で日本はこれまで海外に依存する事例が多かったため、ちょっと珍しい現象だ。

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脳の159カ所の磁気信号を高速・高精細に読み取り波形で表示(広島市立大学で)

 

「これをかぶって画面の点灯から5秒ぐらいで指先のスイッチを押してください。そのときの脳の活動状況を観察します」

暗室のような小さなブースに案内されると、ニョキニョキと金属の突起がたくさんついたバイク用ヘルメットのような装具を手渡された。頭頂部でおおよその位置をあわせ計測が始まった。

カチッ、カチッ、カチッ。1分ほどたってブースを出ると、大きな表示画面に様々な波形が映し出されていた。「神経細胞が活動するとき電気が流れ、微弱な磁気信号が発生します。それを磁気センサーで読み取っています」。広島市立大学の樋脇治教授が解説する。

この計測技術は「磁気バイアスプローブ型BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」と呼ぶ。金属の突起が1つのセンサーで全部で159個ある。脳の表層近くにある細胞の活動を外科手術不要(非侵襲)で調べられる。

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脳の159カ所の活動状況をミリ秒単位で計測できる「磁気バイアスプローブ型BMI」=樋脇治広島市立大教授提供

まだ試作品で見た目は武骨だが、現在利用されているほかの非侵襲BMIの欠点を補う性能を備えている。

樋脇教授は「ミリ秒単位の高速性、ミリメートル級の細かな解像度をあわせもっている。それを脳全体で実現できる技術はほかにありません」と強調する。

同じ磁気信号を計測する方法に脳磁図がある。センサーを極低温に冷却する必要がある高価な装置で、ミリ秒単位の高速で神経細胞の活動状況を観察できる。しかし場所を特定する解像度は5ミリほどと粗い。装置の近くに金属をおけないなどやや使いにくいという課題もある。

脳計測の代表的な手法になった機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)は1〜5ミリの細かい画像を得られるが、やはり高価な装置で使い勝手が悪い。何より血流量の変化を4〜5秒間の平均的な様子としてしかとらえられず、神経細胞の素早い反応を調べられない。

樋脇教授らはスイッチを押す実験を積み重ね、基本的な性能を確認する作業を続けている。指が動き始める1.5秒ほど前、その準備のために活動する神経細胞があることはこれまでの脳磁図や脳波計の観察で分かっているが、どの場所の細胞なのかはまだはっきりしていない。磁気バイアスプローブ型BMIを使って、どの辺りの細胞なのかを明確にできるとにらんでいる。

樋脇教授は2023年にこの技術の実用化を目指すスタートアップ、Gush(ガッシュ)を設立した。広島市立大認定スタートアップの第1号だ。研究用の装置として需要があるとみて26年ごろの製品化を計画している。

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開発した2光子顕微鏡で使う直径8.4センチメートルの巨大なレンズを手にする村山チームリーダー(理化学研究所で)

もう一つの新しい観察技術は、理化学研究所脳神経科学研究センターの村山正宜チームリーダーらが開発した。

実験動物の脳の神経細胞の活動を調べる際に使う。手術は必要だ。細胞を生きたまま観察する際に欠かせない「2光子顕微鏡」の原理を使い、視野や解像度、高速撮影などの性能を大幅に高めている。

従来の2光子顕微鏡の視野は最大で縦横0.5ミリメートルと狭い。直径8.4センチメートルもの巨大なレンズと高感度な光検出器を開発して視野を36倍の縦横3ミリに広げた。ニコン浜松ホトニクスと協力した。

1秒間に15回、1画面を撮影する高速性も備える。高速に撮影しようとすると画面が暗くなってしまうが、細胞にレーザーを照射する方法、レーザーが当たって出る蛍光の強度など細かな調整を組み合わせて鮮明な画像を撮影できるようにした。

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理研が開発中の新しい顕微鏡は、視野を36倍に広げマウスの1万6000個の神経細胞を高速で撮影できる

新しい顕微鏡だとマウスの脳の10以上の領域を一望できる。その視野に含まれる神経細胞は約1万6000個。これだけ多くの細胞の活動を高速で撮影することはこれまでできなかった。

新しい観察技術は思わぬ発見をもたらした。100個以上の神経細胞と機能的に結合する「ハブ細胞」が存在することだ。


村山チームリーダーは「神経活動の様子をネットワークとして撮影できた。統計手法による分析をへてネットワークの拠点となるような細胞があることが浮き彫りになった」と話す。

ハブ細胞がどんな細胞なのか、どんな働きをしているのかはまだわからない。これから突き止める大きな課題だ。


脳の研究は、人工知能(AI)への応用や認知症の治療や予防などの研究と深く関わり注目度は高い。生きている状態で詳しく観察できず、どのような仕組みで働いているのか、様々な細胞がどのような役割を果たしているのか解明できていないことは多い。

日本発の新しい観察技術が多くのなぞの解消に役立てば、大きな貢献になる。

 

日経記事 2023.12.27より引用

 

 

 


米、紅海でミサイル撃墜 フーシ派が商船攻撃

2023-12-27 10:37:34 | 中東情勢・基礎知識・歴史・問題・真実


     紅海を航行する米艦船(8月)=米軍・ロイター

 

【ワシントン、カイロ=共同】

米中央軍は26日、ミサイル駆逐艦とF18戦闘機が紅海南方でミサイルや無人機を撃墜したと明らかにした。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が発射したとしている。

船舶の被害やけが人は報告されていない。フーシ派も26日、紅海で商船「MSCユナイテッド」に対してミサイルを発射したとする声明を発表した。

フーシ派は敵視するイスラエルに関連する船舶への攻撃を続けている。米政府は今月、商船保護のため多国籍部隊を発足させていた。

フーシ派はイスラエル南部エイラートなどで無人機を使った軍事作戦を行ったとも主張した。今回の商船について、3度にわたり応答を拒否し、警告にも従わなかったため攻撃に至ったとしている。商船とイスラエルの関連は不明。

中央軍によると、フーシ派の攻撃は現地時間26日午前6時半ごろ始まり、10時間以上に及んだ。海軍の空母打撃群に所属する駆逐艦とF18などが無人機12機、対艦弾道ミサイル3発、艦対地ミサイル2発を撃墜した。

フーシ派は声明で、イスラエル軍が攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザに食料や医薬品が搬入されるまで紅海周辺で軍事作戦を継続するとした。イスラエルに向かう船以外の海上交通は妨げないと改めて主張した。

 

日経記事 2023.12.27より引用