馳走菜は揚げ物や弁当などを店内で手作りし出来たてを販売する
神戸物産が外食・中食事業を拡大する。
フランチャイズチェーン(FC)展開する「業務スーパー」の運営ノウハウをいかし、外食・中食店の総店舗数を2026年10月期までに計200店舗と現状より3割増やす。業務スーパー以外に収益源を広げるほか、外食・中食のFC加盟店を増やして食材の販路を拡大する。
人件費や店舗の運営コストが重い一般的なスーパーと異なり、神戸物産はFC方式での出店と好採算のプライベートブランド(PB)商品の充実といったビジネスモデルで成長してきた。
業務スーパーの店舗数は4月末で1062店まで広がったが、同事業が売上高全体の97%を占めるなど経営面で依存度が高まっていた。
沼田博和社長は外食事業推進本部の担当役員を兼務しており「業務スーパーだけではなく、それ以外に収益を生み出す事業を育てたい」と語る。
てこ入れするのは総菜店「馳走菜(ちそうな)」、ビュッフェレストランの「神戸クック・ワールドビュッフェ」、焼き肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」の3つの外食・中食事業のFC展開だ。
神戸物産は国内に食品加工工場を26拠点構える。
海外でも350以上の協力工場があり、各国から輸入している。外食や中食のメニューは業務スーパーで扱う食材を活用しており、事業の強化は自社製品の販路拡大に直結する。今後規模が大きくなれば、専用食材の輸入や工場の新設なども検討する。
26年10月期を最終年度とする中期経営計画では、外食・中食事業で200店舗を掲げる。
けん引役を見込む馳走菜は揚げ物や弁当などを店内で手作りし、出来たてを販売する。
業務スーパーの店舗内などで運営し、1月末時点で117店舗。ほとんどがFC店だ。
広さは厨房と売り場で計約70平方メートルと、一般的なスーパーの総菜売り場の半分以下のスペースで運営できるのが特徴で、22年12月には福岡県のドラッグストア内に出店して集客力の高さで実績を残した。 今後も異業種などでFCの加盟店を募る。
プレミアムカルビは25年度までにFC展開を始める
プレミアムカルビは21店舗すべてを直営で運営するが、25年度までにFC展開を始める。
かねて外食企業からFCで出店したいとの要望はあったが受け付けていなかった。
ワールドビュッフェの15店舗はほとんどがFC店だが、800〜1000平方メートル程度と大型のため用地の確保に課題があり、今後コンパクトな店舗モデルを検討する。
神戸物産は10年代に現在の焼肉坂井ホールディングスなど外食チェーンを相次ぎ買収してきたが、グループの相乗効果が乏しく20年に連結子会社から外した。
新型コロナウイルス禍が落ち着き、外食・中食事業の23年10月期の売上高は109億円、営業利益率は4.7%と上向いている。
今後も外食・中食事業のFC加盟店を増やし、沼田社長は「将来的には事業売上高を数百億円規模にし、営業利益率も10%以上を目指す」と意気込む。
(堀尾宗正)