米ウォール街=ロイター
【ニューヨーク=野一色遥花】
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し前日比96ドル(0.2%)高の4万0659ドルで引けた。週間では1162ドル(2.9%)高となり約9カ月ぶりの上昇幅を記録した。
景気失速懸念を和らげるような経済指標の発表が直近続いており、リスク資産の株式を買い戻す動きが鮮明だ。日欧の株式相場も回復している。
ダウは9カ月ぶり上げ幅
多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数は週間で3.9%高、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も同5.3%高となり、上昇率はともに2023年11月以来の水準となった。
8月初旬の相場急落で動揺した市場は落ち着きを取り戻してきた。
1日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数や2日発表の7月米雇用統計が市場予想対比で悪化し、米景気への警戒感が高まるとグローバルで株売りが加速した。ただ、前週半ば以降は徐々に相場が回復に向かった。
S&P500やナスダック総合は既に急落前水準を上回る。日経平均株価や欧州の株価指数ストックス600も7月末の水準近くまで戻してきた。米景気に対する行きすぎた悲観が薄れてきたのが一因だ。
15日発表の7月米小売売上高は市場予想を大幅に上回る伸びを見せ、ミシガン大が16日に発表した8月の消費者態度指数(速報値)は67.8と前月確報値から1.4ポイント上昇し、市場予想も上回った。
ITが最大の伸び、NVIDIAは19%高
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ソリタ・マルセリ氏は「米経済は軟着陸(ソフトランディング)に向かっている」とみて、米連邦準備理事会(FRB)は9月に利下げを始めるとの見方だ。
投資家の買い戻しの主な対象となったのは巨大テクノロジー銘柄だ。S&P500の業種別指数でIT(情報技術)は前週末比7.5%高と最も高かった。半導体最大手エヌビディアは前週末比で19%上昇した。
株価上昇が続くかは不透明だ。今後の経済指標の結果次第で再び米景気に対する警戒感が高まる展開もあり得る。22〜24日の年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエルFRB議長の講演も注目材料だ。
米調査会社CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は「会議で市場予想の利下げ幅とFRBの足並みがそろうか(パウエル氏の)一言一句に市場の注目が集まるだろう」とみていた。
日経記事2024.08.17より引用